ゴールデンステイト・ウォリアーズのステフィン・カリーは、笑顔を見せた。
時間がなくなろうとしている中で、ボールはネットを通過した。ショットを放ったのは、カリーではない。ジョーダン・プールだ。カリーはチームメイトとハイファイブ、そしてハグをかわした。
カリーとプールはシーズンを通じ、クォーター終わりのロングショットが試合全体の勢いにつながると話してきた。練習場やシュートアラウンドでハーフコートからのショットの練習もしていたのだ。
カリーは「ちょっと競争しているんだ」と笑った。
「試合で1本決めたらカウントする。だから今夜、彼がリードしたことになるね」
6月5日(日本時間6日)、チェイス・センター(カリフォルニア州サンフランシスコ)で行われたNBAファイナル2022のボストン・セルティックス対ゴールデンステイト・ウォリアーズ第2戦は、107-88でウォリアーズが勝利し、シリーズを1勝1敗のタイとした。
プールは前述した第3クォーター終わりのロングショットで、第4Qを迎えるチームのリードを23点に広げただけではない。NBAファイナル2022が始まってからの6クォーターで苦しんできた彼は、ハイライトになる瞬間と自身の成長を提供した。
ベンチスタートだったプールは、約23分間のプレイで3P9本中5本を含むフィールドゴール14本中6本成功の17得点をあげている。前半はFG5本中1本の3得点だったが、第3Qだけで3P2本中2本成功の6得点をマークした。
ウォリアーズのスティーブ・カー・ヘッドコーチは「とても才能ある選手で、自信もある。彼がこれを解決してくれると信頼していたよ」と述べている。
「今夜の彼は良い仕事をし、自分の道を見つけたと思う」
チームが108-120で敗れた2日(同3日)の第1戦で、プールは自分の道を見つけるのに苦しんだ。レギュラーシーズンとプレイオフで得点力やプレイメーク能力を向上させてきたが、NBAファイナルの舞台では圧倒されているようだった。第1戦は25分間のプレイで3P5本中1本成功を含むFG7本中2本成功の9得点にとどまり、ターンオーバーは4だったのだ。
ウォリアーズの幸運は、カリーやドレイモンド・グリーン、クレイ・トンプソンにかかっている。彼らの負担を軽減するために、プールが良いプレイをする必要があった。だが、第2戦でも彼はその任務を果たすことができないかに思われた。
しかし、第3Q終盤にプールは雪辱を果たした。残り29.7秒にステップバックの3Pを沈め、さらにハーフコート付近からブザービーターの3Pを決めたのだ。
プール自身は「先日のシュートアラウンドで話していたんだ。僕だろうがステフ(カリー)だろうが、このシリーズでは誰かがハーフコートからのショットを決めるとね」と述べている。
「たまたま決めたのが僕だったのさ」
本人は「とにかくアグレッシブにあろうとし、チームのために正しいプレイをしようとした」と話すが、ウォリアーズの面々はプールのアプローチに微妙な変化を見たようだ。
カリーはプールが「もう少しコントロールしたプレイ」をしたとみている。グリーンは「動じなかったね。それは重要なことだ」と話した。
「彼は道のりを保った。そして強引にやりだすことがなかった。攻撃の中でプレイを続けたんだ。そして少し彼の思うようになり始めたんだよ」
プールのブザービーターは、ブレイクの瞬間でもあったのだろうか。ウォリアーズがそう願っていることは確かだ。FG21本中9本成功で29得点をあげたカリーの輝きを除き、ウォリアーズは攻撃面でほかにあまり助けを得られていない。トンプソンはFG19本中4本成功の11得点。アンドリュー・ウィギンズもFG12本中4本成功の11得点だ。プールの出来は、カリーの負担を減らせるかの違いとなり得る。
カーHCは「ジョーダンはまだとても若い選手で、急いで学んでいるところだ」と話している。
原文:Jordan Poole finds mark with 'endless range' and pivotal 3rd-quarter buzzer-beater(抄訳)