マイアミ・ヒートにとっては、正念場だ。
NBAファイナル2023で第3戦、第4戦とホームでデンバー・ナゲッツに連敗し、ヒートはシリーズで1勝3敗と厳しい状況に追い込まれた。優勝するには残る3試合で3連勝する以外にない。
だが、素晴らしいポストシーズンを通じてそうだったように、ヒートはまだあきらめていない。
第4戦の試合後、ジミー・バトラーは「疑いはない。僕らはまったく疑っていない」と話した。
「僕らはあきらめない。また明日から、もっと良くなるために戦い続ける。そして12日(同13日)の第5戦に臨み、ずっと言ってきたことをやり、勝つんだ」
「そうしなければいけない。ほかに選択肢はない。そうでなければ、このすべてが、意味がなかったことになる」
今ポストシーズンでヒートが追い詰められたのは、これが初めてではない。
シカゴ・ブルズとのプレイイン・トーナメントでは、後半の奮闘がなければプレイオフに進出できなかった。第2シードのボストン・セルティックスとのイースタン・カンファレンス・ファイナルでは、ロードでの第7戦で勝利した。シリーズ3勝0敗とリードしながら、3連敗で3勝3敗と追いつかれて臨んだ敵地での一戦だった。
まるで、このチームは誰もが終わったと考えた時にベストを発揮するかのようだ。
第4戦の試合後、エリック・スポールストラ・ヘッドコーチは「すべて懸命にやってきた。今もそうでなければいけない」と述べた。
「とにかく(第5戦に勝って)マイアミに戻ることに集中する。マイアミに戻せば、あっという間に事態は変わり得る」
「デンバーでの試合は、ウチのロッカールームにいる競争者たちのためにつくられたような厳しい一戦になるだろう。飛行機に乗るころまで、我々はマイアミに戻ることだけを考えるよ」
NBAプレイオフの歴史で、1勝3敗からシリーズを逆転で制したケースは13回しかない。NBAファイナルでは、レブロン・ジェームズ擁するクリーブランド・キャバリアーズが、ゴールデンステイト・ウォリアーズを下して初優勝を果たした2016年の1回だけだ。
だが、バトラーは、ヒートにはその2回目の例になるために必要なすべてがあると考えている。
バトラーは「本当に僕らはお互いを、自分たちのことを信じている」と話した。
「シーズンを通じて大変なことをいくつかやってきた。このプレイオフでもそうだ。そして今はその中でも最も大変なこととなる。だけど、いつも言うように、その大変さの向こう側に自分たちが望むものがあるんだ。これが僕たちの現実だ。とにかくコートに立ち、3連勝しなければいけない」
ヒートの奇跡的な歩みは終わりを迎えつつあるかもしれない。だが、このポストシーズンで見てきたように、ヒートを見限るのは危険だ。
第5戦は12日(同13日)、コロラド州デンバーのボール・アリーナで行われる。