ファイナルMVPカリーはNBA歴代トップ10入りを果たしたのか?

2022-06-21
読了時間 約4分
(NBAE via Getty Images)

ここ8シーズンで4回目の優勝を果たし、王朝を築いたゴールデンステイト・ウォリアーズをけん引するのが、NBAファイナルで支配的なパフォーマンスを見せたステフィン・カリーだ。

優勝を決めたボストン・セルティックスとの第6戦で、カリーは6本の3ポイントショット成功を含む34得点、7リバウンド、7アシストを記録。自身初のファイナルMVPを受賞した。

今季のカリーはオールスターゲームでもMVPを受賞ウェスタン・カンファレンス・ファイナルのMVPにも選ばれている。また、マディソン・スクエア・ガーデンで通算3P成功数の新記録を樹立。複数シーズンのNBAファイナルで平均30得点超という、ジェリー・ウェストやマイケル・ジョーダンに続き、ガードでは初となる数字も達成した。

第6戦の試合後、ウォリアーズのスティーブ・カー・ヘッドコーチは「彼がいなかったら優勝はなかった」と話している。

「オーナーのジョー(レイコブ)やピーター(グーバー)を非難しているわけではないんだ。彼らは素晴らしい組織を築き上げたからね。ボブ・マイヤーズは素晴らしいGMだし、たくさんの素晴らしい選手たちに恵まれている」

カーHCはさらに、「でも、最終的にはステフがいたからこそ、これだけのことができているんだ」と続けた。

「サンアントニオ・スパーズのティミー(ティム・ダンカン)と同じようにね。だから、みんなのことを思うと本当に嬉しいが、ステフについては感激しているよ。僕からすれば、これは、もうすでに素晴らしいキャリアを積んできた彼にとっての最高の業績なんだ」

次に話題となるのが、「ステフは歴代ランキングのどこに入るのか?」となるのは自然なことだろう。

優勝4回、レギュラーシーズンMVP受賞2回、そしてファイナルMVP選出を果たしたカリーは、NBAの歴史でトップ10に入る選手なのだろうか?

『スポーティングニュース』のメンバー7名によるオールタイム・ベスト投票で、満場一致となったのは、歴代1位と2位にランクインしたマイケル・ジョーダンとレブロン・ジェームズ。そしてカリーは、元チームメイトのケビン・デュラントをひとつ上回る11位にランクインした。投票におけるカリーの最高順位は9位、最低順位は12位だった。

『スポーティングニュース』のNBAスタッフによる歴代最高のNBA選手ランキング

順位 選手 優勝 MVP ファイナルMVP オールNBA オールスター
1 マイケル・ジョーダン 6 5 6 11 14
2 レブロン・ジェームズ 4 4 4 18 18
3 カリーム・アブドゥル・ジャバー 6 6 2 15 19
4 マジック・ジョンソン 5 3 3 10 12
5 ビル・ラッセル 11 5 - 11 12
6 ウィルト・チェンバレン 2 4 1 10 13
7 ラリー・バード 3 3 2 10 12
8 ティム・ダンカン 5 2 3 15 15
9 シャキール・オニール 4 1 3 14 15
10 コービー・ブライアント 5 1 2 14 18
11 ステフィン・カリー 4 2 1 8 8
12 ケビン・デュラント 2 1 2 10 12
13 アキーム・オラジュワン 2 1 2 12 12
14 ジュリアス・アービング 1 1 - 7 11
15 オスカー・ロバートソン 1 1 - 11 12

※ファイナルMVPは1969年から

もしもカリーをトップ10に入れる場合、誰かを外す必要がある。7位までは不動として、上記のランキングでカリーの前にいるのは、コービー・ブライアント、シャキール・オニール、そしてダンカンだ。

カリー vs. ブライアント

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のちにカリーがブライアントを上回ることはあるかもしれない。ただ、現時点ではまだブライアント有利だ。

