――日本へようこそ。今回が始めての来日ですね。日本については、どのようなイメージを持っていましたか?
来日は初めてだけど、昨シーズン、bjリーグの琉球ゴールデンキングスでプレイしていた親友のイバン・ラベネルから日本の話はよく聞いていたから、凄く良いイメージを持っていたよ。彼は「日本には何でもあるし、街も賑やかでまるでニューヨークみたいだ。なにより日本の人々はとても素晴らしい」と教えてくれたんだ。
実際に日本に来て、彼が言っていた通りだと感じたし、自分が持っていたイメージ以上に素晴らしい所だと思ったよ。そして何より、君が描いてくれたイラストが嬉しいよ。僕のために時間をかけて描いてくれて本当にありがとう。
――今オフ、あなたはフリーエージェントでトロント・ラプターズと契約しました。どのような経緯でラプターズと契約することになったのでしょうか? 決断のポイントは?
迷うことなくラプターズを選んだよ。なぜならラプターズには良い選手が揃っているし、昨季カンファレンス・ファイナルまで進出したときのメンバーがほとんど残っているのでチームケミストリーの面も問題ないしね。自分が入ることで、さらに強いチームにしたいと思っているよ。
――あなたは無制限FAの選手として、プロ入りして初めて自らチームを選ぶ権利を得ました。チームを選んで契約する過程を楽しむことができましたか?
チームを選ぶ過程はとても楽しかったよ。だって、どれだけのチームが僕に興味を持ってくれているのかがリアルな数字で分かるわけだからね(笑)。最終的に、僕は最初に電話をかけてきたラプターズこそが自分の行くべきチームで、このチームなら自分がフィットするはずだと感じたから、すぐに契約を結んだんだ。
――昨シーズンのラプターズはカンファレンス・ファイナルまで進み、来シーズンはNBAファイナルと優勝という次のステップを目指すことになります。あなたはチームにどのようなプレイで貢献しようと考えていますか?
僕はパワーフォワードもセンターもできるから、コーチの指示次第でどちらのポジションでもプレイするつもりだよ。チームにはすでにカイル・ラウリーやデマー・デローザンといったスコアラーがいるから、彼らをフリーにするためのセットプレイをしっかりと遂行したり、リバウンドで貢献するつもりだよ。ラプターズは僕が完璧にフィットできるチームだと思う。
――あなたが昨シーズンまで所属したボストン・セルティックスは若いチームでしたが、ラプターズには多くのベテラン選手がいます。あなたのチーム内での役割や立場は、セルティックスのときとは違ったものになると思いますか?
すでにマサイ・ウジリGMやドウェイン・ケイシーHCと話したのだけれど、彼らは僕に「今まで通りにやってくれ。余計なことは考えずにバスケットボールをプレイすることだけ考えてくれ」と言ってくれた。だから、何の問題や心配もなくラプターズでのプレイに順応することができるはずだし、あとは自分がベストの状態でキャンプインすることに集中するのみだよ。
――ケイシーHCにはどのようなイメージを持っていますか?
僕の父親が以前ケイシーHCと仕事をしたことがあって、その頃から彼のことは知っていたんだ。ケイシーHCは熱血漢で、とても素晴らしいコーチだね。それに、チームをまとめることが凄く上手い。なにより、彼は試合の流れを読んで、その流れに順応するのが上手いコーチだと思う。そこが、僕がラプターズを選んだ理由の1つでもあるんだ。
――ケイシーHCは日本でのコーチ経験もあり、日本と非常に深い繋がりを持った方です。今回の来日で、あなたにも日本との繋がりができましたね。
そうだね! 日本と繋がりのあるHCがいるチームに移籍した直後に日本に来るなんて凄いことだよね!
――先日、あなたの元チームメイトのジェイ・クラウダー(ボストン・セルティックス)が「我々が警戒するチームはラプターズではない。キャブズが一番強いチームだ」とコメントしましたが、これについてはどう思いますか?
ハハハ(笑) クラウダーらしいコメントだね! 彼とは2シーズン一緒にプレイしたから分かるけど、彼は思ったことを素直に話すタイプなんだ。でも、僕たちもそのコメントを聞いて黙っているわけにはいかないから、シーズンが始まったらキッチリと叩きのめすよ!
――あなたと幼馴染のトレイ・バーク(ユタ・ジャズからワシントン・ウィザーズへ移籍)との友情は素晴らしいです。あなた方は親友であり、家族ぐるみの付き合いでもあります。幼馴染が2人ともNBA選手になれたのは、どんな気分なのでしょうか?
