試合を重ねるごとに、渡邊雄太はブルックリン・ネッツのローテーションの一角を占める存在であることを証明し続けている。
これまでの彼の持ち味はタフなディフェンスとエナジーだった。しかし、28歳の渡邊は期せずして、ネッツ最高の3ポイントシューターとして頭角を現してきている。実際に彼のシューティングは絶好調で、11月17日(日本時間18日)のポートランド・トレイルブレイザーズ戦では自己最多となる5本の3ポイントショットを決め、渡邊は現在3P成功率でリーグ首位に立っている。
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そう、そうなのだ。キャリア平均の3P成功率が35%で、ブレイザーズ戦で爆発的に活躍するまでは1試合3本以上の3Pを決めたことがなかった渡邊が、突如としてリーグ全体のトップに躍り出たのである。
ケビン・デュラント、セス・カリー、ジョー・ハリスがいるチームで、早くから目立つ活躍をしたのが渡邊だったというのは驚くべきことだ。カリーとハリスはNBA史上最も正確なシューターのトップ6に入り、デュラントはおそらく史上最も巧みなスコアラーなのだから。
これは一体どういうことなのだろうか。今シーズンのここまでで最も驚くべきストーリーの1つを掘り下げて見てみよう。
※スタッツは11月17日(同18日)時点のもの
渡邊雄太のシューティングスタッツ
渡邊の活躍を理解するためには、基本的なことだけにとらわれないようにしなければならない。
今シーズン初め、『スポーティングニュース』のステフ・ノウ記者は、渡邊が統計的に見てNBAで最もアンセルフィッシュな選手の1人であることを説明した。そのアンセルフィッシュさが、渡邊のシューティングの好調さにつながっているのだ。
ネッツの控えである渡邊は、自分の役割を受け入れ、役割に応じたプレイをし、相手のディフェンスを見てできることを喜んで実行している。今シーズン、彼は一度もプルアップ3Pを打っていない。それだけではなく、3Pを打つ前に一度もドリブルをしていないのだ。たったの一度も!
当然といえば当然だが、渡邊はチームメイトによって作られたオープンルックに助けられている。そして言うまでもなく、彼はチームメイトの中でもデュラントのパスからのショットを最も多く成功させており、また、そのショットはいずれもディフェンダーが4フィート(約122cm)以上離れている状況で放たれている。
実際に、NBA.comの選手別トラッキングによると、彼のショットの3分の2以上がワイドオープン(6フィート/約183cm以内にディフェンダーがいないことを指す)だったという。
渡邊雄太の今シーズンの3Pショット
最も近い守備との距離 | 3P成功数 | 3P成功率 |
---|---|---|
0-4フィート | 0/1 | 0% |
4-6フィート | 5/8 | 63% |
6フィート以上 | 12/27 | 56% |
確かにネッツはまだ問題を抱えている。カイリー・アービングが出場停止から復帰するのを待っているし、ベン・シモンズはまだ自分のフォームを見つけようと模索中で、セス・カリーはケガから復帰して本来の自分を取り戻そうとしているところだ。そして、ケビン・デュラントでさえ、ひっそりと1試合30得点以上を叩き出しているにもかかわらず、自分のチームを評価するとなると、今でも公には確信が持てずに不安を感じている。
しかし、そのような騒ぎの中でも、渡邊は一貫して信頼できる存在として、攻守で完璧な役割を果たし、待望されていたベンチからの安定感をもたらしている。
彼は今ほどの調子を維持できるだろうか? おそらくそれは無理だろう。なにしろ、今の記録は、NBA史上単独で最高のシューティング(3P成功率55.56%)のシーズンになっているのだから。
しかし、もし渡邊がこのシーズン序盤のような調子を維持できるとしたら、ネッツにおける彼の台頭は、シーズン序盤のサプライズにとどまらず、重要な長期的な解決策へと発展する可能性があるだろう。
原文:Inside Yuta Watanabe's historic 3-point shooting: How Nets forward suddenly became NBA's most accurate shooter
翻訳:YOKO B Twitter:@yoko_okc