カリーを上回る回数の優勝を果たし、2年連続ファイナルMVPを受賞しているブライアントのレガシィ(遺産)がそれを物語っている。

レギュラーシーズンMVPの回数ではカリーが上回っている。ただ、振り返ってみると、ブライアントが受賞1回だったのは不条理に思えるほどだ。20年に及ぶNBAキャリアで、ブライアントがリーグ最高の選手だったのは1シーズンだけではなかったはずだ。

カリー vs. オニール

Getty Images

ペイント内におけるオニールの支配力は、NBAの歴史でそれまでに見たことのないものだった。そしておそらく、今後も見ることはないだろう。

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ペリメーターからのカリーの支配力についても、同じことが言えるかもしれない。ただ、リーグ全体で多数の3Pが決まるようになっていることを考えれば、将来的にカリーの3P記録が更新されないとは限らない。

優勝回数は同じ4回ずつ。主要タイトルで違うのは、レギュラーシーズンMVPがカリーは受賞2回でオニールは1回ということだけだ。だが、オニールはファイナルMVPを3回受賞している。カリーは1回だ。

オニールは2000年から2002年まで、ロサンゼルス・レイカーズで3年連続優勝と3年連続ファイナルMVP受賞を果たしており、NBAの歴史でも有数の支配力を示した。ファイナルでの超絶的なパフォーマンスという点からも、オニールの優位性を疑問視するのは難しい。

3年連続ファイナルMVPを受賞した際のオニールの数字を振り返ってみれば分かる。

対戦相手 得点 リバウンド アシスト ブロック FG成功率
2000 ペイサーズ 38.0 16.7 2.3 2.7 61.1%
2001 76ers 33.0 15.8 4.8 3.4 57.3%
2002 ネッツ 36.3 12.3 3.8 2.8 59.5%

カリー vs. ダンカン

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ダンカンを擁したスパーズの王朝は、最初の優勝(1999年)から最後の優勝(2014年)まで15シーズンにわたって続いた。ただ、スーパーチームにおける生え抜きの選手という点では、ウォリアーズにおけるカリーも似ている。

ダンカンが歴代最高のパワーフォワードなのは確かだろう。だが、カリーも同様に自分のポジションで似たような立場で論じられている。

それでも、歴代ランキングとなれば、ダンカンをカリーよりも上の順位にせざるを得ない。

8位にランクインしたダンカンの経歴を見れば明らかだ。優勝回数はカリーよりも1回多く、レギュラーシーズンMVP受賞回数は同じ(2)。そしてファイナルMVP受賞回数は3回と、1回のカリーを2回上回っている。

カリーもダンカンやブライアントのように長続きし、オールスターやオールNBA選出回数では匹敵するようになるだろう。だが、現時点でのランキングとなれば、ダンカンがトップ10から外れることはない。

カリーがトップ10入りするために必要なのは?

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だが、とはいえ、最終的に引退した時にカリーがトップ10入りしている可能性は非常に高い。

確かにカリーは34歳で、13年目のシーズンを終えた選手だ。だが、まだスローダウンする兆候は見せていない。

ウォリアーズはカリーやクレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンのベテラン勢から、ジョナサン・クミンガやモーゼス・ムーディー、ジェームズ・ワイズマン、ジョーダン・プールといった選手たちに移行する中で、完璧にバランスを保っている。今後3年以上にわたり、リーグ有数のチームであり続けるだろう。

カリーは引退時にトップ10ではなく、トップ5入りしている可能性もあるかもしれない。

例えばカリーがもう1回優勝し、再びファイナルMVPを受賞したらどうだろうか。一見すると更新することができないようなショット記録も持つカリーは、一瞬にしてラリー・バードやウィルト・チェンバレン、ビル・ラッセル、マジック・ジョンソンといった選手たちに匹敵するようになるはずだ。

歴代ランキングの各々の差は、それほどまでにわずかなのだ。そしてウォリアーズがあと数年王朝を続けるのであれば、カリーの物語はまだまだ終わりにはほど遠いのである。

原文:Is Warriors' Stephen Curry a top-10 all-time NBA player after winning Finals MVP, fourth championship?(抄訳)

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