ミルウォーキー・バックスがこの6か月で急速に変えてきたのはロスターではない。コーチングスタッフだ。
先月、バックスは開幕からわずか36試合で就任1年目のエイドリアン・グリフィン・ヘッドコーチを解任することを選んだ。4シーズンの指揮を経て、オフシーズンに解任されたマイク・ブーデンホルザー前HCの後任だった。
グリフィン退陣後は、ジョー・プランティ代理HCにバックスが後任を選ぶまでの3試合が託された。そして1月末、ドック・リバース現HCが就任している。
この6カ月のことについて、バックスのスターであるヤニス・アデトクンボが、NBAオールスターウィークエンドに質問を受けた。MVP受賞2回のアデトクンボは、めまぐるしく指揮官が入れ替わっていったのは「大変だった」と認めている。
アデトクンボは「大変だったよ。大変だった。6か月で4人目のコーチだ」と話した。
「それぞれ哲学やゲームプランは異なる。大変さ。へとへとだよ」
「僕は生徒だ。何かを求められれば、ベストを尽くしてそれをしようとする。自分たちが成し遂げようとしているのは何かを理解しようとする。自分で理解できるように、そしてチームメイトたちが質問された時に彼らのために自分がいられるようにね」
リバース政権の滑り出しは、まったく順風満帆ではない。35勝21敗でイースタン・カンファレンスの上位を競っていることは変わらないが、リバース就任以降は3勝7敗という成績だ。東地区の2位から3位に順位を落とした。そしてさらに落ちる恐れもある。
リバースHCは『Fox Sports』で「思っていた以上に難しいかもしれない」と述べた。就任を引き受けるかどうか、オールスターブレイクまで待ちたいと球団に頼んでいたとも明かしている。
それでも、アデトクンボはリバースHCとの仕事や、彼の勝者の心持ちが「大好きだ」と話した。
アデトクンボは「コーチ・ドックと働くのは大好きだよ」と述べている。
「彼はとても、とても成功してきた人だ。リーグで彼が成し遂げてきたことはたくさんある。NBAの試合で1100試合に勝っているんじゃないか。1100試合もこなしていない人だっているじゃないか」
「なんというか、優勝のレベルをチームにもたらしてくれるんだよ。彼は勝ってきた人だ。これまで多くの成功したチームで指揮を執ってきた。そういう人がベンチにいれば、自分のベストを出さなければいけない」
ヤニス・アデトクンボを指導してきたバックスのコーチたち
アデトクンボは指揮官の入れ替わりを経験していなかったわけではない。現代のNBAでは普通のことだ。現在、5シーズン超にわたって指揮を執っているヘッドコーチは5人しかいない。
2013-2014シーズンにNBA入りしてから、アデトクンボは6人の異なるヘッドコーチの下でプレイしてきた。
アデトクンボのルーキーイヤーの指揮官だったラリー・ドリューは1シーズンで退陣。後を受けた現ダラス・マーベリックスHCのジェイソン・キッドは、2014年に就任して2018-2019シーズンに解任されている。この時もプランティが代理HCとしてシーズン最後まで指揮を執った。
その後は、ブーデンホルザーの時代だ。偉大なるグレッグ・ポポビッチの薫陶を受けたブーデンホルザーは、2021年にバックスをNBAタイトルに導いた。球団にとって1971年以来の優勝だ。5シーズンの在任中に力強い戦いぶりを見せてきたブーデンホルザーだが、プレイオフ・ファーストラウンド敗退に終わった昨季終了後、オフシーズンに解任されている。
コーチ | シーズン | 試合 | 戦績 |
ラリー・ドリュー | 2013-2014 | 82 | 15勝67敗 |
ジェイソン・キッド | 2014-2018 | 291 | 139勝152敗 |
ジョー・プランティ | 2018 | 37 | 21勝16敗 |
マイク・ブーデンホルザー | 2018-2023 | 391 | 271勝120敗 |
エイドリアン・グリフィン | 2023 | 43 | 30勝13敗 |
ジョー・プランティ | 2024 | 3 | 2勝1敗 |
ドック・リバース | 2024 | 10 | 3勝7敗 |
*記録は現地2024年2月18日時点
原文:Giannis Antetokounmpo speaks on 'draining' coaching carousel: Doc Rivers marks 4th coach in 6 months for Bucks(抄訳)
翻訳:坂東実藍