最高のジミー・バトラーが戻ってきたヒート 好調3Pもプレイオフで危険な武器に

2024-03-14
読了時間 約3分
(NBA Entertainment)

NBAファイナルに進出したチームから、重要なスターターの2選手を失った。代わりとなったのは、
新人や見捨てられた選手たち。リーグのほかのチームなら、一歩後退になると見られるはずだ。

しかし、ここで取り上げるのはマイアミ・ヒートだ。彼らは常に道を見つける。

今季前半戦は、新たな人材とケガの問題に対して調整することになった。スターティングラインナップの組み合わせは31にのぼり、これは今季のボストン・セルティックスとミルウォーキー・バックスを合計した数字をも上回る。

しかし、その混乱の中でも、ヒートは昨季以上だった。35勝29敗という成績は、昨季同時期の33勝31敗を上回っている。そして彼らはこれまで、プレイオフでのシード順が自分たちにとって重要でないことを証明してきた。昨季のヒートは1999年以来となる第8シードからのNBAファイナル進出を果たしている。

今月はじめ、ジミー・バトラーは『Five Reasons Sports』のブレイディ・ホーク記者に、「第8シードだろうが、7だろうが、6でも、5、4、3、2、1でも気にしない。僕らは気にしないんだ」と話した。

現在、ヒートはイースタン・カンファレンスの8位。レギュラーシーズンが終わるまでに、最高で4位まで浮上するチャンスがある。1月31日(日本時間2月1日)以降の11勝6敗という成績や、残り日程が2番目に容易であることから、その可能性はあるだろう。

リーグのほかのチームにとってもっと脅威なのは、シーズン序盤はどこか静かだったバトラーに、再び火がつき始めていることだ。「プレイオフ・ジミー」は、リーグのどのチームにも恐怖を与えるだろう。34歳という年齢ながら、バトラーはリーグ最高の選手のひとりという地位を保っている。

 

ジミー・バトラーは攻撃でなお絶頂期

バトラーが3ポイントショットを主要な武器としたことはない。マーケット大学での1年目は、シーズンを通じて3P試投が1本だけだった(そして外している)。NBA入りしてからは、何シーズンかまずまずの出来だったが、今季を迎えるまでヒートでは3P成功率26.6%にとどまっていたのだ。

それを考えれば、今季の42.5%という数字は驚きだ。突然の向上ぶりについて、バトラーは報道陣にこう説明している。

「可能な3Pを全部打ちたければ、本当に良い確率で打てると思うよ。ただ僕は、ペイント内に走り込み、相手にぶつかっていき、どちらが先に倒れるかを見たいんだ」

そしてバトラーは肉体的なキレも保っている。1試合平均のフリースロー試投8.1本はリーグ5位。ドライブではリーグ13位の数字を記録している。自分の好きなスポットに押し込むことに関して、彼よりも優れた選手はおそらくいないだろう。バトラーは毎年、その能力を生かしてクラッチショットを打っている。シカゴ・ブルズ戦で決勝点となったステップバックジャンパーもそのひとつだ。

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ジミー・バトラーとヒートは守備を強化

ヒートは守備で常に相手にとって厄介なチームだったが、今季は調子が悪いようだった。1月29日(同30日)のフェニックス・サンズ戦で118失点した際、バトラーは報道陣に「守れていない」と認めている。ヒートの守備はリーグ13位だ。

だがそれが、ヒートとバトラーにとってターニングポイントとなった。以降のヒートは守備でリーグ3位。大きなスキームや人材の変更があったわけではない。シンプルに、チームがより集中するようになった結果だ。ゾーンはよりシャープになったようだし、さらに頑張るようになった。エリック・スポールストラ・ヘッドコーチは様々な見せ方をする方法を常に見いだす。

また、バトラーは相手の攻撃の起点に対してプレッシャーをかける点でも良くなった。

これまでのキャリアで、バトラーはオールディフェンシブチームに5回選出されている。すべてのポゼッションでそれだけのことをすることは、もうできない。しかし、試合がタイトになった時、彼が強力なディフェンダーとなることは変わらないのだ。

ジミー・バトラーにかつてないほど周囲の助け

バトラーがプレイしてきた中で、今のヒートは最も才能のあるチームではない。だが、最もバランスのとれたチームかもしれない。

バトラーのユーセージ率は24.7%と、ヒートに加入してから最も低い数字だ。チームが行う様々なことの多くのエンジンであることは変わらない。だが、バム・アデバヨのハンドオフが増え、ハイメ・ハケスJr.がポストでもっと多くをつくり、シューターたちにボールが回っている。

ヒートには、1試合平均のフィールドゴール試投8本超の選手が8人いる。セルティックスとナゲッツは5人だけだ。ヒートほど多くの選手が貢献しているチームはないのである。

アイデンティティーを見いだすのに、ヒートは少し時間がかかった。だが今、何が機能するかを彼らは見いだしている。プレイオフでリーグにおいて最も危険なチームのひとつになるべく、学んだことを生かしていくだろう。

バトラーはことし、『Bleacher Report』のクリス・ヘインズ記者に「シーズンを通じて手にしているいくつかのことを保つんだ」と話している。

「今、相手にすべてを見せることはできない。常にみんなに推測させなければいけないんだ」

現在の順位にだまされてはいけない。ヒートはリーグ最高の指導者、バトラーというオールNBA級の選手、アデバヨという年間最優秀守備選手賞のダークホース候補を擁するチームだ。彼らを軽んじるのは間違いだと何度も示してきたチームである。今季もそれは変わらないだろう。

原文:Prime Jimmy Butler is back for the Heat, and he's added a killer 3-point shot to his dangerous playoff arsenal(抄訳)
翻訳:坂東実藍