ウェスタン・カンファレンス・ファイナルは、ゴールデンステイト・ウォリアーズとダラス・マーベリックスが対戦する。それぞれ大変な道のりを乗り越えてきた両チームの第1戦は、5月18日(日本時間19日)にチェイス・センター(カリフォルニア州サンフランシスコ)で行われる。
レギュラーシーズンでステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンが一緒にプレイしたのがわずか11分間だったにもかかわらず、ウォリアーズはウェスト第3シードを獲得した。ファーストラウンドではデンバー・ナゲッツを第5戦で沈め、カンファレンス・セミファイナルでは若くてフィジカルな第2シード、メンフィス・グリズリーズを第6戦で下している。
一方、第4シードのマーベリックスは、ルカ・ドンチッチが輝き、ジェイソン・キッド・ヘッドコーチの就任やシーズン中のトレードがようやくファーストラウンドを突破するのに役立つと楽観されていた。そして実際にユタ・ジャズを第6戦で沈めてカンファレンス・セミファイナルに進出。レギュラーシーズンの球団新記録となる64勝をあげた第1シードのフェニックス・サンズを第7戦で下した。
3つの注目ポイント
1. フルメンバーが期待されるウォリアーズ
グリズリーズとの第4戦以降を欠場したウォリアーズのスティーブ・カーHCは、NBAの安全衛生プロトコルから脱した。首の負傷でグリズリーズとのシリーズを含め、ここ7試合を欠場しているベテランのアンドレ・イグダーラも、早ければ20日(同21日)の第2戦で復帰できるかもしれない。また、右足の痛みでここ2試合を欠場したオットー・ポーターJr.は、第1戦で復帰するとみられる。
ウォリアーズの成功がカリー、トンプソン、グリーンにかかるのは明白だ。だが、それ以外の選手たちが加われば、大きなトリクルダウン効果となるかもしれない。代理で指揮を執ったアシスタントコーチのマイク・ブラウンは、経験や力強い準備、守備の専門知識をもたらした。だが、カーHCは唯一無二の攻撃面での創造性や、過去3度の優勝に導いた存在感がある。イグダーラのプレイオフ経験やポーターJr.の多才性だけでなく、ウォリアーズはウィングの選択肢が不足していた。だが、マーベリックスとのシリーズではそういった問題を心配する必要がないかもしれない。
2. ドンチッチはいかに自分を超えるのか?
ロサンゼルス・クリッパーズ、ジャズ、サンズがそれぞれ経験した痛みを、ウォリアーズもすぐに感じるようになるのは不可避と思われる。ドンチッチに対する解決策は、どのチームにもない。プレイオフではなおさらだ。
クリッパーズが2020年と2021年のファーストラウンドで生き延びたのは、彼らにカワイ・レナードがいた一方で、ドンチッチに助けがなかったからに過ぎない。ドンチッチは2020年の対戦で平均31得点、フィールドゴール成功率50.0%を記録。2021年も35.7得点、49.0%をマークした。今プレイオフでは、サポーティングキャストに頼りつつ、ジャズ(平均29.0得点、FG成功率46.9%)、サンズ(平均32.2得点、FG成功率45.7%)とのシリーズを支配している。
ナゲッツとのシリーズではニコラ・ヨキッチ、グリズリーズとのシリーズではジャ・モラントと、ありがたくないタスクをこなしてきたウォリアーズには、不可能に思われる守備の割り当てをこなす経験がある。ビッグマン(グリーン、ポーターJr.、ケボン・ルーニー)も小さい選手(トンプソン、アンドリュー・ウィギンズ)もぶつけていくだろう。スプラッシュブラザーズ(カリーとトンプソン)のどちらかにドンチッチを守らせると思われる。マーベリックスの他選手が同様に得点を量産しない限り、ドンチッチの爆発は容認するかもしれない。それは、ここまでのポストシーズンで時折そうしてきたように、ドンチッチの負担を和らげるべく、ジェイレン・ブランソンやドリアン・フィニー・スミス、スペンサー・ディンウィディーのいずれかの組み合わせの責任となる。
3. カリー、トンプソン、グリーンにどれだけ助けが必要か?
今季のウォリアーズには、過去の以前のチームと同じ「Strength in Numbers」(人数の強さ)というアイデンティティーがあるだろうか?
ウォリアーズは3年目のジョーダン・プールが開花し、ナゲッツとの3試合で先発出場するとともに、グリズリーズとのシリーズでは重要なリザーブとなったが、どちらのシリーズでも最後は燃え尽きた。新人ジョナサン・クミンガはグリズリーズとの3試合で10分超プレイしたが、イグダーラとポーターJr.の負傷にもかかわらず、シリーズの残り試合で出場時間が制限されている。
これらの選手たちには、マーベリックスとのシリーズでXファクターに成長する機会を得る。だが、それらの不確実さから、ウォリアーズはスター選手たちがグリズリーズとのシリーズ以上に効果的に生み出す必要があるかもしれない。特に決定的だった第6戦で、カリー、トンプソン、グリーンはそれぞれその素晴らしさを見せてきた。しかし、ショットの精彩を欠いたり、ずさんなターンオーバーをするなど、シリーズにおいて苦労しながらのことだった。
興味深い数字
-22.4
このシリーズはスタイルが対照的だ。片方は速くプレイし、ボールを動かす。もう片方はスローなプレイで、基本的にひとりの選手がボールをキープする。
マーベリックスはポゼッション時間がプレイオフチーム最長だ。これまでの12試合で平均22.4分間を記録している。個別のポゼッション時間では、ドンチッチが3年連続でポストシーズン最長(1試合平均10.0分間)だ。
一方、ウォリアーズは20.2分間と14位。個人ではトップ10にひとりも入っていない。だが、24分のポゼッションで選手の走行量は平均11.3マイル(18.2キロ)とトップ、ボール回しは平均340本のパスで2位の数字だ。逆にマーベリックスはこれらの数字が15位(9.9マイル/16キロ)と16位(273本)となっている。
マーベリックスはレギュラーシーズンでウォリアーズのボール回しを抑え、4試合で3勝をあげた。ウォリアーズは24分のポゼッションでレギュラーシーズン最多となる平均369本のパスを記録したが、マーベリックス戦では同345本。ウェスト勢との対戦では最少の数字だ。ただ、これらの4試合でウォリアーズはカリーがいずれも出場した一方で、グリーンが1試合にしか出ていない。
–John Schuhmann
予想
ドンチッチは個の支配力を最大化し、チームメイトたちの力を高めることで向上した。しかし、ドンチッチがクリスタプス・ポルジンギスと培った以上のケミストリーをマーベリックスが生み出しても、ウォリアーズの選手層は乗り越えるにはあまりに厚い。第6戦でウォリアーズが勝利と予想する。
原文:Series preview: Battle-tested Warriors take on surging Mavericks(抄訳)