【NBAトレード評価】ビールとポールをトレードしたサンズとウィザーズをどう見るか

2023-06-19
読了時間 約2分
(Getty Images)

今オフシーズンのNBAで最初の大きな取引だ。フェニックス・サンズがワシントン・ウィザーズとのトレードで、クリス・ポール、ランドリー・シャメット、複数のドラフト2巡目指名権、指名交換権と引き換えに、ブラッドリー・ビールを獲得すると報じられた。

ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー記者は6月18日(日本時間19日)、取引はまだ完了していないが、両チームは合意に達したと報じている。今後、正式発表されるだろう。

現在29歳のビールはNBAキャリアのすべてをウィザーズで過ごしてきた。2018年、19年、21年とオールスターに3回選出されている。その彼がケビン・デュラント、デビン・ブッカー、ディアンドレ・エイトンとスターぞろいのサンズに加わることになったのだ。

このトレードで勝者となったのは、どちらのチームなのか。『スポーティングニュース』によるサンズとウィザーズの評価は以下のとおりだ。

ビールとポールのトレード内容

サンズ獲得:

  • ブラッドリー・ビール

ウィザーズ獲得:

  • クリス・ポール
  • ランドリー・シャメット
  • 複数のドラフト2巡目指名権
  • 複数の指名交換権

サンズの評価

この取引に乗り出したサンズの目的はひとつ。2024年の優勝だ。

ビールのトレードにより、サンズはスーパースターぞろいのロスターにさらなるスーパースターを加えたかたちだ。キャメロン・ペイン、ブッカー、ビール、デュラント、エイトンというスターティングファイブを形成することに成功したのである。

ただ、ポールとシャメットが去ることで、ロスターはさらに薄くなった。

ポールは現役生活の終盤にあるかもしれないが、今季も平均8.9アシストとサンズでトップのアシストを記録した。サンズがプレイメーク能力を失うことは確かだ。また、シャメットも平均8.7得点、3ポイントショット成功率37.7%と、まずまずの役割を担うようになっていた。

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それでも、オフシーズンにポールがウェイブ(保有権放棄)されるかもしれないと報じられて以降、あらゆる兆候がサンズは彼の放出に向かっていると示していた。サンズのジェームズ・ジョーンズGMはベテランポイントガードとベンチプレイヤー、そして複数の下位指名権を、ひとりのスター選手と替えることができたのだ。今すぐに勝利を目指すというチームにとって確かに良い取引だろう。

チームの主軸を支える層の薄さが懸念されるのは当然だ。NBAプレイオフ2023では、それがサンズの破滅となった。だが、スター選手たちが健康を保てれば、リーグで最も素晴らしいチームのひとつである。

もしもすぐに優勝することができなければ、サンズは今後大きなトラブルを抱えることになるだろう。巨額契約の選手を4人抱え、将来のドラフト指名権の多くを手放してきたからだ。このロスターで失敗すれば、大変な再建の必要へとつながる。フェニックスの誰にとっても、好ましくない展望だ。

評価:B+

ウィザーズの評価

ここ数シーズンのビールの状況へのウィザーズの対応は、物足りないところが多い。

ビールがオールスター級のシューティングガードになるとはっきり分かった時に、ウィザーズは周囲にタレントをそろえようとするか、多くの見返りと引き換えにビールをトレードすることができたはずだ。だが、彼らはビールとマックス契約を結びながら、コートに立つチームは月並みという、どっちつかずの状態になった。

ビールの契約には、普通ではないトレード拒否条項も含まれた。これにより、本人がコントロールできる力につながり、交渉における見返りを失うことになったのだ。

最終的に、ウィザーズはがっかりするようなリターンでビールを手放さざるを得なくなった。ポールはタイトルを競うチームとの取引になることは確かだ。他の主力選手も退団するかもしれない。

このオフシーズンにフロントオフィスが新しくなったウィザーズは、ゼロからスタートすることに決めた。しばらくは厳しいシーズンとなるかもしれない。

評価:C-

原文:Bradley Beal-Chris Paul trade grades: Suns go all-in on championship run; Wizards launch rebuild(抄訳)