ロサンゼルス・レイカーズはNBAで最悪のスタートを切ったチームのひとつであり、2勝10敗となった際には一時リーグ最低記録を保有するほどだった。
その状況は、1試合平均24.9得点、8.8リバウンド、6.9アシストと、チームのために全力を尽くしていたオールスターのレブロン・ジェームズが内転筋を痛め、2週間の試合欠場を余儀なくされると、さらに悪い方向へ向かっていった。
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ジェームスを失ったことは、シーズン序盤にしてチームに新たな追い討ちをかけるかと思われた。しかし、チーム最高の選手を欠いた状況で、レイカーズは明るい兆しを見出せている。
ジェームズが戦列を離れたことで、レイカーズのもう1人のスターであるアンソニー・デイビスは、攻守でより大きな役割を担うことを余儀なくされた。ジェームズ不在でチームが競争力を持っているとしたら、それはデイビスが、レイカーズのNBA優勝に貢献した2020年の、あの時に見せたオールスター8度出場を果たしたデイビスに戻ったからだろう。
デイビスはチームが最も必要としていたときに時計の針を戻し、まるで永遠に続くかのような最も支配的なプレイを展開した。ジェームズが5試合欠場したため、レイカーズは3勝2敗となったが、昨年1月以来となる3連勝を飾っている。
ラッセル・ウェストブルックがベンチから役割を受け入れて活躍したことがレイカーズの最近の成功の大きな部分を占めてはいるが、デイビスがその最大の起爆剤だったことは間違いない。
ジェームズの復帰を間近に控え、レイカーズは彼なしで戦った時期から何を学ぶことができるのか? 答えは目の前にある。アンソニー・デイビスをチームのNo.1オプションにすることだ。
デイビスはレイカーズのNo.1オプションであるべきことを証明している
ジェームズが5試合を欠場している間に、デイビスは1試合平均33.2得点、17.4リバウンド、2.6ブロック、2.2アシスト、2.2スティールを記録した。
彼は、4試合連続で30得点、15リバウンドを記録し、NBA史上少なくとも4試合連続でこの基準を満たした12人(いずれも殿堂入り選手、もしくは将来殿堂入りする選手)のごく少数のリストに入った。
この期間、デイビスは10ブロックも記録し、NBAで最高のリムプロテクターとしての地位を再確立している。
敗れたとはいえ、直近のフェニックス・サンズ戦で、デイビスは37得点、21リバウンド、5ブロック、5スティール、2アシストを記録し、ビッグマンとして最も支配的なパフォーマンスのひとつを披露した。
彼は1試合で35得点、20リバウンド、5ブロック、5スティール以上を記録したNBA史上初の選手となった(ブロックとスティールが初めて記録された1973年以降)。また、カリーム・アブドゥル・ジャバー以来の、1試合で35得点、20リバウンド、5ブロックを記録したレイカーズ史上初の選手となった。
デイビスは、ジェームズ負傷前の10試合ではユーセージレート(※使用率:当該選手のシュートやターンオーバーなどで自チームのポゼッションが終わった割合。チームのオフェンスの最後にその選手がどれだけ使われているか示す指標)で25.7%を記録した。ジェームズ不在の5試合では、その使用率は34.5%と大幅に上昇している。
彼の平均フィールドゴール試投数は、以前と比較すると誤解を招きやすいのだが、それは彼が接触によってフリースローを獲得するようになっているからだ。
デイビスのFT試投数は、ジェームズと並んでプレイしているときの1試合平均5.0本から、レブロン不在の1試合平均12.2本と2倍以上に伸びている。
レブロン・ジェームズ欠場中の5試合におけるアンソニー・デイビスのスタッツ(1試合平均)
FGM /FGA |
FG% | FTM /FTA |
FT% | REB | AST | STL | BLK | MIN | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ジェームズと プレイ |
9.1/17.1 | 53.2 | 3.8/5.0 | 75.6 | 10.9 | 2.6 | 1.4 | 2.0 | 22.3 |
ジェームズ 不在 |
11.2/18.8 | 59.6 | 10.8/12.2 | 88.5 | 17.4 | 2.2 | 2.2 | 2.6 | 33.2 |
なぜそこまで大幅に変化したのだろうか? それは、レイカーズがインサイドでデイビスを介してすべてを展開しているからだ。
NBAの統計によると、デイビスはジェームズとともに出場している際、1試合平均68.0回ボールに触り、そのうち10.0回がペイント内で、5.2回がポストアップでの回数となっている。レイカーズの攻撃の焦点になっているときのデイビスは、ボールに触る回数が1試合平均74.4回(うち12.6回がペイント内で、7.6回がポストアップ)に上昇している。
レイカーズの主な焦点は、バスケットの近くに6フィート10インチ(約208cm)で253ポンド(約115kg)のデイビスを配置し、ビッグマンの彼が相手ディフェンダーに付け入ってリムにアタックさせることだ。
オフェンスがジェームズを介して実行されるときには、レイカーズのゲームプランはドライブとキックパスにより集中しているが、これは必ずしも3Pショット成功率がリーグワーストの30.6%のチームの強みとはいえない。
怪我の前のジェームズの使用率は32.4%だったが、これはクリーブランド・キャバリアーズに復帰した最初のシーズンである2014-15シーズン以来最も高い数字だ。ジェームズはここまで、刻々と近づく引退に向けての時の流れに打ち勝ってはいるが、それでも彼はここまで身体を酷使してきた38歳であり、デイビスの少し後方に控えることがプラスになる可能性がある。
ジェームスが戻ってきても、引き続きデイビスを通してオフェンスを展開することがレイカーズにとって最善の利益であることを、デイビスは証明しているのだ。
※記事内のスタッツは11月24日(同25日)時点のもの
原文:Anthony Davis should remain the Lakers' No. 1 option when LeBron James returns from injury
翻訳:YOKO B Twitter:@yoko_okc