【NBA 2019-20シーズン開幕前戦力分析】ヒューストン・ロケッツ

2019-09-27
読了時間 約2分

NBA.comのショーン・パウエル記者が2019-20シーズンを迎える全30チームの戦力を分析するシリーズコラム。第25回目は、ヒューストン・ロケッツ編をお届けする。

2018-19シーズン成績:53勝29敗

新加入:ラッセル・ウェストブルック(トレード)、タイソン・チャンドラー(フリーエージェント)、ベン・マクレモア(FA)

退団:クリス・ポール

▶NBAジャパンゲームズ2019を無料で観るには?

ジェームズ・ハーデンが再び活躍し、いくつかの点では歴史的とも言えるシーズンとしたことで、ロケッツは50勝以上をマークし、プレイオフを戦い、そして再びゴールデンステイト・ウォリアーズに敗れた。

クリス・ポールがハムストリングを負傷し、ウェスタン・カンファレンス・ファイナルの第7戦で屈した2018年に続き、昨季のロケッツはカンファレンス・セミファイナル第5戦で負傷離脱したケビン・デュラントがいなかったウォリアーズに第6戦で屈し、ファイナルに進むことができなかった。

攻撃ではNBAの歴史でも有数の出来だった。ハーデンは1試合平均36.1得点を記録。32試合連続で30得点超、9試合で50得点超をマークし、2試合で61得点も記録した。ボールを持った時は並外れた力を見せ、ポストシーズンでも一切消耗を見せず。78試合に出場し、1試合平均36.8分間プレイしたハーデンは、ポールと異なり、力と丈夫さの象徴だった。

58試合出場にとどまったポールだが、健康な時は1試合平均8.2アシストなどまずまずの、時にはオールスター選手らしいプレイを披露した。だが、パフォーマンスレベルは数段落ちている。

エリック・ゴードンはマックス延長契約を勝ち取るに十分なほど堅実なプレイをし、クリント・カペラは攻守両面でロケッツのフロントラインの武器となった。カーメロ・アンソニーは10試合出場に終わったが、オースティン・リバースやPJ・タッカー(プレイオフで効果的だった)が助力した。

だが、効果的だが落胆のシーズンに再び終わったことは、経営陣には受け入れられないことだった。そして正直、それはチームも同じだった。

 

Scroll to Continue with Content

オフの動き

数年前に22億ドル(約2371億5000万円)でロケッツを買収した時、ティルマン・ファティータは理性的で忍耐強い人物だった。だが、だれにでも限界はある。昨季のロケッツの敗退に、ファティータが気を落としたのは明らかだった。

何かしなければいけなかった中で、ある大きなチャンスが訪れる。カワイ・レナードがロサンゼルス・クリッパーズと契約し、オクラホマシティ・サンダーにトレードを要求するようにポール・ジョージを説得したのだ。それにより、ラッセル・ウェストブルック獲得が可能となったのだ。

この時、ハーデンとポールの関係には問題があった。少なくとも、そういう噂があった。わずか2年前にチームメイトとなったことに興奮し、一緒に広告までした2人だが、今では不仲となってしまったのだ。だから、解決策はシンプルだった。大型契約のポールを大型契約のウェストブルックとトレードし、MVP受賞経験者コンビを作ることだ。

ハーデンとウェストブルックは親密で、互いの偉業に敬意を払っている。この関係はセールスポイントだ。純粋にプレイスタイルだけなら、大きな衝突に思われるからだ。それぞれボールを持つことを必要とする。おそらく、今のNBAで最もボールを必要とする2人だろう。

彼らはそれぞれ自分やチームメイトのためにチャンスを作る時に最高の仕事をする。そして、それはボールを持っていない時に起こらないことだ。ウェストブルックがNBA入りしてから、そういうことは一度もなかった。ハーデンも、サンダー時代の若い頃に短期間あっただけだ。

だが、ハーデンはトレードに賛成した。彼らは機能するだろうか。もちろんだ。ただ、双方がある程度譲る必要がある。そして、マイク・ダントーニ・ヘッドコーチは、このコンビのためにシステムを(徹底的にとまでいかずとも)変えなければならない。

一方で、ロケッツの時間は限られている。ハーデンとウェストブルックがキャリアの終わりに近づいているわけではないが、タイトルを競うチャンスが高まるのは、2人がすぐにフィットした場合だ。

ウェストブルックの力に関する疑問もある。昨季は効率や3ポイントショットが衰えた。ロケッツで彼がオープンになった時に、相手チームの守備はウェストブルックをリスペクトするだろうか。

ただ少なくとも、ウェストブルックにはポールよりも残された力があると思われる。それもロケッツがこのトレードを望んだもうひとつの理由だ。その爆発力で、ウェストブルックは丈夫で信頼できる。30代半ばに差し掛かったポールに同じことは言えない。

サンダーひと筋だったウェストブルックは、彼を受け入れた街、スーパーマックス契約を結んだ球団を去ることを悲しんだ。だがこれから、彼は新しいチームで戦う。6月も戦うことへの要求が増す一方のチームで――。

最後にウェストブルックとハーデンがチームメイトだった時、彼らはファイナルを戦っている。レブロン・ジェームズ擁するマイアミ・ヒートに敗れた2012年のことだ。ロケッツで再び一緒になった彼らは、その再現を果たせるだろうか。MVPに得点王、トリプルダブルやオールスター選出と、彼らのこれまでの実績を考えれば、当然のことだ。

彼らに足りないのは、優勝だけである。

原文:30 Teams in 30 Days: Former Kia MVPs James Harden, Russell Westbrook join forces by Shaun Powell/NBA.com(抄訳)​