なぜバックスはドック・リバースをヘッドコーチに? 経験値や優勝実績で早期決断へ

2024-01-24
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(NBAE via Getty Images)

前任者を解任してから24時間と経たぬうちに、ミルウォーキー・バックスは新たな指揮官を選んだようだ。

複数の報道によると、バックスはドック・リバースと次期ヘッドコーチ就任で合意したという。『ESPN』のアナリストを務めていたリバースだが、短期間でNBAのベンチに戻ることとなる。

2022-2023シーズンでフィラデルフィア・76ersを率いたリバースは、開幕から43試合で30勝13敗という成績のバックスを引き継ぐ。

ここでは、バックスがすぐにリバース招へいを決断した理由をまとめる。

なぜバックスはドック・リバースをヘッドコーチに? 

シンプルに言えば、指導経験や勝者としての歴史から、リバースが候補となるコーチの中で際立った存在だったからだ。

エイドリアン・グリフィン前HCの解任直後、『TNT』のクリス・ヘインズ記者は、バックスが後任としてリバースを招へいすることを「強く検討」すると報じた。その後、ESPNのエイドリアン・ウォジナロウスキー記者も、バックスは「招へい可能で実績のあるベテランヘッドコーチたち」を優先と伝えている。

シーズン途中での指揮官交代とあり、実績あるベテランという条件を満たし、かつ招へい可能なヘッドコーチというのは極めて限られていた。

1999年に初めてヘッドコーチになって以降、リバースはNBAのすべてのシーズンで指揮を執ってきた。ヘッドコーチとしての24シーズンで、リバースは年間最優秀コーチ賞を受賞し、2008年にNBA優勝、2010年にイースタン・カンファレンス・ファイナル進出を成し遂げている。NBA史上最も偉大なコーチ15人のひとりにも選ばれた。

ウォジナロウスキー記者が『SportsCenter』で伝えたように、優勝経験のあるコーチとしての実績や、東地区で競争相手となるチームをよく知っていることから、リバースが候補リストのトップにあがったのだ。

76ersでの3シーズンで、リバースは154勝82敗という成績を残した。だが、毎年カンファレンス・セミファイナルで敗退している。2021年以来の優勝を目指すバックスで、リバースは近年の東地区を学んできたことを生かして貢献できる。

『The Athletic』のシャムズ・シャラニア記者によると、リバースは12月に「バックスの依頼で非公式にグリフィンの相談役を務め始めた」という。そしてグリフィン解任後、球団内では「重要なステークホルダーたちが望む選択肢」として、すぐにリバースの存在が際立ったとのことだ。

ドック・リバースの指導実績

リバースはNBAのヘッドコーチとして25シーズン目に臨むこととなる。通算1000勝を達成している歴代10人のひとりで、あと2勝すればラリー・ブラウンを上回る。

シーズン チーム レギュラーシーズン成績 プレイオフ成績
1999-00 マジック 41勝41敗
2000-01 マジック 43勝39敗 1勝3敗
2001-02 マジック 44勝38敗 1勝3敗
2002-03 マジック 42勝40敗 3勝4敗
2003-04 マジック 1勝10敗
2004-05 セルティックス 45勝37敗 3勝4敗
2005-06 セルティックス 33勝49敗
2006-07 セルティックス 24勝58敗
2007-08 セルティックス 66勝16敗 16勝10敗
2008-09 セルティックス 62勝20敗 7勝7敗
2009-10 セルティックス 50勝32敗 15勝9敗
2010-11 セルティックス 56勝26敗 5勝4敗
2011-12 セルティックス 39勝27敗 11勝9敗
2012-13 セルティックス 41勝40敗 2勝4敗
2013-14 クリッパーズ 57勝25敗 6勝7敗
2014-15 クリッパーズ 56勝26敗 7勝7敗
2015-16 クリッパーズ 53勝29敗 2勝4敗
2016-17 クリッパーズ 51勝31敗 3勝4敗
2017-18 クリッパーズ 42勝40敗
2018-19 クリッパーズ 48勝34敗 2勝4敗
2019-20 クリッパーズ 49勝23敗 7勝6敗
2020-21 76ers 49勝23敗 7勝5敗
2021-22 76ers 51勝31敗 6勝6敗
2022-23 76ers 54勝28敗 7勝4敗
通算   1097勝763敗 111勝104敗

原文:Why did the Bucks hire Doc Rivers? Experience, championship pedigree lead to Milwaukee's quick decision(抄訳)
翻訳:坂東実藍