NBAにおいて第7戦ほど素晴らしいものはない。ボストン・セルティックスとフィラデルフィア・76ersはここに至るまでバトルを繰り広げてきたが、5月14日(日本時間15日)の最終戦もまったく変わらないはずだ。
このシリーズでは、文字通り、そして比喩的に、重要な選手が姿を消したことがあった。第1戦は、ひざのケガでジョエル・エンビードが欠場したが、ジェームズ・ハーデンが45得点の大爆発をしたおかげで76ersが勝利した。ハーデンは第4戦でも42得点をあげたが、第2戦、第3戦、第6戦では、44本のショットを放つも成功率は20%で、すべて76ersの負けに終わった。
セルティックスのジェイソン・テイタムにとっては非常に浮き沈みの激しいシリーズとなっている。ここ2試合でフィールドゴール成功率は33.3%に過ぎない。ジェイレン・ブラウンはより安定しているが、試合の後半になるとショットが決まらない。彼の得点は、第1Qの9.0得点から、第2Qは4.3得点、第3Qは6.0得点、第4Qは3.8得点となっている。
スター選手が活躍するチームが生き残ることになると予想される第7戦の注目すべき点を見ていこう。
ジェイソン・テイタムは守備のプレッシャーに打ち勝てるか?
テイタムは、第6戦の第4Q中盤にはFG14本中1本しか決められず、エリミネーションゲームにおけるスター選手のパフォーマンスとしては史上最悪のひとつになりそうな勢いだった。その後、3本の3ポイントショットを決めて持ち直したが、このシリーズであまり良いプレーができないという厄介な傾向が浮き彫りになってしまった。
その理由は少なくとも、76ersが彼に対して行っている守備のカバレッジで一部説明ができる。76ersはピールスイッチングを多用し、テイタムがバスケットに向かってドライブする際に最も近いディフェンダーが彼にスイッチするようにしている。
76ersはこのピールスイッチングのテクニックをセルティックスの最初のポゼッションで取り入れ、ペイント内へドライブしようとするテイタムにタイリース・マクシーをスイッチさせた。これによって、テイタムがリムに向かうことを妨げ、76ersはドライブしようとするテイタムを抑え込む素晴らしい仕事をしている。
テイタムへの守備に注意が集まることで彼のチームメイトにミスマッチやスペースが生まれ、テイタムはそれをうまく突いている。このシリーズで、彼は1試合平均5アシストを記録している。しかし、彼はなんとかしてリムに向かっていく方法を見出し、その戦略に打ち勝つ必要がある。
PJ・タッカーはショットを打つのか?
セルティックスは第6戦で重要な調整を行い、ロバート・ウィリアムズ三世をアル・ホーフォードと並べて起用した。ウィリアムズはタッカーを「ガード」したが、それは実際にはタッカーを完全に無視し、リム付近のショットを促すことを意味していた。
76ersがこの戦略に対抗するには、セルティックスの守備が許しているワイドオープンのコーナースリーをタッカーに打たせるのが一番だ。タッカーは実際に3Pを7本打った。それは2021年12月以来、最も多い試投数だ。しかし、そのうちの2回しか成功せず、セルティックスにその代償を支払わせることはできなかった。
タッカーが無防備になると、76ersのほかの選手にとってはペイント内が詰まりすぎる。タッカーがより多くのオープンスリーを決めることで、セルティックスの戦略を成り立たなくさせなければならない。
76ersはジンクスを克服できるのか?
この試合の結果次第では、崩壊するか、強化されるか、どちらかになるジンクスがいくつか存在する。
シリーズのリードを台無しにするドック・リバース
リバースHCは、2003年、2015年、2020年と、3度の異なるシリーズで3勝1敗のリードを台無しにしたことで有名なヘッドコーチだ。彼は、2009年、2010年、2012年にも、3勝2敗のリードを3度吹き飛ばしたことがある。76ersが一時は3勝2敗とリードしていたことを考えると、彼はその伝統をさらに増やすことになるかもしれない。
プレイオフで姿を消すジェームズ・ハーデン
ハーデンはプレイオフでの成績が悪いことで有名だ。昨年の76ersのエリミネーションゲームでは、わずか11得点のみ、4回のターンオーバーを記録し、完全に姿を消した。ハーデンは個人的な栄誉はすべて獲得しているが、ファイナルに進出したのは1度だけで、タイトルを獲得したことはない。
ジョエル・エンビードのプレイオフでの成功体験不足
エンビードは優秀ではあるものの、ファーストラウンドを過ぎてからのプレイオフでの成功はあまり経験がない。今回で6年連続でのプレイオフに進出となり、そのうち5回はセカンドラウンドに進出しているが、それ以上に進んだことはない。
プレイオフでの成功不足を克服できるまで、エンビードは常に批判を浴びることになる。もし彼がこの試合に負ければ、さらに多くの批判を浴びることになるだろう。
セルティックス対76ers第7戦の予想
両チームのプレイは極めて不均一であり、予想を立てるのは難しい。そして、正直なところ、第7戦では、ある程度の分析は無視していいと言える。結局のところ、すべてはショットメイキングに帰結するのだが、チームが3Pに依存するようになった今となってはなおさらのことだ。
セルティックスにとってはホームでの試合であり、レギュラーシーズンではもっと良いチームであったことを考えれば、セルティックスが有利になるだろう。
しかし、私は様々な理由から76ersを支持する。リバースHCは批判を受けながらも、このシリーズではしっかりとしたコーチングを行った。彼の調整によって、チームは勝てる最高のチャンスを得た。
76ersはまた、ジョエル・エンビードというこのシリーズで最も優れた選手を擁している。彼はリムディフェンダーとして多大な影響力を持ち、1試合平均27.6得点で全選手をリードしている。エンビードはプレイオフの魔物を退治し、チームを勝利に導くことができるはずだ。
シリーズ勝敗予想: 76ersの勝利
原文:Celtics vs. 76ers prediction: Will Jayson Tatum or Joel Embiid, James Harden answer the bell in Game 7?
翻訳:YOKO B Twitter:@yoko_okc