フェニックス・サンズがテーブルの中央にチップを押し出している。大型トレードでオールスター選出13回のケビン・デュラントを獲得するというのだ。
一方、カイリー・アービングをダラス・マーベリックスにトレードしたばかりのブルックリン・ネッツは、若手を中心にしようとしている。ドラフト指名権を確保するとともに、彼らは複数の才能ある選手たちを取り戻した。
2月9日早朝、以下のトレードが報じられている。
サンズ獲得:
- ケビン・デュラント
- TJ・ウォーレン
ネッツ獲得:
- ミケル・ブリッジズ
- キャメロン・ジョンソン
- ジェイ・クラウダー
- 2023年1巡目指名権
- 2025年1巡目指名権
- 2027年1巡目指名権
- 2029年1巡目指名権
- 2028年2巡目指名権交換権利
この取引はサンズとネッツにどう働くのか。『Sporting News』による両チームのトレード評価は以下のとおりだ。
サンズの評価
サンズは優勝に向けて窓を閉ざされたように思われていた。それが、デュラント獲得でその窓が壊されたのだ。
今季、負傷する前のデュラントは十分なMVP候補となる活躍を見せていた。平均29.7得点、6.7リバウンド、5.3アシスト、1.5ブロックを記録し、ショットはフィールドゴール成功率55.9%、3ポイントショット成功率37.6%、フリースロー成功率93.4%と非常に効率的だった。
クリス・ポール、デビン・ブッカー、ディアンドレ・エイトンを中心とするチームに、リーグ有数のスコアラーが加われば、サンズはすぐにウェスタン・カンファレンスのエリートチーム候補に返り咲く(フェニックスのファンがさらにミッドレンジからのジャンプショットを見ることになるのも意味する)。
財政的な観点からも、このトレードはサンズにとって勝利だ。デュラント加入で優勝の可能性を高めるだけでなく、彼らは不満を抱いていたクラウダーを放出。この夏に制限付きフリーエージェントとなるジョンソンへの支払いを心配する必要もなくなった。
確かにサンズは層の厚みを失い、システムに完璧にフィットしていた2人の若手を失うことになった。だが、ケビン・デュラントだ!
取引にウォーレンを含めたことも、サンズにとってはうまみがある。今季のウォーレンはネッツで26試合にしか出場していないが、キャリア通算の3P成功率は35.5%だけに、スムーズにベンチスタートからの途中出場で得点する脅威となれるだろう。
ウェスタン・カンファレンスは混戦だけに、この取引はサンズにとってホームラン級だ。
評価:A+
デュラントの契約状況
デュラントは2021年のオフシーズンに4年1億9700万ドル(約258億700万円/1ドル=131円換算、以下同)の延長契約を結んだ。この契約は2025-2026シーズンまでだ。
ネッツの評価
オフシーズンにルディ・ゴベアのミネソタ・ティンバーウルブズへのトレードで見たように、トレード市場の高騰ぶりを考えれば、ネッツの動きは許容できると思われる。
理想を言えば、トップ5に入る選手の代わりに、少なくともオールスター級の選手がほしいところだ。今回の取引でお宝となるのは、ブリッジズだろう。それほど遠くない未来にそれだけのレベルにたどり着くポテンシャルを持つ選手だ。
ブリッジズはすぐに3Pと守備に関してリーグ有数の選手となった。また、鋭いシューターとして実績のあるジョンソンは、2021年にNBAファイナルまで勝ち進む中で見事なパフォーマンスを披露するなど、サンズで輝かしい時期を経験している。
そして『ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー記者が報じたように、クラウダーは将来のドラフト指名権とトレードされるかもしれない。その場合、この大型取引の目的はさらに大きなものとなる。
デュラントの価格をもっと高くすることもできたかもしれない。彼は単独でチームを優勝候補にすることができると示してきた選手だ。
だが、アービングをマーベリックスに放出し、球団が再建へと向かっていく中で、ブリッジズやジョンソンと一緒にこれだけのドラフト指名権を獲得できたのは大勝利だ。
評価:B-
ブリッジズ、ジョンソン、クラウダーの契約状況
ブリッジズにはサンズと結んだ新人延長契約、4年9090万ドル(約119億790万円)の1年目に2100万ドル(約27億5100万円)が支払われる。
ジョンソンの今季の報酬は590万ドル(約7億7290万円)。オフシーズンに制限付きFAとなる。
クラウダーは今季1020万ドル(約13億3620万円)で契約最終年。2020-2021シーズンを前に、3年2920万ドル(約38億2520万円)の契約を結んだ。
原文:Kevin Durant trade grades: Suns swing for the fences; Nets add youth, draft picks