NBA記者の戦力分析:将来が不透明な76ers|NBA 2023-2024シーズン

2023-09-16
読了時間 約2分
(NBAE via Getty Images)

フィラデルフィア・76ersはこの夏、ジェームズ・ハーデンのトレード要求に揺れた。

76ersの2023-2024シーズンの戦力について、『NBA.com』のショーン・パウエル記者が分析する。


主な新戦力

  • ニック・ナース(ヘッドコーチ)
  • パトリック・ベバリー(ガード/フリーエージェント)

主な退団選手

  • ドック・リバース(ヘッドコーチ)
  • ジョージ・ニアン(フォワード)

昨シーズン

始まりはとても期待されていたが、予想どおりの結末となった。確かなスター選手2人に恵まれながら、本当に大事な局面でそれを生かせなかったのだ。

ここ数シーズンでMVPに及ばなかったジョエル・エンビードだが、平均33.1得点、10.2リバウンド、1.7ブロックを記録。文句なしに受賞にふさわしい支配的パフォーマンスでMVPに輝いた。イースタン・カンファレンスで3位の54勝をあげた76ersだが、エンビードがけん引した試合は数多い。

ジェームズ・ハーデンはアシストでリーグのトップに立った。ようやくエンビードとのケミストリーが築かれたことによるところが大きい。初めてフルシーズンを一緒に戦ったエンビードとハーデンは、リーグで1番手、2番手を争うコンビであることを証明した。かつての得点王であるハーデンは、自らのショットを犠牲にし、エンビードのMVP受賞に貢献した。

タイリース・マクシーも次のレベルに飛躍し、トバイアス・ハリスを抜いて3番手の信頼できる選択肢に成長した。勝負どころでマクシーにボールが託された場面もある。76ersがマクシーは正しい判断ができ、ヒーローになれる選手と強く信じたことの証明だ。

Scroll to Continue with Content

しかし、ボストン・セルティックスとの東地区準決勝第7戦で、すべてが崩れ落ちた。エンビードとハーデンはフィールドゴール29本中8本成功と不名誉に存在感を失った。2人のスター選手が消えてしまう負け方は衝撃的だった。


夏の総括

ハーデンはいくつかの理由(最も大きいのは契約に関することだ)から、裏切られたと感じ、トレードを要求した。だが夏が終わろうとする中、何も決まっていない。公式には、ハーデンはまだ76ersの選手だ。

遠くからは、ドミノが倒れてくる音が聞こえている。ゆっくりと衰えていく、だがどこにいても不満を抱くような選手として、トレードにおけるハーデンの価値は大きくなくなっている。一方、76ersには優勝を目指し続けるためにエンビードと並ぶスター選手が必要だ。だが、ハーデンを残しても不満を抱えていたり、小さな見返りで彼をトレードすることになれば、エンビードの忍耐力が注目されるようになるだろう。

とにかく、混乱状態だ。ハーデンはこういった事態になることを避け、シンプルに契約をオプトアウトし、フリーエージェントになることもできた。だが、オプションの金額3560万ドル(約52億6880万円/1ドル=148円換算)を支払おうとする、あるいは支払えるチームはNBAになく、ハーデンは報酬を得るためにオプトインした。そして、76ersが延長契約を拒んだ時にトレードを要求したのだ。

あまりにも残念だ。ハーデンとモーリーはヒューストン・ロケッツ時代からの仲だが、今では関係が崩壊したようだ。ロケッツといえば、数年前にトレードが決まらなかった際、状態が悪いままハーデンがキャンプに臨み、シーズンが始まってからも集中しなかったとの報道があった。完全にプロ意識に欠けるが、開幕までに76ersがトレードしなければ、同じことが繰り返されるかもしれない。

だが、年齢や効率の低下、コンディショニングの問題、そして来年夏で満了する契約状況を考えると、彼にどれほどの市場価値があるのか。延長しなければ、次のチームにとっては、ただの1年レンタルにもなり得る。

延長と言えば、76ersは控えセンターのポール・リードと延長したが、ドック・リバース・ヘッドコーチとは延長しなかった。再び地区決勝にたどり着くことができず、指揮官交代となったのは、驚きではない。76ersが後任に選んだのは、2019年にトロント・ラプターズで優勝したニック・ナース。大きなエゴが集まるチームへの対応で必要な、適切なパーソナリティーとアプローチをもたらす人物だ。

しかし、ハーデンの望みがかなえられたら、ナースHCが新シーズンで取り組む課題はひとつ減るかもしれない。

原文:30 teams in 30 days: Sixers' future looking unclear as new season looms(抄訳)