ボストン・セルティックスが通算18回目の優勝を飾った。
NBAファイナル2024第5戦でダラス・マーベリックスを下し、セルティックスは2008年以来となるラリー・オブライエン・トロフィーを獲得した。
セルティックスはレギュラーシーズンを64勝18敗と支配的な成績で終えると、プレイオフでも16勝3敗。NBAの歴史でも有数の支配的な戦いぶりだった。通算18回の優勝は史上最多だ。チームの主軸の大半は長期契約を結んでいる。セルティックスがすぐにどこかにいってしまうことはないだろう。
王者となり、連覇を目指すことなるセルティックスの現状をまとめる。
オフシーズンの注目ポイント:ホワイト延長契約、テイタムのスーパーマックス契約
今オフシーズンでフロントオフィスにとって最も優先課題となるのが、ジェイソン・テイタムのスーパーマックス延長契約とデリック・ホワイトの延長契約交渉だろう。前者はシンプルにいくはずだ。
テイタムは総額3億1480万ドル(約497億3840万円/1ドル=158円換算)と見込まれる5年のスーパーマックス契約を結ぶ資格がある。セルティックスがためらわずにオファーするのは間違いないだろう。
テイタムはリーグ有数の選手という地位を固めた。ここ5シーズン連続でオールスターに選出され、オールNBAファーストチームに3回選ばれている。テイタムがNBA入りしてからの7年でセルティックスはいずれもプレイオフ進出を果たしており、イースタン・カンファレンス・ファイナル進出3回、NBAファイナル進出2回だ。
安定した生産性に加え、テイタムは最も稼働しているスーパースターのひとりでもある。プレイオフの試合を欠場したことがなく、レギュラーシーズンの554試合のうち、欠場したのはわずか41試合。3億ドル(約474億円)の契約でも完全に見合う価値がある。
テイタムがスーパーマックス契約を結ぶとすると、主力6選手のうちで長期契約の交渉が残るのはホワイトとなる。
ホワイトの場合はテイタムほど明確な状況ではない。2022年のトレードデッドライン(トレード期限)でサンアントニオ・スパーズからセルティックスに加入して以降、NBAで最も成長した選手のひとりであるホワイトは29歳だ。
ホワイトはバスケットボール界で有数のペリメーターディフェンダーに成長し、2シーズン連続でオールディフェンシブチームに選出された。3ポイントショットもここ2シーズンで成功率38.9%にまで成長。そのボールハンドリングと得点サポートでテイタムとジェイレン・ブラウンを支えつつ、数々のビッグショットを沈めてきた。
現在のセルティックスにとって極めて重要なピースとなったホワイトだが、チームに残るために多少の減俸を受け入れるだろうか。
ネイト・ダンカンとジョン・ホリンジャーのポッドキャスト『Dunc'd On Podcast』によると、ホワイトは4年総額1億2200万ドル(約192億7600万円)の延長契約を結ぶことができる。平均年俸は3050万ドル(約48億1900万円)と、ジャマール・マレー、ブランドン・イングラム、タイラー・ヒーローらと同程度だ。
ホワイトはそれだけの契約にふさわしいだろう。だが、財政状況を考えると、セルティックスは最高額での延長契約をオファーしないかもしれない。ホワイトがセルティックスで王座を追い求め続けたいと思うのは、その最高に近くて立派な金額を受け取れる場合だけではないだろうか。
NBAファイナル第3戦の前に、『MassLive』のブライアン・ロブ記者は「リーグ情報筋によると、財政的な困難が迫るにもかかわらず、セルティックスはこの夏ホワイトと延長契約を結ぶことに非常に前向きだ」と報じている。
バスケットボール運営部代表のブラッド・スティーブンズは、プレイオフ中に「可能な限りできるだけ長くデリックにいてほしい」と話した。
「この仕事をするようになってまだ日は浅い。だが、脳手術のようには思わないよ。ホワイトをここにとどめられるのなら、おそらくそれは良いアイディアだ」
セルティックスの今後のフリーエージェント
今オフシーズンのセルティックスはあまりフリーエージェントを心配する必要がない。
オシェイ・ブリセットには250万ドル(約3億9500万円)のプレイヤーオプションがある。25歳の彼が別のチームで役割ともっと高額の契約を目指すことを選ぶかは興味深い。210万ドル(約3億3180万円)のサム・ハウザーと220万ドル(約3億4760万円)のネミーアス・ケイタの2024-2025シーズンの契約はチームオプションだ。
