NBA記者の戦力分析:東地区でさらなる上昇を狙うニックス|NBA 2023-2024シーズン

2023-09-21
読了時間 約2分
(NBA Entertainment)

ニューヨーク・ニックスは昨季、10年ぶりにプレイオフで東地区準決勝に勝ち進んだ。

ニックスの2023-2024シーズンの戦力について、『NBA.com』のショーン・パウエル記者が分析する。


主な新戦力

  • ドンテ・ディビンチェンゾ(ガード/フリーエージェント)

主な退団選手

  • デリック・ローズ(ガード)
  • オビ・トッピン(フォワード)

昨シーズン

ニックスはイースタン・カンファレンスの中位から上位に浮上した。10年以上にわたってぬかるみにはまっていた球団にとって、祝福すべきことだった。47勝をあげての第5シード獲得は十分な成績だ。さらにプレイオフ・ファーストラウンドではクリーブランド・キャバリアーズを下した。

これは、ダラス・マーベリックスからフリーエージェントで加入したジェイレン・ブランソンによるところが大きい。彼が引き金となり、事態を好転させたのだ。ブランソンにはニックスに欠けていたすべてがあった。リーダーであり、プレイメーカーであり、試合終盤の救世主だ。彼がボールを持てば、チームは安心できた。そして彼は平均24得点、6.2アシストを記録し、しばしばその信頼に応えた。

さらに良かったのは、ブランソンがジュリアス・ランドルの復活を助けたことだ。ランドルは2021-2022シーズンに調子を落とし、ボールを持ちすぎ(さらにそれでミスをし)てファンからの支持を失っていた。

だが、ブランソンがボールを持つようになり、ランドルは自身の強みを発揮するようになった。それは、プレイを始めるのではなく、フィニッシュすること。そして、無分別に長距離のジャンプショットを放つのではなく、バスケットに近くにいることだ。平均25.1得点、10リバウンドと、ランドルは再びリーグ有数のパワーフォワードであることを証明し、オールスターとオールNBAサードチームに選ばれた。

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おまけに、ニックスはシーズン途中でブランソンの大学時代のチームメイトであるジョシュ・ハートを獲得。すぐにスムーズにフィットし、夏に4年8100万ドル(約119億8800万円/1ドル=148円換算)の延長契約を結んだ。トム・シボドー・ヘッドコーチの下で守備も改善し、ニックスのファンはようやく歓声を上げられるようになった。


夏の総括

ニックスは現状に満足しており、さらに上昇するだけのポテンシャルも感じている。それだけに、この夏の動きはかなり穏やかだった。

ただ、ニックスはひとつ間違えたことを認めている。数年前に全体8位でドラフト指名したトッピンは、ニックスが望んでいたような中心選手にならなかった。ルーキーシーズンからいまひとつで、2022年のスラムダンクコンテスト優勝がピークだった。

トッピンはバスケットボール選手という以上にアスリートだったのだ。跳躍や長さは驚異的だが、ドリブルやショット、コート認識の純粋なバスケットボールスキルはそれほどではなかった。シボドーHCのローテーションで序列はどんどん下がることに。こうなれば、退団は不可避だった。

ニックスはインディアナ・ペイサーズとのトレードで、ドラフト2巡目指名権2つと引き換えにトッピンを手放した。彼の市場を表していると言えるだろう。トレードというよりも、ニックスによる慈悲だ。

同じことはローズにも当てはまる。シボドーHCとは長い付き合いだけに、やや感情的ではあっただろうが、ニックスはローズを残さないと決めた。若手選手の機会を奪うかたちになっていたローズは、将来の一員ではなかったのだ。ローズは最終的にメンフィス・グリズリーズと契約している。

その代わりに獲得したのが、ミルウォーキー・バックスとゴールデンステイト・ウォリアーズでバックアッパーとして活躍したディビンチェンゾだ。さらに良いのは、彼もビラノバ大学でブランソンやハートとチームメイトだったことである。

それ以外でこの夏のニックスと言えば、国を代表したことだ。ブランソンはアメリカ代表、RJ・バレットはカナダ代表でFIBAバスケットボールワールドカップ2023に出場した。大会有数のチームでスターターを務めた2選手がいることを、ニックスは喜ぶべきだろう。球団や2023-2024シーズンの方向性に良い影響を及ぼすはずだ。

原文:30 teams in 30 days: Knicks aiming higher in East behind Jalen Brunson(抄訳)