インディアナ・ペイサーズは2023-2024シーズン途中、ドラフト1巡目指名権3つ引き換えにパスカル・シアカムを獲得する大きな動きに出た。
オールスター選出2回のシアカムと新たに大型取引を結ぶのがペイサーズの狙いなのは明らかだった。そしてペイサーズはそれを実現させたようだ。
『ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー記者によると、シアカムはペイサーズと4年1億8950万ドル(約299億4100万円/1ドル=158円換算)の契約を結ぶようだ。正式なサインは7月6日(同7日)まで待つと伝えられている。
ここでは、シアカムとペイサーズの新契約についてまとめる。
パスカル・シアカムの契約詳細
シアカムは2024-2025シーズンのサラリーキャップの30%を占めることになる。正式な金額は明らかになっていないが、サラリーキャップは1億4100万ドル(約222億7800万円)と見られる。
各シーズンの推定年俸は以下のとおりだ。
- 2024-25シーズン:4230万ドル(約66億8340万円)
- 2025-26シーズン:4568万4000ドル(約72億1807万円)
- 2026-27シーズン:4933万8720ドル(約77億9552万円)
- 2027-28シーズン:5245万2000ドル(約82億8742万円)
パスカル・シアカムとペイサーズの延長契約評価
この取引は既定路線だった。だからこそ、これほど早くにまとまったのである。シアカムをトレードで獲得することにより、ペイサーズは最高額を彼に提示する権利を保証したかたちだ。イースタン・カンファレンス・ファイナル進出という驚きの躍進と合わせ、これはシアカムに再契約を結ぶことを納得させるのに十分だった。
シアカムはペイサーズで前評判以上の活躍だった。NBAプレイオフ2024で平均21.6得点、7.5リバウンド、3.8アシストを記録。ポストシーズンでは最高級のパフォーマンスを何度か見せ、タイリース・ハリバートンが苦しんだ試合でもチームを踏みとどまらせるのに役立った。
シアカムは自分で攻撃をつくり、ミッドレンジからの素晴らしいショットを生み出すことで、ハリバートンにかかっていた攻撃面での重圧を大きく軽減させた。また、トランジションで非常に危険な存在となれることも示している。両スターが最もフィットするところだ。
チームの今後にとって非常に重要となるのが、シアカムとハリバートンのケミストリーだ。シアカムが30歳でハリバートンはまだ24歳と、両選手のタイムラインは完全には一致していない。だが、今回の契約はペイサーズがそれをあまり気にしていないことを表す。ペイサーズは、今勝ち始める準備を整えているのだ。
ペイサーズが再び東地区決勝に進出したり、それ以上に勝ち進むことを予想する識者はほとんどいない。だが、ペイサーズは若いチームだ。ハリバートンは向上を続けるだろう。シアカムはプレイオフに非常にうまく適応させられることを示した。
少し払い過ぎにも見える取引だが、それはラプターズが新契約を結ぶよりシアカムをトレードすることを選んだ一因でもある。
ここでのサラリーモデルでは、シアカムは新契約の1年目で年俸3140万ドルだ。素晴らしい選手であることは変わらない。だが、マックスレベルではないだろう。それでも、ペイサーズがそれだけの額を払うと決めた理由は非常に理解できる。フリーエージェントで有力選手を獲得することができていないことを考えれば、ペイサーズがシアカムほどのレベルのタレントを獲得する道は多くないのだ。
また、5年目の契約を含めなかったことで、ペイサーズは交渉に勝利した。35歳のシーズンのシアカムに5000万ドル(約79億円)超の契約はふさわしくないだろう。
これで、ペイサーズのFA最大のポイントは解決した。次はTJ・マコーネルの年俸930万ドル(約14億6940万円)という契約を保証し、延長契約を目指すべきだ。アンドリュー・ネムハードも延長契約可能。オビ・トッピンの制限つきFAも解決しなければならない。
評価:B
パスカル・シアカムの2023-2024シーズンのスタッツ
- レギュラーシーズン出場41試合
- 1試合平均21.3得点
- 1試合平均7.8リバウンド
- 1試合平均3.7アシスト
- フィールドゴール成功率54.9%
- 3ポイントショット成功率38.6%
- フリースロー成功率69.9%
原文:Pascal Siakam contract details: Grading Pacers star's extension that makes him one of NBA's highest-paid players(抄訳)
翻訳:坂東実藍