NBAは5月23日(日本時間24日)、ゴールデンステイト・ウォリアーズのステフィン・カリーが、2022-2023シーズンのカリーム・アブドゥル・ジャバー社会正義賞を受賞したことを発表した。
公民権運動の象徴で殿堂入りしているカリーム・アブドゥル・ジャバーの業績とレガシィ(遺産)を受けて創設された同賞は、その年で最も影響力を発揮して社会正義を訴え、長年にわたるNBA選手の活動の伝統を受け継いだ選手たちだ。
社会的正義を追求し、歴史的に取り残されたり、システム的に不利な立場に置かれてきた個人やグループに関与し、力を与え、平等を推進するというアブドゥル・ジャバー自身の生涯の使命を最も推進することに貢献した選手に賞は与えられる。
カリーは公平性を助長し、機会へのアクセスを創出することで、コミュニティを向上させることを優先している。例えば直近では2022年の選挙で、ミシェル・オバマ元大統領夫人による発案「When We All Vote」の共同議長として、有権者登録や教育、投票率向上の推進に自らのプラットフォームを活用した。コミュニティの安全にまつわる問題への関心の向上にも取り組み、2023年にウォリアーズがホワイトハウスを訪問した際は、バイデン大統領と直接話し、スティーブ・カー・ヘッドコーチと一緒にホワイトハウスでの会見に参加して、公に問題提起している。
カリーは少数の人々のグループ支援や機会への障壁を減らすことにも重点的に取り組んでいる。2022年にデイビッドソン大学を卒業したカリーの卒業論文のテーマは、スポーツにおけるジェンダー平等だった。自身のライフスタイルブランド『UNDERRATED』を通じ、見過ごされがちな学生アスリートへの扉を開くことで、軽んじられている少数の個人に力をもたらし、大学リクルーターやスポーツエージェント、他業界のリーダーたちから注目してもらえるよう、世界中のバスケットボールやゴルフのアスリートたちに公平性やアクセス、機会を創出している。
カリーのマルチメディア企業『Unanimous Media』は、エンターテインメント業界で少数派の映画制作会社やクリエイター、作家とのコラボレーションに取り組んでいる。
妻と共同で設立した非営利団体『Eat. Learn. Play.』を通じ、カリーはオークランドのすべての子どもたちが健康に成長するために必要な食生活へのアクセス、勉強や読書が好きになるようなリソース、平等に遊ぶ機会のある安全な場所の確保に努めている。
受賞した選手には、NBAから自身が選ぶ社会正義団体に寄付するための10万ドル(約1380万円/1ドル=138円換算)が贈られる。カリーは不正や制度的的暴力に立ち向かって克服し、コミュニティ紛争の公正な解決に貢献すべく、非暴力の変革的な理論と実践を探り、啓蒙し、推進するサンフランシスコ大学の団体「Institute for Nonviolence and Social Justice」を選んだ。
カリー以外の最終候補者たちは、ジャレン・ジャクソンJr.(メンフィス・グリズリーズ)、トレイ・ジョーンズ(サンアントニオ・スパーズ)、クリス・ポール(フェニックス・サンズ)、グラント・ウィリアムズ(ボストン・セルティックス)だった。4名にはそれぞれ社会正義団体に寄付するための2万5000ドル(約345万円)が贈られる。