注目はハウザーだ。26歳で今季の3P成功率42.4%のシャープなシューターは、守備面でも明らかな向上を見せてきた。
セルティックスはシンプルにハウザーの契約のチームオプションを行使するかもしれない。あるいはそのオプションを破棄し、ハウザーとそれなりの契約を結んでローテーションにとどめ、2025年に彼が市場に出回るのを防ぐ可能性もある。
ルーク・コーネット、ゼイビアー・ティルマンSr.、スビ・ミハイリュクはいずれも無制限FAとなる。コーネットとティルマンSr.はフロントコートのローテーションを埋める選手たちだ。リーズナブルな価格である限り、どちらか(ないし双方)をとどめるのが最善だろう。
制限つきFAは2ウェイ契約のJD・デイビソンだけとなっている。
無制限FA | 制限つきFA | プレイヤーオプション | チームオプション |
ルーク・コーネット | JD・デイビソン | オシェイ・ブリセット | サム・ハウザー |
スビ・ミハイリュク | ネミーアス・ケイタ | ||
ゼイビアー・ティルマンSr. |
セルティックスの今後のサラリーとロスター
早々に選手の契約交渉に対処してきたセルティックスのフロントオフィスは称賛されるべきだろう。
ホーフォードとは2022年に2年の延長契約を結んだ。2023-24シーズンの前には、ブラウン(5年スーパーマックス契約)、クリスタプス・ポルジンギス(2年)、ペイトン・プリチャード(4年)と延長契約を結んでいる。
ホリデーとはNBAプレイオフ2024の直前に4年の延長契約を結んだ。
テイタムがスーパーマックス契約を結び、セルティックスがホワイトのために適切な金額を見つけることができれば、スターターの5人全員の契約が少なくともあと2シーズン超となる。
選手 | 2024-25 | 2025-26 | 2026-27 | 2027-28 | 2028-29 | 2029-30 |
ジェイレン・ブラウン | 4940万ドル | 5330万ドル | 5730万ドル | 6120万ドル | 6510万ドル | UFA |
ジェイソン・テイタム | 3490万ドル | 3710万ドル(PO) | UFA | — | — | — |
ドリュー・ホリデー | 3000万ドル | 3240万ドル | 3480万ドル | 3720万ドル(PO) | UFA | — |
クリスタプス・ポルジンギス | 2930万ドル | 3070万ドル | UFA | — | — | — |
デリック・ホワイト | 2010万ドル | UFA | — | — | — | — |
アル・ホーフォード | 950万ドル | UFA | — | — | — | — |
ペイトン・プリチャード | 670万ドル | 720万ドル | 780万ドル | 830万ドル | UFA | — |
ジェイデン・スプリンガー | 400万ドル | RFA | — | — | — | — |
オシェイ・ブリセット | 250万ドル(PO) | — | — | — | — | — |
ネミーアス・ケイタ | 220万ドル(TO) | UFA | — | — | — | — |
サム・ハウザー | 210万ドル(TO) | UFA | — | — | — | — |
ジョーダン・ウォルシュ | 190万ドル | 220万ドル | 240万ドル(TO) | UFA | — | — |
PO = プレイヤーオプション
TO = チームオプション
NG = 無保証
UFA = 無制限FA
RFA = 制限つきFA
セルティックスのNBAドラフト2024の指名権
セルティックスにはNBAドラフト2024で2つの指名権がある。全体30位と全体54位だ。
1巡目指名権を複数の2巡目指名権とトレードしても驚いてはいけない。
NBAドラフト2023でも、スティーブンズはできるだけ将来の2巡目指名権を手に入れるべく、何度かトレードバックしている。ことしのドラフトでも同じ戦略を用いるかもしれない。
原文:Celtics win NBA championship: Derrick White's future, Jayson Tatum supermax headline important offseason for Boston(抄訳)
翻訳:坂東実藍