[独占インタビュー]新人王ベン・シモンズ「ハードワークを続けている限り、報われるときが来る」(青木崇)

2018-07-06
読了時間 約2分

この時期に恒例となっているNIKE ALL ASIA CAMP 2018(ナイキ・オールアジア・キャンプ2018)は、中国の東莞バスケットボール・スクールで6月9日から15日まで開催され、NBA選手のゲストとしてベン・シモンズ(フィラデルフィア・76ers)が招かれた。76ersのプレイオフ進出と1回戦でのマイアミ・ヒート撃破に大きく貢献し、ルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人王)を獲得した21歳の若者である。父がプロバスケットボール選手として過ごしたオーストラリアで生まれ育ち、16歳でNBA選手になることを目指してアメリカへ渡った理由、ルーキーシーズンのことといった興味深い話を1対1で聞くことができた。

 

やりたいことがどんなことであっても、とにかく一貫性を持って取り組むこと

――ナイキ・オールアジア・キャンプを見ての印象は?

シモンズ: 素晴らしいキャンプだ。プログラムが完璧にセットされているし、素晴らしいコーチたちがいる。最も大事なのは、子どもたちにとって楽しめることがたくさんあるということ。いろいろ学べるし、レベルアップもできる。

――このようなキャンプに参加したことがありますか? もしあったならば、どのような姿勢で取り組み、どんなメンタルアプローチをしましたか?

シモンズ: もちろん(参加したことがある)。大学(ルイジアナ州立大)に入る前にナイキ・キャンプに参加し、彼らと同じような状況を経験している。いろいろな人と友達という関係を築けるし、大好きなゲームを学び、楽しんでいたよ。

――このキャンプの参加者のようなバスケットボールをしている若者に対し、どんなアドバイスをしたいですか?

シモンズ: やりたいことがどんなことであっても、とにかく一貫性を持って取り組むことだ。どんなことでもゴールを明確にし、達成するために全力でやり続けるしかない。時間はかかるし、決して簡単なことではないけど、ハードワークを続けている限り、報われるときが来るものさ。

 

自分が何をしたいかを当時からわかっていた

――オーストラリアで生まれ育ち、16歳のときに渡米しました。どんな理由で移住したのか、また、故郷を離れることへの不安はなかったのですか?

シモンズ: その理由は、最高の競争レベルでプレイしたかったから。それがアメリカであることもわかっていた。僕にとっては大変な決断じゃなかったけど、両親は僕をすごく愛してくれていたし、16歳の僕が自分で他の国に渡ったことに対してとても辛かったと思う。

――オーストラリアでの生活はどんなものでしたか?

シモンズ: よかったよ。いい状況で競える環境でプレイできていたし、いい学校にも通っていた。僕の家族はごく普通のコミュニティで生活していたし、オーストラリアからアメリカへの移住はすごく大きな変化だったけど、まちがいなくうまくいったと思う。

――バスケットボールを始めたのはいつで、その理由は?

シモンズ: 歩き始めたらすぐにやっていたね。父を筆頭に家族のみんながやっていたから、正にバスケットボール・ファミリーで育ったんだ。ゲームをすぐ好きになったよ。

――自分にバスケットボールの才能があると感じたのはいつですか? 何か具体的なエピソードやストーリーはありますか?

シモンズ: ストーリーはないね。いつだったか覚えていないけど、常にバスケットボールができることをうらやましいことだと思っていたし、自分には能力があることはわかっていた。

――アメリカに来てわずか3年でNBAドラフトのNo.1ピックで指名されました。渡米した当時、その未来を想像していましたか?

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シモンズ: それこそが正に自分の中にあったゴール。オーストラリアからアメリカに渡った際に僕自身が設定し、到達したいと思っていたことなんだ。目標を達成することができたわけだけど、その始まりは小さな頃からであり、自分が何をしたいかを当時からわかっていた。

 

自分の評価としては60~70点くらい

――NBAの1年目を全試合欠場することになりましたが、その間どのような気持ちでチームに帯同していたのですか? 不安になることはありませんでしたか?

シモンズ: (NBAキャリアの)スタートでは相当なフラストレーションを感じていた。でも、僕は怖がらず、諦めずに挑戦しなければならなかったから、ケガからの回復に専念する道へと突き進むしかなかった。だから、座って考え込む時間なんてなかったけど、振り返ってみればそれがよかったと思っている。試合の翌日はすぐジムに戻り、リハビリに取り組んでいたね。

――故障で長い間プレイできずに悩んでいる若い選手にアドバイスを求められたら、どのように答えますか?

シモンズ: プレイしたいのであれば、難しい状況に直面しても乗り越えなければならない。自分が望むレベルに戻るためには、とにかくハードワークをするしかない。ゲームが大好きで、プレイしたいという強い気持ちがあるのなら、とにかくやるだけ。だれもができるわけじゃないから、すごく大変だし、決して簡単なことではない。時間がかかるものさ。

――昨シーズンはドラフトNo.1ピックにふさわしいパフォーマンスを見せてくれました。自分の出来を採点するならば、100点満点中何点にしますか?

シモンズ: 自分の評価としては60~70点くらいかな。もっと成長しなければならないところがある。今の僕は自分がなりたいと思っているレベルになっていないし、そこにすごく到達したいという思いがあるんだ。

――76ersにはダリオ・シャリッチ(クロアチア出身)などインターナショナルな若いタレントたちがいます。彼らとの関係はどんな感じですか?

シモンズ: 僕たちがいい関係を築くのは簡単なことさ。みんな異なる国からNBAにやって来て、お互いに似たような状況でプレイしている。アメリカ出身でないからちょっとした違いがあるかもしれないけど、ロッカールームではいいコネクションができているから、僕らのプレイスタイルにお互いがフィットしているよ。

 

キャリアの最後に史上最高の一人と言われるようになりたい

――76ersはプレイオフに進出しましたが、来シーズンさらに上昇するために必要なことは何ですか?

シモンズ: 経験だと思う。プレイオフで戦ったことによっていろいろな経験を積めたから、来シーズンの僕らはチームとしてより準備できた状態でプレイオフに臨めるはずだ。この経験が最も肝心なことだと思う。

――キャリアが終わるとき、どんな選手だったと記憶されたいですか?

シモンズ: バスケットボールというゲームをプレイした史上最高の一人と言われることだ。

――近い将来、日本に来てくれますか? 昨年、あなたは東京オリンピックでプレイするつもりと言っていました。日本のNBAファンにメッセージをお願いできますか?

シモンズ: もちろん。NIKEが僕を連れて行ってくれるはず(笑)。日本にはぜひ行きたい。機会はやってくるから、そのときに必ず行くつもりだ。

取材・文・写真: 青木崇 Twitter: @gobluetree629
取材協力: NIKE ALL ASIA CAMP