ロシアによるウクライナ軍事侵攻開始以来、スポーツ界では大会開催禁止や出場停止など"ロシア外し"が広がっている。一方で、選手個人の参加を認める傾向に対する反感も根強く、各国からボイコットの動きも出始めている。
サッカー界ではUEFAチャンピオンズリーグ決勝戦の開催地変更や、ワールドカップ(以下W杯)予選でロシアと対戦するポーランド、スウェーデン、チェコがボイコットを表明する動きがあったが、国際サッカー連盟(FIFA)は、ロシア国内での試合、ロシアの国家としての出場、国旗の使用を禁止すると発表した。ただ、ロシアサッカー連合名義での他国での試合参加は容認するとして、完全な予選からの排除までは言及しなかったことから、上記3か国からは失望の声が聞こえている。
- ※3/1追記
FIFAとUEFAは、ロシアに対しての追加措置を発表し、ロシアサッカー連合名義での参加を容認した前回の措置を撤回し、ロシア国内代表チームおよびクラブチームを問わず、すべてのロシア籍チームのFIFA・UEFA主催大会参加を停止するとした。期限は参加を認める通知がなされるまでとした。
一方、柔道界は大なたを振るった。国際柔道連盟(IJF)は5月に開催予定だったグランドスラム(GS)カザン大会の中止を発表。さらにウラジミール・プーチン大統領の名誉会長職とアンバサダーの役職の停止を決めた。声明ではロシアやプーチン大統領への言及を避けながらも、「東欧と世界平和を願う」と遠回しに反戦を主張した。
欧州柔道連盟では、ロシア人のセルゲイ・ソロベイチク会長が辞任した。ロシアが母国である自身が会長職に留まるべきではないとして自ら決断した。
国際オリンピック委員会(IOC)でも、ロシアおよびベラルーシでの国際大会開催、選手の参加を除外するようにすべての国際競技連盟、大会主催者に勧告する理事会決議が承認された。ベラルーシは、ロシア軍の侵攻に手を貸す属国として認識されており、両国は同じ関係として考えられている。
もっとも、引き続き各国五輪委員会名義での出場は可能なため、英国五輪関係者から完全排除の声が挙がっている。3月4日から開幕する北京パラリンピックにおいても、ロシア人選手の全面的除外は難しいとしており、まだ紛糾する可能性がある。
体操界でも、FIG(国際体操連盟)がロシアとベラルーシの両国で予定されているW杯と下位大会となるワールドチャレンジカップの中止を決めた。ボクシング界では、世界ボクシング協会(WBA)、世界ボクシング評議会(WBC)、世界ボクシング機構(WBO)、国際ボクシング連盟(IBF)の主要4団体が連名で声明を発表し、ロシア国内での試合を認めないとした。
バレーボールの男子世界選手権やネーションズリーグ、スポーツクライミングのW杯、カーリング欧州選手権は開催地を変更。バスケットボールの2023年W杯欧州地区予選の延期、水泳界では飛び込みとアーティスティックスイミングのW杯の中止を発表している。
上記のように多くの競技団体ではロシア国内での大会開催を忌避する方向性を採るが、サッカー界同様に、ロシア選手との対戦を拒否を表明する動きも広がっており、ボイコット運動などで"ロシア(およびベラルーシ)外し"の動きはより大きくなるかもしれない。