デトロイト・ピストンズはこの夏、ドウェイン・ケイシーからモンティ・ウィリアムズにヘッドコーチを交代させた。
ピストンズの2023-2024シーズンの戦力について、『NBA.com』のショーン・パウエル記者が分析する。
主な新戦力
- モンティ・ウィリアムズ(ヘッドコーチ)
- ジョー・ハリス(フォワード/トレード)
- モンテ・モリス(ガード/トレード)
- マーカス・サッサー(ガード/ドラフト)
- アサー・トンプソン(ガード・フォワード/ドラフト)
主な退団
- ドウェイン・ケイシー(ヘッドコーチ)
昨シーズン
かつて「バッドボーイズ」と呼ばれたピストンズは昨季、とにかく「バッド」だった。ケイド・カニングハムが感謝祭の前にすねを負傷し、出場わずか12試合にとどまったということがあったにしても、17勝に終わったことをごまかしようはない。
リーグ有数の若いロスターだったピストンズは、シーズンを通じてずっと弾みをつけようとしていたその若さに満ちていて、まさに未完成というチームだった。試合のたびに再建の副産物が痛々しいほど如実で、1979-1980シーズン以来となる球団最悪の成績に終わっている。そしてさらに深刻なのは、それでいてドラフト全体1位指名権を得られなかったことだ。
ドラフトロッタリーにおける確率は、サンアントニオ・スパーズやシャーロット・ホーネッツと同じだった。だが、ピストンズが幸運だったら、何かしらの見返りがあっただろう。周知のとおり、今年は何としても全体1位指名が欲しかったドラフトだった。世代を代表するビクター・ウェンバンヤマという有望株がいたからだ(2021年に全体1位指名されたカニングハムに悪気はない)。だが、ピストンズは2年連続でドラフト全体5位指名権を手にすることになった。
良い知らせもあった。ジェイデン・アイビーのルーキーシーズンは有望だったし、シーズン途中のトレードでかつてのドラフト全体2位指名選手であるジェームズ・ワイズマンを獲得。加入後にピストンズで良いプレイを見せた。
それでも、ピストンズは再び厳しいシーズンを終え、助けを求め、あまりに不安を抱えたままの状態で夏を迎えたのだ。
夏の総括
17勝65敗に終わったシーズンの責任がケイシーにないことは確かだ。リーグでも、ロッカールームの中でも、彼は尊敬されていた。だが、チームが最下位に終われば、コーチは生き残れないのが普通だ。ケイシーに関しても同じで、フロントオフィス入りすることになった。そしてその後任に、ピストンズはビッグネームを求めたのだ。
少なくともタイミングは良かった。フェニックス・サンズがプレイオフ後にウィリアムズHCを解任したからだ。わずか2シーズン前にチームをNBAファイナルへ導いた尊敬すべき指揮官が、突如として市場に出回ったのである。ただ、ピストンズを率いることは、ウィリアムズの関心を引くほど魅力的な仕事だったのだろうか?
ウィリアムズだろうが、別の指揮官だろうが、大金を投じれば役立つものだ。そこでピストンズはウィリアムズと6年7850万ドル(約116億1800万円/1ドル=148円換算)という契約を結んだ。コーチとしてはNBA史上最高額の契約だ(その後スパーズのグレッグ・ポポビッチが更新)。優勝したことがないコーチに対する条件としてはかなりの敬意を示したかたちだが、すぐにピストンズに信頼と希望を与えられる指揮官だ。
肝となるのは、ウィリアムズがどれだけ我慢できるか。この状況では、かなりの忍耐が必要とされるからだ。サンズという勝者の球団で指揮をとっていたことを考えれば、控えめに言っても、これは対照的な180度の方向転換だ。ピストンズは若いアシスタントコーチを据えて節約し、優勝を競えるチームへと変貌を遂げてから、仕上げとして経験豊富な指揮官に向かうこともできた。だが、ウィリアムズがすべての条件を満たした適任なら、招へいするものだろう。
繰り返すが、サンズとは正反対だ。ピストンズの将来は今ではないからである。それはドラフト上位で指名した10代のトンプソンがルーキーシーズンで活躍したとしても同じだ。それでも、ピストンズは、カニングハムとアイビーに続き、3年連続でドラフト上位指名選手から良い活気を得られるように願わなければならない。
もうひとつのドラフト1巡目指名権で、ピストンズはトレードするのではなく、サッサーを手に入れた。これは、ピストンズが再びリーグ有数の若いチームになることを意味している。
ただ同然でモリスやハリスといったベテランも加えた。その意味では、トロイ・ウィーバーGMは、おそらく来年夏にビッグネームを狙うことを選んだのだろう。そしてその代わりに、サラリーキャップの一定額をアイザイア・スチュワートとの延長に契約にあてた。
これは興味深い決断だ。スチュワートは一部しか堅実さを見せていない。そしておそらく、マービン・バグリー三世のピストンズにおける将来にとって良い兆候にならない。それでも、ストレッチ4に成長しようとしており、センターのジェイレン・デューレンを向上させられる22歳の若手と4年6000万ドル(約88億8000万円)の契約を結ぶのはリーズナブルだ。
それに、ピストンズはドラフトと育成の戦略に戻っている。ドラフト指名した選手とのルーキー契約延長は、スチュワートが2016年のアンドレ・ドラモンド以来だ。だからそれは、進歩している、ということだろう?
原文:30 teams in 30 days: Pistons look to turn corner behind new coach Monty Williams(抄訳)