ネブラスカ大学を卒業し、NBA入りを目指す富永啓生の2023-2024シーズン帰国報告会見が6月6日に行われ、富永が日本のメディアに対して現在の心境を語った。
富永は6月5日の夜に帰国し、愛知県一宮市のディーナゲッツ愛知でハイブリッド形式(現地とZoom)の会見に臨んだ。帰国前に富永はサクラメント・キングス(5月29日)、ロサンゼルス・クリッパーズ(5月31日)、シカゴ・ブルズ(6月4日)の3チームとのドラフト前ワークアウトに参加している。
以下、富永の一問一答の一部を抜粋してお届けする(質問は要約。質疑応答の順番は読みやすさを考慮して一部入れ替えている箇所あり)。
ワークアウトで自分が見せたいプレイは見せられて手応えはあった
——3チームとのドラフト前ワークアウトの手応えは?
富永:自分の強みは出せたかなと思います。自分が見せたいプレイは見せられたと思うので、手応えは結構ありました。
——去年参加した(インディアナ)ペイサーズとのワークアウトと比較して手応えはどうか?
富永:去年と比較して自信もありましたし、自分としてはもっと良いパフォーマンスができたんじゃないかと思います。3ポイントを自分の一番の武器としているので、そこをアピールできたのは去年も今年も変わらないんですけど、そのほかのフィジカルのレベルなどでも去年と比べて成長できたところが見せられたんじゃないかと思っています。
——ワークアウトの内容は去年(のペイサーズ)と違ったか?
富永:基本的に1回のワークアウトは6人でやるので5対5はなくて、やることとしては去年のペイサーズとあまり変わっていないです。ただ、今年は、もう少しシューティングの時間が増えたり、3対3をもう少し長くやったという感じはあります。
——3チームでワークアウトの内容は違ったのか?
富永:僕の行った3チームはほとんど一緒でしたね。スキルワークから始まり、1対1、3対3と続き、最後にちょっとシューティングドリルが入って、という感じで、ほとんど3チームで一緒でした。
キングスのブラウンHCから「本当に良い動きをしていた」とフィードバック
——ワークアウトでコーチ陣と話す機会は?特にクリッパーズのワークアウトでタロン・ルーHCと話す機会はあったか?
富永:基本的にヘッドコーチと話す機会はあまりなかったです。キングスのヘッドコーチとは話しましたが、タロン・ルーHC(ネブラスカ大出身)とは話してはいないですね。
——(キングスの)ブラウン・コーチにはなんと言われたか?
富永:本当に良い動きをしていたよということを言われたり、ワークアウトについて少し話させていただきました。
——3チームのワークアウトでのフィードバックとして特に印象に残るものは?
富永:すごく良い動きをしていたってことはたくさん言われました。あとは、もう少しディフェンスの部分でもうちょっとレベルアップできたらもっと良くなるねと言われたり。オフェンスの部分に関してはとても良いフィードバックをたくさんいただいたという感じです。
参加した3チーム以外に6〜7チームからワークアウトの声がかかっていた
——現時点でそれ以外の何チームくらいからワークアウトの声がかかっていたのか?
富永:今回行った3チームのほかに、正確にはわからないですが、6〜7チームくらいは声がかかっていたというふうに聞いています。
——それでも日本代表の練習があるということで戻ってきた?
富永:そうですね。あとは、3チームとワークアウトをやった時期とかぶっていたり、(ワークアウトのスケジュールが)続きすぎてさすがにちょっとできなかったという事情があったりしました。あとは合宿のために(日本に)帰ってくるというのも重なったという感じです。
——スケジュールが重なったなかから3チームを選んだということだが、自分に合いそうなチーム、シューターが足りなくて可能性がありそうなチームなどを選択したのか?
富永:そうですね。それもありますし、ほかのチームからの連絡が少し遅かったり、すでに予定が入っていたりということもありました。でも、キングスのプレイを見ていても3Pをバンバン打つチームだったので、やっぱり自分がどういうチームに合うのかというのも見ながら選びました。
——日本代表も大事にしているということで、名残惜しい気持ちもなく自分で決心できたのか?
富永:そうですね。日本代表に対する思いも強いですし、代表の合宿に参加したいという気持ちはもちろんあったので、もともと日本に戻るまでの期間でとりあえずやれることをやると決めていました。
——やれることをやって日本に戻ってきたという感じか?
富永:そうですね。アメリカで許された時間の中でやれることはやって戻ってきました。
ドラフトコンバインにも招集されず、今現在ではドラフトはちょっと難しいかなと思う
——6月下旬のNBAドラフト当日はどういう気持ちで迎えたいと考えている?
富永:ドラフトコンバインにも招集されなかったということで、ドラフトは今現在ではちょっと難しいかなと思うところはあるので、そのなかで心境というのは難しいものはあるんですが…。今まで対戦してきた選手や一緒にワークアウトしてきた選手が選ばれていくと思うので、楽しみにしている部分はあります。
——この時期に日本に戻ったということはこのまま代表活動を続けて、(NBAのほうは)一旦保留してエージェントにお任せするということか? それとももう一度渡米して一部のワークアウトに参加したり、サマーリーグに参加することを考えているのか?
富永:今はとりあえず日本に戻ってきて日本代表のほうに専念してというふうに考えていますが、もちろん来年の自分の所属先は決まっていないので、今の自分の考えでは、パリオリンピックで活躍して、チームからいろいろオファーをいただけたらいいなという感じです。
——7月のサマーリーグでプレイする機会があったとしても代表の合宿を優先する方針で間違いないか?
富永:はい、その通りです。
——この先についてはどう考えているか?
富永:自分の個人としてはNBA選手になることを一番の目標にしているので、そこはブレずに取り組んでいる最中で、そして今年はパリオリンピックもあるので、そこも視野に入れて自分のできる100%の力を両方に出していけたらいいなとは思っています。
日本代表として日本のバスケットの歴史を作っていきたい
——ワールドカップ以来の代表活動だが、意気込みは。
富永:すごく楽しみにしています。あの歴史的な出来事から1年経って、また日本の代表の選手たちとまた一緒にプレイできるのを本当に楽しみにしています。
とりあえず、日本のバスケットの歴史を作っていきたなと思っていますし、グループも決まって、自分たちのできる100%を出し切って自分たちのバスケットをやったら結果がついてくるかなと思うので、100%、120%の力を出していきたいと思っています。
——ネブラスカ大の最終シーズンでは自分のチームとしてプレイメイクするなど単なるシューターではないところを見せつけた。代表ではどんなふうに自分を出していくのか?
アメリカのバスケと代表のバスケはペースの部分でも違ってくる部分があって、その中で特に日本代表のバスケの時はシューターというところをまず一番に置いてやっているので、その点でまずトランジションからの3Pなど、それが結構自分の武器になっていると思うので、そこは楽しみにしています。
——代表ではプレイメイクよりもシューターでいくということか?
富永:プレイメイクも生かしつつ、でも、まず主にはシューターとしてやっていきたいと思っています。
——日本代表監督のトム・ホーバスが「勝つことを信じてやろう」という信じる心というのを強調しているが、代表活動を通して学んだことは?
富永:代表活動から学ぶことはたくさんあって、それこそ信じるっていうことを代表では特に言っているんですけど、それは代表だけに限らずすべてのことに対して信じることは一番大事になってくると思います。代表活動を通していろいろ学んでいるところではありますね。