東京オリンピック男子バスケットボール競技のグループA最終戦、アメリカ代表対チェコ代表の試合の第3クォーター残り7分、アメリカのスター選手であるケビン・デュラントは、ボールのコントロールを失った。このとき、アメリカのリードはわずか6点だった。
ボールを取り戻そうとしたデュラントは、反対方向から来たチェコのトマーシュ・サトランスキーと衝突。デュラントのファウルと判定された。
デュラントは、今大会のアメリカ代表で最も重要な選手だ。アメリカが4大会連続の金メダル獲得を果たすには、デュラントの貢献が必要となる。ロスターに関する多くの問題を補い、ポイントガード、センター、高得点をあげるウィングと、様々な役割をこなすことが求められているからだ。
それまでは活気がなかったアメリカのパフォーマンスだが、突然活気づいた。40分の試合時間が終わったとき、アメリカは119-84でチェコに勝利していた。
試合後、ケルドン・ジョンソンは「ここ2試合は、自分たちにできると知るバスケットボールができている」と話した。
「初戦の僕らは少し停滞し、迷ってしまっていた。でも、この数試合は自由にプレイし、楽しめたよ」。
デュラントはチェコ戦でアメリカ代表のオリンピック通算得点記録を更新した。マイケル・ジョーダン、デイビッド・ロビンソン、レブロン・ジェームズ、カーメロ・アンソニーといった選手たちが名を連ねるリストだ。デュラントは前半だけで14得点をあげた。だが、アメリカは47-43と4点をリードしただけだった。
デュラントは『NBC Sports』で「スロースタートになったけど、第2Qは自分たちのやりたかったことができたと思う。守備で相手を急がせ、トランジションからイージーな得点をあげることだ」と話した。
「そして、今夜のアメリカの選手たちは特別だった。みんながそれぞれ得点し、ショットを決めたね」。
最多得点を記録したのは、ジェイソン・テイタムだ。ボストン・セルティックスでは昨季平均26.4得点をあげたが、オリンピックでは2試合で12本の3ポイントショットのうち3本しか成功させられていなかった選手である。
試合後の会見で、アメリカのグレッグ・ポポビッチ・ヘッドコーチは「ジェイソンには(サンアントニオ)スパーズと試合しているようにやれと伝えた」と話している。
「我々と対戦するときの彼はいつも90得点だ」。
チェコ戦の最後の5分間で、それまでの2試合と同じ3Pを決めたテイタムは、第4Qに17得点をあげた。デュラントとサトランスキーの衝突以降は21得点。試合全体では27得点だった。
そのテイタムは『NBC Sports』で「何本かショットが決まって良い感じだった」と話している。
「試合ごとに僕たちのプレイは互いに良くなっていると思う。僕らはそうなると思っていた。大会を通じて前の試合より良くなるとね。どんな試合でも、チームの誰でも、今夜の僕のようにすることができる。それで僕たちはこうやってダイナミックになっていると思う」。
問題は、そういったアプローチになるのなら、アメリカが相手に好ましくない状況に追い込まれる前に、どの選手が「どんな試合でも」活躍できるのかを見つけることだ。
そしてまさにそれこそ、デュラントがデュラントでなければいけないところである。彼はチェコ戦の最初からそうだったようにプレイしなければいけない。デュラントはフィールドゴール11本中8本成功の23得点をあげ、チーム最多の8リバウンドと6アシストを記録した。
このチームのポイントガードであるデイミアン・リラードは、味方にショットさせるより自分のショットを得意とする。そのため、デュラントがそれを補うのだ。センターはドレイモンド・グリーンが6フィート8インチ(約203センチ)で、バム・アデバヨが6フィート9インチ(約206センチ)だが、グループAの3試合すべてで7フッター(約213センチ)と対戦してきた。そのため、デュラントがリバウンドや守備で助けなければいけない。
この時点で、次のアメリカの対戦相手はまだ分からないが、決勝トーナメントでは難敵が待っている。開幕戦でフランスに敗れたとき、ポポビッチHCはデュラントをファウルトラブルから守ろうと、わずか20分間しかプレイさせなかった。もうそれをする余裕はない。
原文: Kevin Durant must carry flawed Team USA to fourth straight Olympic gold medal by MIKE DECOURCY/Sporting News.com(抄訳)