スポーツ界においてNBAオールスターウィークエンドほど特別なイベントはそうはない。
その数日間は、たったひとつの都市がプロバスケットボール界の中心と化し、あらゆる年代の偉大なスター選手たちが一同に会する。これは、2022年には2つの意味を持つものとなった。クリーブランドの街で、オールスター開催ともに、リーグ創立75周年記念シーズンを祝うことで、NBAの過去と現在と未来を称えることとなったからだ。
NBAとそのOBの選手たちは、NBAの伝説として永遠に記憶に残るオールスターの思い出のほかにも、クリーブランド・コミュニティに非常に大きなインパクトをもたらした。そのOBの1人は、2016年にクリーブランド・キャバリアーズで優勝を果たし、2019年にキャバリアーとして引退したチャニング・フライだ。
オールスターウィークエンドを前に、フライは『Mobil 1』と組んでクリーブランドのメリック・ハウスのバスケットボールコートを改修した。それは、全米のコミュニティー・バスケットボールコートを改修する『Mobil 1のチューンアップ・プログラム』の一環だった。
フライにとっては、約4シーズンにわたってホームと呼び、チャンピオンとなった街でのオールスター開催。新しいコートの除幕式のためにクリーブランドに戻ってきた彼は、クリーブランドについて『The Sporting News』(以下、TSN)に誇らしげに話してくれた。
「優勝したときも家族に悲劇が襲ったときも、クリーブランドは私のそばにいてくれた。彼らは私に対して、そして私は彼らに対してとても好意を寄せている」。
「私はこの街のすべてが大好きなんだ、特にここの人々がね。ここの人たちはスポーツを楽しむ勤勉な人々ですが、さらにお互いを慈しんでいる」。
フライのことやメディアにおける彼の活躍に覚えがある人なら、彼のユーモアと内観の二面性をご存じだろう。フライが、この新しいバスケットボールコートを見た目以上にずっと美しいものとして捉えることができるのはその内観のおかげだ。
「元NBA選手としていろいろと手伝いをする機会があるなかにはプライベートで行なっていることもあるが」とフライは付け加えた。
「『Mobil 1』と一緒に仕事をする機会を得て、私は本当にこう感じたんだ。『これは心にグッとくる』ってね。それは、『バスケットボールのコートはどんなものにもなり得るし、想像力をかき立てる絵筆のようなもの』ってことだ。ここは、子供たちが安心して、競い合って、スポーツやチームワークについて学ぶことができる場所なんだよ」。
クリーブランドの子供たちが、改装されたコートを自分たちの想像力をかき立てる絵筆として使えるように、今年のキャブズは、コートを絵筆として使って自分たちの傑作を作り上げ、フライがレブロン・ジェームズやカイリー・アービング、ケビン・ラブらとともにプレイしていた頃のエキサイティングさを取り戻している。
2022年のNBAプレイオフが近づくなか、キャブズが4年ぶりにポストシーズン進出を果たすことはほぼ確実だ。キャブズについて語るフライの言葉には誇らしさがにじみ出る。
「今のチームをとても誇らしく思うよ」とフライは言う。
「というのも、このチームは私たちのあのときのチームとは違う存在でなければならないからだ。2016年の私たちは、非常にユニークなチームだった。でも、今のチームは、この街と人々を真に反映するような、独自のアイデンティティを作り上げていると思う」。
クリーブランドの人々の特徴について説明していたフライの言葉を引用するなら、キャブズは一生懸命働き、ゲームを楽しむチームであり、そして何よりもお互いを楽しめるチームだ。
オールスターウィークエンドでキャブズは、最優秀新人賞候補のエバン・モーブリーがライジングスターズ・チャレンジで活躍し、そのあとには、ジャレット・アレン、ダリアス・ガーランドと力を合わせてスキルズチャレンジで優勝するなど、その存在感を示した。
さらにアレンとガーランドはオールスターゲームにも出場し、クリーブランドでのオールスターウィークエンドの最後を飾った。
20歳のモーブリー、22歳のガーランド、23歳のアレンを先頭に、2016年のタイトルチームのメンバーとしてただ1人残るベテラン選手のラブがチームの橋渡し役となり、キャブズは上から下まで認めるに値するユニークなものを築き上げている。
「(ヘッドコーチの)JB・ビッカースタッフとキャブズの上層部は、正しいやり方でプレイをしたい若者を配置し、そこにリーダーやカルチャーを伝える選手たちを投入して、本当に素晴らしい仕事をしていると思う」とフライは話す。
「このリーグはカルチャーがすべてなんだ。勝利のカルチャーがあれば、優勝するチャンスは常にある」。
優勝経験者として、優勝するために何が必要なのかフライは良く知っている。キャブズが築き上げたものがあれば、再び頂点に立つということはもはや想像の産物ではないーーそれは、具体的な目標であり、若返ったカルチャーの副産物である。
原文:Much like the Cavaliers, Channing Frye is contributing to the winning culture of the Cleveland community by Gilbert McGregor
翻訳:YOKO B Twitter: @yoko_okc