NBAファイナルはマイアミ・ヒートとデンバー・ナゲッツの対戦となった。
これまでNBAファイナルにたどり着いたことがないチームと、NBAの歴史で初めてシリーズ3勝0敗から逆転負けを喫しそうになった第8シードの対戦だ。
プレイオフに入ってからの3つのシリーズで、ナゲッツのニコラ・ヨキッチは平均トリプルダブルと非常に活躍している。一方、「プレイオフ・ジミー」と呼ばれるヒートのジミー・バトラーは、東地区のプレイオフで最高のパフォーマンスを見せてきた。
どちらのスター選手がラリー・オブライエン・トロフィーを掲げられるのだろうか。6月1日(日本時間2日)に第1戦が行われるシリーズの注目ポイントを見ていこう。
ヒート対ナゲッツ:直接対決と今季の対戦
レギュラーシーズンの2回の対戦を見る限り、競争の激しいシリーズとなるだろう。両軍とも主力選手が全員起用可能だったマイアミでの最初の対戦は、124-119でナゲッツが制している。
デンバーでの2試合目では、ジャマール・マレー、アーロン・ゴードン、カイル・ラウリー、タイラー・ヒーロー、ダンカン・ロビンソンが不在だった。結果は112-108で再びナゲッツ勝利だ。
今季よりも前を振り返ると、ナゲッツが圧倒している。ここ10試合のうち9試合を制しており、現在は6連勝中。レギュラーシーズンで最後にヒートに敗れたのは、2020年8月のオーランドでの「バブル」までさかのぼる。
シリーズで活躍するのはニコラ・ヨキッチとジミー・バトラーのどちらか?
レギュラーシーズンの対戦で、ヒートはヨキッチに平均23得点を含むトリプルダブルと圧倒された。ヨキッチを十分に守れるほどの高さがヒートにはないのだ。大半でヨキッチを抑えようとしたのはバム・アデバヨだが、身長で2インチ(約5センチ)、体重で約30ポンド(約13キロ)の差がある。
アデバヨは守備がファンタスティックな選手だ。しかし、リーグのトラッキングデータによると、レギュラーシーズンでマッチアップした際にヨキッチにフィールドゴール成功率60%を記録されている。昨季の対戦でも成功率67%と、それ以上にヨキッチにショットを決められていた。
ヒートはスイッチでより小さい選手をヨキッチにあてる実験もしたが、バトラーやケイレブ・マーティンといった選手たちは簡単にヨキッチに倒されている。
最後にヒートがナゲッツと対戦した時に不在だったケビン・ラブは、ヨキッチにサイズで対抗できる選択肢になり得る。しかし、ラブはここ数シーズン、ヨキッチを守っていない。なお、ヒートにはコディー・ゼラーという控えのビッグマンもおり、彼がヨキッチ相手に少し対抗できるかもしれない。
ヨキッチ対策の素晴らしい選択肢がないヒートに対し、ナゲッツはバトラーに対する堅実な選択肢を持つ。最初の対戦ではゴードン、2試合目ではケンテイビアス・コールドウェル・ポープが主に対応した。
ゴードンはポストでバトラーに対抗する強さと、ペリメーターでマークを保つためのスピードを持つ。コールドウェル・ポープは守備が得意で、バトラーのフェイダウェイジャンパーに対抗できるリーチの長さがある。ブルース・ブラウンも、バトラーをより苦しめるために必要な強さを持つ選手だ。
ただ、サイズでバトラーに対抗するのに十分なナゲッツだが、レギュラーシーズンの対戦ではあまり止めることができておらず、平均20.5得点、8.5アシスト、8.0リバウンドを記録されている。ナゲッツはチームでバトラーを止めようとしなければならないだろう。
ヒートのXファクター:カイル・ラウリー
ラウリーはヒートでうまくベンチの役割を担うようになった。プレイオフを通じてタイムリーの3ポイントショットやエネルギッシュなプレイを披露している。
彼のスクリーンは非常に重要となるだろう。レギュラーシーズンの対戦で、ラウリーは主にマレーにマークされていた。ヒートはそのマレーをバトラーとマッチアップさせるべく、ラウリーをスクリナーとして使おうとするはずだ。ラウリーはこれまでのシリーズでもこの役割を非常にうまくこなした。ボストン・セルティックスとのシリーズでは、より小さいデリック・ホワイトにバトラーを守らせることに成功している。
また、ラウリーはテイクチャージでビッグプレイを披露したり、全般的に厄介な存在となってきた。ナゲッツをスローダウンさせるために守備で極めて活発となる必要があるヒートだが、ナゲッツの攻撃を封じる力を持つのがラウリーなのだ。
ナゲッツのXファクター:ケンテイビアス・コールドウェル・ポープ
ヒートがプレイオフを通じて何度か試してきた2-3ゾーンを打ち破るための上策のひとつは、上からショットを沈めることだ。そこで違いとなり得るのが、コールドウェル・ポープの存在である。彼はかなりオープンなショットを打てるはずだ。
コールドウェル・ポープはレギュラーシーズンでこの役割をこなしてきた。3P成功率は自己最高の42.3%だ。ヒートとの対戦でも7本中6本成功と活躍している。
ヒート対ナゲッツの予想
ヒートは自分たちを軽んじるのが間違いだと示してきた。彼らは、レギュラーシーズン44勝でプレイオフにかろうじて勝ち進んだチームではない。
しかし、ナゲッツはヒートにとって良い相手ではない。タレントに関しても攻撃力の面でも、ナゲッツにかなりのアドバンテージを持たれているのだ。ヒートには、前回の対戦でFG14本中12本成功を記録されたヨキッチに対抗できるだけの優れた人材がいないのである。
ヒートのゾーンディフェンスも効果をなさないかもしれない。ナゲッツは外からのショットが優れ、ゾーンディフェンスでは抑えるのが大変なタイプのパスと動きを見せるチームだ。
2020年のNBAファイナルで、バトラーはひとりで2試合に勝てると示した。だが、ヒートがナゲッツに4勝するとは思えない。
予想は、第6戦でナゲッツ勝利だ。
原文:Heat vs. Nuggets predictions: NBA Finals X-factors, Jokic vs. Butler, head-to-head records and more(抄訳)