アメリカ代表はFIBAバスケットボールワールドカップ2023でベスト4に勝ち上がり、金メダルまであと2勝と迫った。だが、頂点に立つのは簡単なことではない。準決勝でアメリカを待つのは、今大会まだ無敗のドイツである。
ドイツが頼る才能あるロスターをけん引するのが、トロント・ラプターズのデニス・シュルーダーだ。
NBAでも影響力を持つ選手だが、ドイツ代表としてFIBA主催大会に出場した時は、さらにレベルアップする。準々決勝のラトビア戦ではフィールドゴール26本中4本成功だったが、それでも今大会はここまで平均18.0得点、6.3アシストを記録し、ドイツを引っ張ってきた。
アメリカはドイツとの一戦に向けて準備する上で、シュルーダーがもたらす独特な困難への対処に忙しくなるだろう。
なぜデニス・シュルーダーがワールドカップ準決勝でアメリカの問題に?
スター選手に対してこう言うと月並みかもしれないが、ドイツは本当にシュルーダーが活躍すると強い。シュルーダーの出来が今大会で最も荒れたラトビア戦で、ドイツが苦しみながらの勝利となったことも、あまり驚きではないのだ。
シュルーダーは大会を通じ、スコアラーとしてもプレイメーカーとしても相手の脅威であることを証明してきた。スロベニアに大勝した試合では、24得点、8アシストを記録している。オーストラリアに競り勝った試合では、30得点、10アシストでダブルダブルを達成した。ドイツにとって最も厳しい相手たちとの試合で、シュルーダーはベストパフォーマンスを見せてきたのだ。
そのドイツにとって最も厳しい相手となるアメリカは、NBA選手だけで構成されたチームだ。シュルーダーを守れる複数のディフェンダーを擁している。だが、前回よりもはるかにうまくやる必要があるだろう。
大会前の強化試合で、アメリカはドイツを下したが、猛烈な逆転劇を必要とした。後半に最大16点のビハインドを背負ったのだ。そしてそのドイツに貢献したシュルーダーには16得点、10アシストを許している。
見事なスタッツだが、シュルーダーの影響力を完全に示してはいない。彼の影響力はほとんどピック&ロールでの巧みさに見ることができる。
シュルーダーは、ダニエル・タイスやモリッツ・バグナーによる高い位置でのボールスクリーンからアメリカにとって大きな問題となったのだ。
スコアラーとしても、
プレイメーカーとしても、だ。
ミケル・ブリッジズ、ジェイレン・ブランソン、ジョシュ・ハート、ブランドン・イングラムなど、多様なディフェンダーたちを相手にしても、シュルーダーはアメリカの守備に立ち向かい、リム付近でフィニッシュしたり、味方のビッグマンにお膳立てできるだろう。
それはアメリカのビッグマンたちを厳しい状況に置くはずだ。ドイツがボールスクリーンをかける位置で、パオロ・バンケロやジャレン・ジャクソンJr.は厳しいカバーリングを強いられる。しっかりついていっても、シュルーダーのプレイメークにやられる。そして十分についていかなければ、シュルーダー自身に得点を許したり、ファウルを誘われることになるのだ。ジャクソンJr.が苦しんでいることを考えれば、最悪のシナリオである。
さらに、アメリカのリバウンドの問題を考えれば、シュルーダー自身にフィニッシュされなくても代償を払わされるかもしれない。
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アメリカがシュルーダーを抑える鍵となるのは連係だ。準決勝ではアンソニー・エドワーズに加え、前述の選手たちがペリメーターでそれぞれシュルーダーに対峙するだろう。
アメリカにはシュルーダーを苦しめられるだけの人材がそろっている。だが、そのためには規律、コミュニケーション、そして連係が必要となるのだ。
スコアラーとしてもプレイメーカーとしても影響力のあるシュルーダーだけに、彼を苦しめることができれば、アメリカにとって半分勝ったようなものとなる。ただ、準決勝が足首の負傷から復帰して2戦目となるフランツ・バグナーの存在も見過ごしてはいけない。
大会前の両チームの強化試合が何かを示しているのなら、準決勝はファンにとって素晴らしい一戦となるだろう。そして鍵となるのはシュルーダーだ。
原文:Why Dennis Schroder poses a problem to Team USA vs Germany in FIBA Basketball World Cup semifinals(抄訳)