なぜマーベリックスのカイリー・アービングはセルティックス相手に苦戦しているのか?|NBAファイナル2024

2024-06-13
読了時間 約3分
(NBAE via Getty Images)

ボストン・セルティックスとダラス・マーベリックスのNBAファイナル2024には、様々な注目ポイントがある。だが、中でも特筆すべきひとつが、マーベリックスのカイリー・アービングが古巣相手に苦戦していることだ。

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アービングは今シリーズでNBA優勝を経験している3選手のひとり。そして最も多くNBAファイナルを経験している。

しかし、今プレイオフを通じて活躍してきたアービングだが、セルティックスとの最初の2試合ではベストを発揮することができなかった。チームもシリーズ開幕2連敗を喫している。

マーベリックスが優勝するチャンスを得るには、32歳のポイントガードのパフォーマンスがもっと良くなければいけない。ここでは、アービングがNBAファイナル序盤戦で苦しんだ理由をまとめる。

NBAファイナル2024におけるカイリー・アービングのスタッツ

NBAファイナル2024第1戦と第2戦におけるアービングのスタッツと今ポストシーズンを比べると以下のとおりだ。

NBAプレイオフ2024におけるカイリー・アービングのスタッツ
  NBAファイナル2024 NBAプレイオフ2024
試合 2 17
平均出場時間 39.0 40.3
平均得点 14.0 22.8
平均リバウンド 2.5 3.9
平均アシスト 4.0 5.2
平均ターンオーバー 2.5 2.5
フィールドゴール成功率 35.1 48.5
3ポイントショット成功率 0.0 42.1
フリースロー成功率 100.0 82.8

NBAファイナル最初の2試合でアービングは3ポイントショット8本中成功なし。フィールドゴール成功率は35.1%にとどまっている。プレイオフ最初の3ラウンドで1試合平均の3P成功が2.6本、成功率42.1%だったアービングだけに、大きな低下と言えるだろう。

『NBA.com』のマッチアップデータによると、アービングはNBAファイナルでオールディフェンシブチーム選出のドリュー・ホリデー、デリック・ホワイトに最も多く守備されている。ジェイレン・ブラウン、ジェイソン・テイタムという屈強なコンビも相手にしてきた。

攻撃面で才能に恵まれたアービングでも、リーグ屈指の守備で主要な役割を担う選手たちを相手に得点をあげるのは極めて大変なことだ。それが顕著だったのが第1戦だろう。アービングは前半でFG9本中3本成功、試合を通じて19本中6本成功にとどまっている。

この試合で自身最初の得点をあげるのに、アービングがいかにハードワークしなければならなかったことか。

第2戦では落ち着いたようで、前半にFG10本中5本成功の10得点をあげている。

しかし、後半はうまくいかなかった。3アシストを加え、試合を通じて6アシストを記録したが、FG8本中2本成功の6得点に抑えられたのだ。その苦戦ぶりは以下のポゼッションでうかがえる。

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なぜカイリー・アービングはセルティックスに苦戦しているのか?

第2戦の試合後、アービングは不振について率直に話している。

アービングは「ショットの多くがバックリムに当たっていたね」と話した。

「競技者として腹が立つかもしれない。だが、それもバスケットボールの一部だ。浮き沈みがあるのは受け入れなければいけない」

「僕からすると、シリーズで最も大変な課題だ。特にファイナルなら、極めて良いプレイをしたいと望むものだろう」

アービングは特にブラウン、ホリデー、ホワイトを称賛しつつ、レーンでのチャンスを決められなかったことを悔やんだ。

注目は、セルティックスが左側にアービングを向かわせようとしたことを本人が認めている点だ。シリーズが進む中で対応していくだろう。

2016年と2024年のNBAファイナルでのカイリー・アービングのスタッツ比較

アービングは2016年に優勝したクリーブランド・キャバリアーズの一員だった。NBAファイナル開幕2連敗から逆転優勝を達成した史上5チームのうちのひとつだ。当時と現在、どちらのシリーズでも、アービングは序盤に苦しんでいる。

2016年と2024年のNBAファイナル最初の2試合でのアービング
  NBAファイナル2016 NBAファイナル2024
試合 2 2
平均出場時間 35.4 39.0
平均得点 18.0 14.0
平均リバウンド 3.0 2.5
平均アシスト 2.5 4.0
平均ターンオーバー 3.0 2.5
フィールドゴール成功率 33.3 35.1
3ポイントショット成功率 14.3 0.0
フリースロー成功率 91.7 100.0

2016年のアービングは、その後何度か素晴らしいパフォーマンスを見せて巻き返した。第3戦から第5戦まで30得点、34得点、41得点をマーク。第7戦はチームをリードさせる3Pを沈め、勝利に貢献した。

それから8年。アービングは当時の経験を生かすつもりだ。

アービングは「以前ファイナルを戦い、0勝2敗になった。ちょっと経験しているんだ」と話した。

「あの時のシリーズも最初の2試合はあまり良いプレイじゃなかったんだよ」

「だから、このシリーズでどう巻き返すかは、自分が経験し、学んできたこと、いくつかの教訓を生かすのみだ。ひとつひとつのポゼッションが大事になるからね。これまでで最も大変になるだろう」

原文:Kyrie Irving NBA Finals stats: Inside Mavericks guard's struggles to start series vs. Celtics(抄訳)
翻訳:坂東実藍