【バスケW杯】カナダはドンチッチをどう守るべき? 鍵はブルックスとドート|FIBAワールドカップ2023

2023-09-06
読了時間 約3分
(FIBA/NBAE via Getty Images)

カナダ代表はFIBAバスケットボールワールドカップ2023で目標の半分を達成した。パリオリンピック出場権獲得だ。だが一方で、もう半分の目標が残されている。彼らが目指すは、金メダルだ。その旅は9月6日の準々決勝スロベニア戦から始まる。

もちろん、スロベニア代表を巡る話題といえば、ルカ・ドンチッチに始まり、ルカ・ドンチッチに終わる。ワンマンショーと言うにはほど遠いが、スロベニアがすることはすべて、この24歳の天才を中心としている。

ドンチッチはここまでの5試合でチーム最多の平均得点(26.4)、リバウンド(7.4)、アシスト(6.8)を記録してきた。そしてカナダはちょうど、同じようにスター選手が安定した成績を残している他の唯一のチームだ。チーム最多の平均23.8得点、6.6リバウンド、5.2アシストを記録しているシェイ・ギルジャス・アレクサンダーのことである。

2022-2023シーズンのNBAでともにオールNBAファーストチーム入りを果たしたドンチッチとギルジャス・アレクサンダーだが、後者によると両選手のバトル以上の一戦になるという。

1on1の勝負について問われると、ギルジャス・アレクサンダーは「これはカナダ対スロベニアの試合なんだよ」と答えた。その点で真価が問われるのは確かだろう。ドンチッチという難しい問題を解決するために、カナダはチームとしての頑張りが必要となるからだ。

どのようにカナダはルカ・ドンチッチを守るべきか?

典型的な答えるのが難しい質問だ。ペリメーターでの守備が世界屈指という選手を2人擁しているのは、カナダにとって幸いだろう。ディロン・ブルックスとルーゲンツ・ドートのことだ。

FIBAの試合とNBAの試合とでは大きな差があるのを認めた上で、『NBA.com』のマッチアップデータによる数字を指摘する価値はあるだろう。ドート以上にドンチッチを守った選手は、2022-23シーズンのNBAで3人しかいないのである。

完璧なデータではないが、275の部分的なポゼッションでドンチッチとマッチアップしていることは大きい。昨季、ドートは守っている時にドンチッチのフィールドゴールを20本中7本成功(35.0%)にとどめている。ドンチッチからNBAで3本の指に入るディフェンダーとまで言われたほどだ。

ドートは守備が優れているが、リザーブとして途中出場から主なディフェンダーを務めるようになるだろう。一方、スターターとして試合開始からその役割を背負うのはブルックスだ。オールディフェンシブチーム入りした選手だけに、カナダにとって悪くないはずだ。

昨季、ブルックスはメンフィス・グリズリーズとダラス・マーベリックスの試合の1戦目を欠場した。一方、ドンチッチはその後の3試合を欠場している。そのため、ブルックスとドンチッチの直近のマッチアップデータはない。両選手がともにコートに立ったのは、マーベリックスが勝利した2021年12月8日(日本時間9日)の試合が最後。ドンチッチが効果的に得点をあげるも9ターンオーバーを犯した一戦だ。そのうちの3つは、ブルックスが守っていた時のものだった。

ドートとブルックスにはフィジカルあるが、上に示した映像で分かるように、世界最高のタレントのひとりであるドンチッチをスローダウンさせるには、チームワークが必要だ。それはカナダとスロベニアの試合でも同じだろう。

Scroll to Continue with Content

どのようにカナダはルカ・ドンチッチを守るのか?

ドンチッチほどの選手は防げない。戦略や筋書き、スキームに関係なく、得点なりプレイメークなり、あるいはその双方で試合に影響を及ぼすための報道をドンチッチは見つけるだろう。

今大会でスロベニアが最も苦しんだのは、直近の2試合だ。11点差で勝利したオーストラリア戦と、29点差で敗れたドイツ戦である。

オーストラリア戦で、ドンチッチはFG試投が9本だけだった。だが、フリースロー10本中9本成功で、最終的に19得点、7リバウンド、7アシストを記録している。そのアシストの恩恵を最も受けたのは、ドンチッチのお膳立てで18得点中7得点をあげたマイク・トビーだ。

ここに、対戦相手にとっての問題がある。スコアラーとしてのドンチッチのユーセージ率を抑えると、彼がプレイメーカーとなり、サポーティングキャストが活躍する道が開けるからだ。

ドイツ戦のドンチッチは23得点、6アシストを記録したが、FGは22本中9本成功、3ポイントショットは11本中2本成功にとどまった。スロベニアでドンチッチの次に得点をあげたのは、12得点のクレメン・プレペリッチ。トビーはFG4本試投の4得点にとどまっている。

カナダにとっては、序盤でドンチッチの周囲に調子をつかませないことが必要不可欠となる。それは単純にドンチッチをスコアラーとして活躍させるということではない。それをすれば痛手となるだろう。そうではなく、ドンチッチにより責任を負わせるのだ。ペリメーターにおけるカナダのディフェンダーのフィジカルもあり、ドンチッチにとって疲れる任務となるかもしれない。

ピック&ロールの頻度から、守備ではケリー・オリニクとドワイト・パウエルが非常に重要になるだろう。ドイツはよりスイッチに頼るアプローチだった。オーストラリアはドンチッチにボールを持たせないようにもっと早くに襲いかかった。

カナダはどうすべきなのか。正直、正解はない。同時に、間違った答えもない。

ギルジャス・アレクサンダーが言ったように、ひとりで試合に勝てる選手はいない。カナダは他選手を封じつつ、スコアラーとしてドンチッチに支配させることがあってはならない。だが、どんな守備をしても、ドンチッチは得点をあげてくると認識しておくことが重要だ。

ブルックスとドートのコンビがドンチッチに好きにさせず、チームのほかのメンバーがドンチッチのサポーティングキャストを上回ることができれば、カナダには準決勝に勝ち進む大きなチャンスがあるだろう。

原文:How should Canada guard Luka Doncic? Dillon Brooks, Luguentz Dort key to matchup in FIBA Basketball World Cup(抄訳)