『The Athletic』のシャムズ・シャラニア記者と『ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー記者によると、ダラス・マーベリックスがスペンサー・ディンウィディー、ドリアン・フィニー・スミス、複数のドラフト指名権と引き換えに、ブルックリン・ネッツからオールスター選出8回のカイリー・アービングを獲得するという。
アービングは先日、ネッツにトレードを要求したと報じられていた。ネッツでのアービングの時間は4シーズン目の半ばで終わりを迎えることとなる。ケビン・デュラントというスーパースターの元を去り、アービングはルカ・ドンチッチという別のスーパースターとコンビを組むことになるのだ。
この取引はネッツとマーベリックスにどう働くのか。『Sporting News』による両チームのトレード評価は以下のとおりだ。
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マーベリックスの評価
今季、マーベリックスでドンチッチがずっと大きな負担を背負ってきたことは周知のとおりだ。その結果、球団に対する彼の不満やフラストレーションは大きくなる一方だった。
ドンチッチが不満を抱いているという噂が本当かは別にして、アービングの獲得は、世代を代表するタレントを中心にできる限り最高のチームをつくろうという球団の姿勢を再確認させた。
『Sporting News』のScott Rafferty記者は先日、アービングがマーベリックスでドンチッチとうまくフィットすると解説している。
ドンチッチとアービングは、クリーブランド・キャバリアーズ時代にアービングがレブロン・ジェームズとチームメイトだった時のようなワンツーパンチを形成するだろう。アービングはドンチッチのような選手からのプレイでショットを放つのに優れたシューターだ。そして実質的に誰が相手でも自らショットをクリエイトすることもできる。ドンチッチのプレイメークの負担を軽減するのに役立つだろう。
3月で31歳になるアービングは、キャリア有数と言えるスタッツを残している。ネッツで今季40試合に出場し、平均27.1得点、5.3アシスト、5.1リバウンド、フィールドゴール成功率48.6%、3ポイントショット成功率37.4%、フリースロー成功率88.3%を記録。オールスターゲームのスターターに選出された。
ドンチッチを中心に様々なアプローチを試みてきたマーベリックスだが、アービングの獲得で、ドンチッチにとって過去最高のチームメイトを手に入れるのに成功したかたちだ。マーベリックスは混戦模様のウェスタン・カンファレンスで中位から抜け出し、優勝を競う上位に浮上できるかもしれない取引に踏み切ったのである。
今季見事なアービングだが、彼に関してはリスクもある。キャバリアーズやネッツではトレードを要求することとなった。ボストン・セルティックスはもっと乱暴に去っている。ネッツにトレードを要求したのも、球団が長期契約を結べなかったことによるものだった。
ネッツが長期契約を進めなかった要素のひとつが、まだ比較的若いながらもアービングに負傷の過去があることだ。NBAインサイダーのマーク・スタイン記者は、新契約の約束はなく、シーズン後にアービングの代理人とマーベリックスが再度話し合うと報じた。現在アービングは2年8300万ドル(約109億5600万円/1ドル=132円換算)の延長契約を、夏に4年契約を結ぶことができる。
今季終了後が未知数なのは、今回の取引を完全なホームランと評価できない大きな理由だ。
評価:B+
ネッツの評価
スタイン記者によると、ネッツがアービングのトレードの交渉で最もこだわったのは、ディンウィディーとフィニー・スミスの獲得だったという。優先目標として両選手を獲得できたことで、ネッツは自信をもって取引を受け入れたのが「妥協」ではなかったと言える。
さらに、ネッツは2027年と29年の2つの2巡目指名権、2029年の1巡目指名権と、ドラフト指名権を増やすことができた。かなり先のことではあるが、非常に貴重なものとなるかもしれない。一方で、マーベリックスには優勝候補として戦っていくための時間を与えられる。
今後注目されるのは、ここからネッツが何をするかだ。
アービングが去り、ケビン・デュラントはネッツに残りたがるだろうか。デュラントがトレードを要求した昨夏は土台が揺らいでいると証明されたが、結局のところはすべて丸く収まった。
今季のデュラントは素晴らしいが、ディンウィディーとフィニー・スミスは、ネッツをイースタン・カンファレンスのトップ4にとどめられるだけの選手たちだろうか。デュラントはまた移籍を望むのか?
今回の取引を進める上で、ネッツ上層部とショーン・マークスGMがすべてを考慮したことは疑いない。だが、もしもデュラントが再び退団へと向かうのなら、おそらくネッツはもうひとりの戦力を獲得しにいくべきだったかもしれない。例えば、マーベリックスのジョシュ・グリーンのような若手や、ワイルドカードとしてジェイデン・ハーディーといった選手たちだ。
評価:B-
原文:Kyrie Irving trade grades: Mavericks get Luka Doncic help, Nets retool around Kevin Durant