北京パラリンピックが開幕…ウクライナは4番目に登場

2022-03-04
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Getty Images

現地時間3月4日、北京パラリンピックの開会式が"鳥の巣"とも呼ばれる国家体育場で行われた。日本選手団は2番目に入場し、ロシアから軍事侵攻を受けるウクライナ選手団は4番手に登場した。国際パラリンピック委員会のアンドリュー・パーソンズ会長が平和を強調するスピーチを行うなど、異例の開会式となった。

ロシアによるウクライナ軍事侵攻が勃発するなか、北京パラリンピックが開幕した。3月2日、国際パラリンピック委員会(IPC)がロシアと同盟国ベラルーシの選手の中立的立場での参加を容認したものの、一部の委員会や選手からボイコットの声が高まる事態に。翌3日、大会不成立を危惧したIPCが急転して両国選手の除外を決めるなど、直前まで混乱があった。

北京オリンピック同様、氷をイメージしたパフォーマンスから始まると、同大会のマスコットで中国の旧正月などで飾られる赤い灯籠をモチーフにした「シュエ・ロンロン」が会場中央に敷かれた氷の道を滑り、入場する選手たちを迎える趣向となった。

今大会は6競技78種目の競技で46の国と地域から、約560選手、関係者を含めると約6000人が参加し、日本からは4競技29選手が出場する。北京五輪同様、国名の漢字表記の1文字目の画数が少ない順の入場となり、日本はベルギー選手団に続く2番手として入場。旗手はクロスカントリースキーの川除大輝が務めた。

戦火のなかから北京に到着したウクライナ選手団が4番目に入場すると、大きな歓声があがった。前回の平昌大会では22個のメダルを獲得したが、今大会では20選手が参加予定。母国では選手たちの家族がシェルターや防空壕に避難して過ごしている状況だが、家族の無事とウクライナの平和を願い、競技に臨もうとしている。

ホスト国の中国選手団の入場後、IPCが推し進める「WE THE 15」キャンペーンの映像が紹介され、「世界の人口の15%は何らかの障害がある世の中だから、差別をなくし、生活をより豊かに」というメッセージを示した。

大会組織委員会の蔡奇会長に続きステージに立ったアンドリュー・パーソンズIPC会長は、「21世紀は対話と外交の時代であり、戦争や憎悪の時代ではない」「差別や憎しみとは無縁の世界を目指し、選手たちは戦うのではなく、互いに競い合うのです」と訴えると、最後には「Peace!(平和を!)」と叫び、反戦を強く意識したスピーチを行なった。

ただ、共同通信などによると、中国の国営中央テレビでの中継では、パーソンズ会長の反戦メッセージが翻訳されず、その間の同氏のマイクの音声も小さくされるなど、ロシアと中国の関係性や、台湾併合の話題につながりかねないメッセージを封殺するような一幕があったようだ。

中国の習近平国家主席が北京五輪同様に手短に開会を宣言すると、会場上空にきらびやかな花火が上がった。

両足が義足の少年を中心としたパラパフォーマンスが終わると、パラリンピック旗が掲揚され、中国選手による選手宣誓が行われた。そして会場に届いた聖火が最終ランナーたちにより運ばれ、聖火台に点灯されると、ふたたび花火が打ち上げられ、開会式のフィナーレを飾った。

北京パラリンピックは、5日から競技がスタートし、13日まで行われる。