バークとの関係は、大親友を通り越して、もはや本当の兄弟のようなものなんだ。彼の両親は僕の第ニの両親みたいなもので、今でも彼らのことは「Mom」「Pops」と呼んでいるほどだしね。そんなバークと自分が2人ともがNBA選手になれたのはとても幸せなことだし、NBA選手同士だからこそできる話題を気軽に電話で話せるのも良いね。
――私は長年ユタ・ジャズを取材していて、バークの父親とも面識があります。そこで、私はあなたが来日する数日前にバークの父親に「サリンジャーが来日しますよ」とメールしてみました。すると、彼からあなたに関する2つの思い出を教えてもらいました。まず1つ目ですが、子供の頃あなたはよく親指をくわえていたそうですね。これは本当ですか? その癖はいつ頃治ったのでしょうか?
ハハハハ(笑) まいったな! それは本当の話だよ。恥ずかしい話だけど、11歳まで親指をくわえていたよ(笑)
――もう1つ。あなたとバークはとても闘争心が強く、毎日のようにバークの家の地下室に設置した小さいバスケットゴールで1on1をしては、いつも勝敗をめぐってケンカをしていたそうですね。小さい頃からの親友と競い合いながら育ったことは、その後のあなたのバスケ人生にとって大きな意味がありましたか?
とても大きな意味があったよ。バークは本当にバスケが上手かったし、彼より上手くなろうというライバル心が、その後のバスケ選手としての向上心に繋がっている。全てはあの地下室から始まったんだよ。
――いつかはバークと一緒のチームでプレイしたいと思いますか? それとも違うチームで彼とライバル関係でいたいですか?
できればバークと一緒のチームでプレイしたいね。僕たちはお互いのことをよく知っていて、お互いがやりたいプレイも分かっているから、きっと良いチームになると思う。それに、僕はバークとプレイするのが好きだしね。
Illustrated by Mizuho Nishio
――あなたとバークが子供の頃に一緒にビデオゲームをしている古い写真がとても有名ですが、今でもよくゲームはしますか?
バークと一緒にビデオゲームをしていた頃からずっとゲームは好きだよ。ビデオゲームに限らず、さっき話題にあった小さいバスケットゴールを使った1on1みたいな体を使ったゲームも好きだよ。
――今話題になっている『ポケモンGO』はやっていますか?
ポケモンGOはやっていないよ(笑)
――『NBA 2K16』はプレイしていますか?
NBA 2Kシリーズは従兄弟とよく遊んでいるよ。ゲームの中では、僕よりもその従兄弟のほうがバスケが上手いよ。
――NBA 2K16のグラフィックはどうですか?
とてもリアルで良いと思うよ。僕がプロ入りした最初の頃は「これは誰?」ていうぐらい似てなかったけど、その後NBA 2Kのスタッフが僕の全身をスキャンして改良を重ねてくれて、どんどん良くなった。僕が髪型をモーホークに変えたら、すぐにゲーム内の髪型も変更してくれたよ。
――これは来日したNBA選手にいつも聞いている質問なのですが、あなたはNBA 2Kの自分のレーティングに満足していますか?(サリンジャーのレーティングは77)
納得しているよ。それが一般的に見た僕の評価だろうからね。でも、もっと良いプレイをして自分の力を証明して、評価を上げたいとは思っているよ。コービー・ブライアントやレブロン・ジェームズみたいに94ぐらいのレーティングにするのは並大抵のことではないけどね(笑)
――最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。
僕自身、そしてチームやNBAを代表して、いつも試合を観て応援してくれているファンの皆さんに感謝の気持ちを伝えたい。ツイッターで送ってくれる応援メッセージにもいつも励まされているよ。ありがとう!
イラストレーター、CGデザイナー、バスケットボールライター。イラストやCGの制作、バスケットボール取材、コラムや漫画の執筆、写真撮影など幅広く活動。2013年から1年間NBA.com Japanでイラストコラムを連載した。現在もユタ・ジャズ関連を中心に毎シーズンNBA現地取材をしている。2011年にデロン・ウィリアムズとカイル・コーバー主催のチャリティ・ドッジボール大会のメイン・ビジュアルを手がけたほか、NBA選手たちのTwitter、Instagram、Facebookのアイコン用イラストを数多く描いている。 Twitter: @jashin_mizuho Instagram: jashinmizuho
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