今オフシーズンのNBAで最初の大きな取引だ。フェニックス・サンズがワシントン・ウィザーズとのトレードで、クリス・ポール、ランドリー・シャメット、複数のドラフト2巡目指名権、指名交換権と引き換えに、ブラッドリー・ビールを獲得すると報じられた。
『ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー記者は6月18日(日本時間19日)、取引はまだ完了していないが、両チームは合意に達したと報じている。今後、正式発表されるだろう。
現在29歳のビールはNBAキャリアのすべてをウィザーズで過ごしてきた。2018年、19年、21年とオールスターに3回選出されている。その彼がケビン・デュラント、デビン・ブッカー、ディアンドレ・エイトンとスターぞろいのサンズに加わることになったのだ。
このトレードで勝者となったのは、どちらのチームなのか。『スポーティングニュース』によるサンズとウィザーズの評価は以下のとおりだ。
ビールとポールのトレード内容
サンズ獲得:
- ブラッドリー・ビール
ウィザーズ獲得:
- クリス・ポール
- ランドリー・シャメット
- 複数のドラフト2巡目指名権
- 複数の指名交換権
サンズの評価
この取引に乗り出したサンズの目的はひとつ。2024年の優勝だ。
ビールのトレードにより、サンズはスーパースターぞろいのロスターにさらなるスーパースターを加えたかたちだ。キャメロン・ペイン、ブッカー、ビール、デュラント、エイトンというスターティングファイブを形成することに成功したのである。
ただ、ポールとシャメットが去ることで、ロスターはさらに薄くなった。
ポールは現役生活の終盤にあるかもしれないが、今季も平均8.9アシストとサンズでトップのアシストを記録した。サンズがプレイメーク能力を失うことは確かだ。また、シャメットも平均8.7得点、3ポイントショット成功率37.7%と、まずまずの役割を担うようになっていた。
それでも、オフシーズンにポールがウェイブ(保有権放棄)されるかもしれないと報じられて以降、あらゆる兆候がサンズは彼の放出に向かっていると示していた。サンズのジェームズ・ジョーンズGMはベテランポイントガードとベンチプレイヤー、そして複数の下位指名権を、ひとりのスター選手と替えることができたのだ。今すぐに勝利を目指すというチームにとって確かに良い取引だろう。
チームの主軸を支える層の薄さが懸念されるのは当然だ。NBAプレイオフ2023では、それがサンズの破滅となった。だが、スター選手たちが健康を保てれば、リーグで最も素晴らしいチームのひとつである。
もしもすぐに優勝することができなければ、サンズは今後大きなトラブルを抱えることになるだろう。巨額契約の選手を4人抱え、将来のドラフト指名権の多くを手放してきたからだ。このロスターで失敗すれば、大変な再建の必要へとつながる。フェニックスの誰にとっても、好ましくない展望だ。
評価:B+
ウィザーズの評価
ここ数シーズンのビールの状況へのウィザーズの対応は、物足りないところが多い。
ビールがオールスター級のシューティングガードになるとはっきり分かった時に、ウィザーズは周囲にタレントをそろえようとするか、多くの見返りと引き換えにビールをトレードすることができたはずだ。だが、彼らはビールとマックス契約を結びながら、コートに立つチームは月並みという、どっちつかずの状態になった。
ビールの契約には、普通ではないトレード拒否条項も含まれた。これにより、本人がコントロールできる力につながり、交渉における見返りを失うことになったのだ。
最終的に、ウィザーズはがっかりするようなリターンでビールを手放さざるを得なくなった。ポールはタイトルを競うチームとの取引になることは確かだ。他の主力選手も退団するかもしれない。
このオフシーズンにフロントオフィスが新しくなったウィザーズは、ゼロからスタートすることに決めた。しばらくは厳しいシーズンとなるかもしれない。
評価:C-
原文:Bradley Beal-Chris Paul trade grades: Suns go all-in on championship run; Wizards launch rebuild(抄訳)