ルカ・ドンチッチはMVPにふさわしい? 歴史的な活躍のシーズンも有力候補にならず

2024-03-04
読了時間 約3分
(NBAE via Getty Images)

弱冠25歳ながら、ルカ・ドンチッチは歴史的なほどに素晴らしいシーズンとしている。1試合平均34.4得点は、ジョエル・エンビードの35.3得点に次ぐ数字だ。しかし、受賞条件となる出場試合数の規定から、ドンチッチが得点王となる可能性は高い。さらに彼は平均9.7アシスト、8.8リバウンドもマークしており、平均トリプルダブルの達成にも近い数字を残しているのだ。

Stathead』によると、シーズン平均34得点&10リバウンド&9アシスト超という数字は、NBAの歴史でこれまでにないものだ。そして今季のドンチッチが達成してきた素晴らしい偉業という意味では、それすらも氷山の一角に過ぎない。『BetMGM』のMVP予想オッズでは、ニコラ・ヨキッチとシェイ・ギルジャス・アレクサンダーに続いている。

ここでは、ドンチッチがそれ以上にMVPにふさわしい理由をまとめる。

なぜルカ・ドンチッチがMVPを受賞すべきか

ルカ・ドンチッチが過去最高のNBAシーズン

今季のドンチッチは本当に特別なパフォーマンスを何度か見せてきた。

ひとつの試合における選手の生産性を示す『Basketball-Reference』のGame Scoreによれば、ドンチッチが73得点をあげたアトランタ・ホークス戦の出来は今季のベストゲームだ。

フィールドゴール試投33本で73得点、10リバウンド、7アシストを記録したパフォーマンスは、これまで見たことがないようなものだった。

さらに、クリスマスに行われたフェニックス・サンズ戦でも、ドンチッチは50得点、15アシスト、4スティール、3ブロックを記録している。このようなスタッツも初めてだ。

Game Scoreで選手が50ポイント超を記録した試合は今季5試合。そのリストの1位と4位がドンチッチだ。ほかにも得点で輝いた選手はいるが、ドンチッチはベストの中のベストだった。

最も重要なのは、マーベリックスが勝った試合でこれらの驚くようなパフォーマンスを達成したことだ。マーベリックスにはドンチッチのあらゆる得点が必要だった。厳しいウェスタン・カンファレンスのレースにおける重要な勝利を収める中で、ドンチッチは自然にこれらの数字を達成したのだ。

ルカ・ドンチッチは最小限の助けで最大のパフォーマンス

マーベリックスは西地区で5~10位を競っている。ドンチッチがいなければ、完全にプレイオフ進出の芽がなくなっていただろう。

カイリー・アービングはうまくチームにフィットしたが、32試合を欠場している。フリーエージェントの大型補強だったグラント・ウィリアムズはあまり効果的にならず、4年契約を結んでから4か月でトレードとなった。今季のマーベリックスは一貫性がなく、シーズンを通じてどのラインナップも通算100分間に至っていない

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ドンチッチはそんな中でチームを勝利に導き続けている。マーベリックスは新人デレック・ライブリー二世や、FAの最後の最後に最低限で契約した、誰も関心を示していなかったベテランのデリック・ジョーンズJr.を先発で起用してきた。ドンチッチはそんなジョーンズJr.のキャリアを復活させ、ライブリー二世をドラフト有数の掘り出し物のようにしてきたのである。

一般的にMVP争いでドンチッチより有利と見られている選手たちは、マーベリックスよりも優れたロスターのチームに在籍している。ヨキッチは王者デンバー・ナゲッツの選手だ。ギルジャス・アレクサンダーにはジェイレン・ウィリアムズ、チェット・ホルムグレンがいる。オクラホマシティ・サンダーはリーグ有数の層の厚さを誇るチームだ。ヤニス・アデトクンボにはデイミアン・リラードがいる。

ドンチッチは見捨てられていたかのような選手たちや実績のない若手選手たちとともに、アービングの出場がシーズンの半分という状況の中でチームをけん引してきた。マーベリックスをロッタリーチームにしていない唯一の存在がドンチッチなのだ。

ルカ・ドンチッチは最大の弱点も強化

ドンチッチはこれまで何度かMVPに近づいた。過去4年はいずれも投票でトップ8入りしている。2年目のシーズンに自身最高位となる4位だった。

これまでにドンチッチの受賞を阻んできた理由は、主に2つと言われている。守備でトライしないことと、アドバンスドスタッツでエリートクラスの評価をされていないことだ。

しかし、今季のドンチッチは何度か堅実な守備で活躍している。ミネソタ・ティンバーウルブズに僅差で勝った試合では、接戦の終盤にカール・アンソニー・タウンズをたびたび止めた。ポストでのプレイも全般的に良かった。足さばきの早さという問題を抑えるために、マーベリックスはドンチッチをより低い位置にとどめようとしており、それがうまく奏功しているようだ。

また、今季のドンチッチはアドバンスドスタッツでも評価が良い。推定プラスマイナスは自己最高、リーグ3位の+7.6という数字だ。RAPTORは5位、LEBRONは3位、ボックスプラスマイナスは3位となっている。

これは、ドンチッチのショット向上によるところが大きい。彼はいつも厳しい3ポイントショットを放つが、今はその成功率が良くなった。昨季までの通算33.8%を大きく上回り、自己最高の38%だ。

アドバンスドスタッツだけでなく、基本的なスタッツも、他のMVP候補に引けを取らないか、それ以上となっている。

選手 平均得点 平均リバウンド 平均アシスト
ルカ・ドンチッチ 34.4 8.8 9.7
シェイ・ギルジャス・アレクサンダー 31.2 5.6 6.5
ヤニス・アデトクンボ 30.6 11.2 6.3
ジェイソン・テイタム 27.0 8.5 4.9
ニコラ・ヨキッチ 25.8 12.3 9.3

他の候補たちがドンチッチよりも手にしているのは、より優れたチームだ。このことは、MVP投票にどう影響するだろうか。そしてドンチッチは現時点でほかに何をすべきなのだろうか。

おそらく、受賞するのはヨキッチだろう。そして彼はそれにとてもふさわしい。しかし、現在のドンチッチはこれまでになかったようなことをしている。ドンチッチがリーグ最高の選手と主張することが非常に簡単となっているのだ。彼の今季がどれだけ特別なのかを忘れてはならない。

原文:Luka Doncic is in the middle of a historically great season and getting barely any MVP consideration for it(抄訳)
翻訳:坂東実藍