デビン・ブッカーとルカ・ドンチッチは、それぞれプレイオフ・ファーストラウンドの3試合を欠場した。だが、両者とも復帰を果たし、フェニックス・サンズとダラス・マーベリックスのウェスタン・カンファレンス・セミファイナル進出に貢献している。サンズとマーベリックスの第1戦は、5月2日(日本時間3日)にアリゾナ州フェニックスのフットプリント・センターで行われる。
連続でのファーストラウンド敗退を6回で止めたマーベリックスは、優勝した2011年以来となるカンファレンス・セミファイナル進出を果たした。一方、昨季のウェスト覇者サンズは、4月28日(同29日)のニューオーリンズ・ペリカンズとの第6戦で、プレイオフでは球団として2006年以来となるフィールドゴール成功率(60%)をマークし、115-109と勝利している。
両チームとも、その過程でスーパースターたちが負傷しながら、それを乗り越えてきた。
マーベリックスは、レギュラーシーズン最終戦でドンチッチが左ふくらはぎを負傷し、ユタ・ジャズとのシリーズ最初の3試合を欠場した。だが、ドンチッチは第4戦から復帰して3試合に出場し、第6戦では球団最多となるプレイオフ12回目の20得点&5リバウンド&5アシスト超を達成。98-96の勝利に貢献し、自身始めてプレイオフシリーズ勝利を成し遂げている。
一方のサンズは、ブッカーが第2戦の第3クォーターに右ハムストリングを負傷し、第3戦から3試合を欠場。サンズがシリーズ突破を決めた第6戦で復帰し、13得点をあげている。
両選手とも健康な状態でカンファレンス・セミファイナル第1戦に臨むが、ファーストラウンドで彼らがいない間に出てきた他の選手たちが、魅力的なカンファレンス・セミファイナルにさらなる深みをもたらすかもしれない。
ドンチッチが離脱している間、マーベリックスはファーストラウンド最初の3試合でジェイレン・ブランソンが平均32得点、FG成功率50.7%を記録した。一方、サンズはブッカー不在の第3戦と第4戦でディアンドレ・エイトンが計51得点をマーク。第5戦ではミケル・ブリッジズがチーム最多の31得点をあげて勝利に貢献している。
将来の殿堂入りが見込まれるクリス・ポールも、第6戦でFG14本中14本成功の33得点をあげた。プレイオフ史上最多記録となるノーミスでのFG14本成功を達成したポールは、ファーストラウンドで68アシストもマークしており、ターンオーバーを9にとどめた。
なお、レギュラーシーズンでの対戦は、サンズがマーベリックスに3勝0敗している。ただ、最後の対戦は1月20日(同21日)のことだった。
3つの注目ポイント
1. クラッチタイムのパフォーマンス
クラッチタイムとは、5点差以内で勝負どころの残り5分を迎えた試合のこと。今回のシリーズは、今季のプレイオフでここまでリーグ有数のクラッチタイムでの強さを誇る2チームの対戦だ。サンズが2勝1敗と3位。マーベリックスはそれに続く3勝2敗だ。レギュラーシーズンでも、サンズはクラッチタイムとなった試合で33勝9敗という成績を残した。マーベリックスは勝率57.9%だ。ドンチッチにポールと、両チームとも安定したポイントガードが勝負どころで勝利をもぎ取る要因となっている。そして、今シリーズでは同じようなクラッチタイムが多く見られるかもしれない。
2. スター選手に対する守備
ドンチッチとブッカーは得点力のあるスコアラーだが、両チームとも彼らを抑えられるだけの守備のストッパーたちを擁している。サンズは必要ならブリッジズがドンチッチを守るだろう。ただ、彼だけではない。ペリカンズとのファーストラウンドで、ブランドン・イングラムの対応に苦しんだサンズは、第6戦で何度も彼にダブルチームを仕掛け、FG17本中8本成功の21得点に抑えた。ドンチッチに対してもサンズは複数の戦略で臨むことが予想される。一方、レギュラーシーズンの対戦でいずれもサンズ最多得点をあげたブッカーを止める役割をマーベリックスで担うのは、ドリアン・フィニー・スミスだろう。オールディフェンシブチーム選出候補のフィニー・スミスは、各ポジションの相手を効率よく守ることができる。ファーストラウンドの最後3試合では、ジャズのドノバン・ミッチェルをFG成功率37.7%に抑えた。
3. ビッグマンのバトル
レギュラーシーズンの対戦では、エイトンが平均15リバウンドを記録した。一方、マーベリックスの最多リバウンドはドンチッチで平均8.0リバウンド。さらに、マーベリックスはエイトンの得点力にも対処しなければならない。今季の3試合の対戦で2試合に出場したエイトンは、FG20本中13本成功の27得点をあげている。マーベリックスの真のセンターは、ドワイト・パウエルとボバン・マリヤノビッチだが、ポールがインサイドにボールを供給する中でエイトンを安定して守れるほどの運動能力はどちらにもない。しかも、サンズはジャベール・マギー、ビスマック・ビオンボがこのポジションの層を厚くしている。ただ、マーベリックスはジャズとの第6戦の後半、フィニー・スミスをセンターとするスモールラインナップを採用し、これが逆転勝利に大きな役割を果たした。
興味深い数字
-17.4
レギュラーシーズンのマーベリックスは48分あたりのポゼッションが95.6回と最も少なかった。ジャズとのシリーズも、両チーム平均で91.3ポゼッションと、ファーストラウンドで2番目に少ない数字だった。『Second Spectrum』によると、レギュラーシーズンのマーベリックスは攻撃のポゼッションにかける時間がリーグ最長となる平均15.8秒だった。ジャズとの6試合では、平均17.4秒と増している。
ドンチッチは3年連続で最長のポゼッション時間を記録している。マーベリックスはスローなプレイでボールをコントロールすることを好むのだ。そしてポゼッションが少なければ、それは非常に優れたエリートチームとの差を埋めるのに役立つ。もちろん、終盤に接戦となる可能性も高まる。
そして、5点差で残り5分を迎えた試合におけるサンズの戦績は35勝10敗(勝率77.7%)だ。レギュラーシーズンのマーベリックス戦も、サンズはクラッチゲームで2勝0敗(ドンチッチは2試合のうち1試合のみの出場)。クラッチタイムに17ポゼッションで30得点を記録している。マーベリックスはクラッチゲームで25勝18敗という戦績だが、レギュラーシーズンのクラッチタイムの守備は、100ポゼッションあたり117.8失点と27位だ。
— John Schuhmann
予想
ドンチッチには卓越したスキルセットがあるが、このシリーズで重要となるのはプレイオフにおける経験だろう。その点で、昨季のウェスト覇者サンズに分がある。完全にドンチッチを封じ込めることはないだろう。それは不可能だ。加えて、ブランソンやクラッチタイムのショットに強いフィニー・スミス、ジャズとの第6戦でファーストラウンドのショット不振から脱したスペンサー・ディンウィディーにも対応しなければならない。ドンチッチは多くの試合でたくさんの得点をあげることが予想される。だが、土壇場ではベテランのポールがコントロールし、サンズを再びウェストのファイナルに導くのではないだろうか。第7戦でサンズが勝利と予想する。
原文:Series preview: Fully-stocked Suns, Mavs seem set for intense series(抄訳)