12月31日、さいたまスーパーアリーナで、MMA業界でも異例となる『RIZIN(ライジン)』 vs. 『Bellator(ベラトール)MMA』全面対抗戦が行われる。
スポーティングニュース米国編集部の格闘技専門家は、大晦日の『RIZIN.40』での対抗戦に注目し、メインカード5試合で、誰が勝利をつかむのかを予測。大手ブックメーカーのオッズも紹介する。
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12月31日大晦日、さいたまスーパーアリーナで『RIZIN』と『Bellator MMA』、両団体の強豪が5対5で激突する。MMA業界では異例となるベストファイター同士の全面対抗戦は、世界的にも注目されている。
メインイベントの大将戦は、日本で成功を掴んだ日系ブラジル人ファイター、ホベルト・サトシ・ソウザと、Bellatorの生え抜き若手スター、A.J.マッキーが務め、副将戦は、フェザー級王者対決となり、新たなRIZINの顔役クレベル・コイケが、Bellatorパウンド・フォー・パウンド・キングのパトリシオ・ピットブルを迎え撃つ。堀口恭司はBellator代表として、因縁の扇久保博正と3度目の対決に臨む。
MMA業界では、異なる団体が共通の目的のために協力することは少ない。しかし、Bellatorのスコット・コーカー代表は、このイベントが一過性のものに収まらないものになることを確信している。
「この対抗戦は、オリンピックと同じように、自分たちのベストアスリートを5人連れてきて、相手もベストアスリートを5人連れてくるというもので、私のなかではミニ・オリンピックのようなものなのです」
「MMA業界では(利害関係もあり)歴史的にこうしたものが実現することはなかった。UFCはやっていないし、我々もやっていなかった。榊原(RIZIN)だってやっていなかった。単発の試合はあちこちでやっていますけどね。しかし、このように5対5で、なおかつベストファイター同士で戦うというのは、まさしく歴史的なイベントであり、だからこそ、人々はとても興奮しているのだと思いますよ」
MMA業界初ともいえるトップファイター同士の全面対抗戦。この試合がどんなドラマを生み、いかなる結末を迎えるのか。予想していきたい。
RIZIN vs. Bellator:予想の目安になるブックメーカーのオッズは?
まずは世間の予想の「参考値」を知る必要があるだろう。スポーツベッティング(ギャンブル)が盛んな欧米では、ブックメーカーのオッズも試合結果の予想に役に立つ。格闘技系ブックメーカーオッズ比較サイト『Best Fight Odds』によると、英国最大手「Bet365」の2022年12月26日付けオッズは以下となっている。
オッズ数値は、100ドルを賭けて戻ってくる金額となり、「-300」ということは、300ドル賭けてようやく100ドルの儲けが出るということ。逆に「+250」は100ドル懸けて250ドル儲かるということだ。
- パトリシオ・ピットブルは「-351」の優勢、クレベル・コイケは「+265」の劣勢。
- A.J.マッキーは「-190」の優勢で、「+160」で劣勢となるホベルト・サトシ・ソウザを抑える。
- 堀口恭司は、「+360」の扇久保博正に対して「-500」で大幅に優勢。
- フアン・アーチュレッタは「-155」で、「+125」のキム・スーチョルにわずかに優る。
- ガジ・ラバダノフは「-250」の優勢で、武田光司は「+205」で劣勢。
全体的に世界規模で展開するBellatorファイターが人気で、日本のRIZIN勢は知名度の関係もあり劣勢予想となっている傾向だ。スポーティングニュース米国編集部の専門家は、こうしたオッズとは別の視点から分析。誰が勝者となるのか? 逆転はあるのか? 各試合を予想していく。
大将戦|ホベルト・サトシ・ソウザ vs. A.J.マッキー|ライト級
Bellator軍大将を務めるマッキーは、長らくフェザー級で活躍したが、今回がライト級2戦目。加えて、「RIZINルール」という未知の領域に泳ぎだすマッキーだが、目の前にあるものすべてを利用する準備はできている。それはRIZINでは合法で、米国では反則とされる攻撃方法も含まれる。 マッキーは『LowKick MMA』のビデオインタビューのなかで、未知のルールへの怖さよりも、少年時代に憧れていた日本の伝統的なルールで戦えることへの期待感を口にしていた。
「僕は(RIZINの)ルールに興味津々だし、ワクワクしているよ。サッカーボールキックやグラウンドでの膝蹴りとかね。子供の頃から夢見ていたんだ。PRIDE時代の試合を観ていると、最後には必ずと言っていいほどサッカーボールキックが繰り出されていたからね。普段使わないような技を使うのが楽しみなんだ」
一方、現RIZINライト級王者ホベルト・サトシ・ソウザは5連勝中。この5勝中4勝で1本勝ちだ。18歳で母国ブラジルから日本に渡り、亡き父が創設した「ボンサイ柔術」の支部を静岡県浜松に設立し、2人の兄や盟友クレベル・コイケとともに研鑽を積んできた。リングでの戦いという地の利がある。
ケージではない試合でマッキーは本領を発揮できないかもしれないが、逆境はむしろ歓迎だろう。今回はノンタイトル戦だが、勝てばRIZINフェザー級王座挑戦となれば、マッキーには大きなモチベーションになるはずだ。
スポーティングニュースの予想:A.J.マッキーが1本勝ち
副将戦|クレベル・コイケ vs. パトリシオ・ピットブル|フェザー級
MMAの歴史のなかで、フェザー級最強ファイターとして恐れられてきたパトリシオ・ピットブルは、KOで11勝、1本勝ちで12勝、判定で11勝と、あらゆるシチュエーションで勝利をものにできるオールラウンダーだ。一方、クレベル・コイケは1本勝ちで27勝を挙げ、得意の寝技で2019年のRIZIN所属以前から数えて7連勝を飾っている。
コイケはこの『闘犬』に対してリーチで17cm、身長で13cmのアドバンテージがあるが、パトリシオは常に不利な状況に怯えることなくハツラツとしている。どちらかがひとつのミスを犯しただけでも流れが変わるような、計算しつくされたハイレベルな戦いになるはずだ。
パトリシオの強みのひとつは、ディフェンスの魔術師でありながら、すぐさま反撃に転じることだろう。対するコイケは、この2年の間に朝倉未来、元UFC戦士の佐々木憂流迦を実力で下し、牛久絢太郎から一本勝ちでRIZINフェザー級タイトルを獲得した。だが、驚異の勝率を誇る各種絞め技・関節技に持ち込むにしても、対応力の高いパトリシオを捕まえきれるのか。スポーティングニュースは、Bellatorのパウンド・フォー・パウンド・キングが勝者になることを予想する。
スポーティングニュースの予想:パトリシオ・ピットブルが全会一致の判定勝ち
中堅戦|扇久保博正 vs. 堀口恭司|フライ級
因縁深い両者にとって今回が3戦目となる。堀口恭司は、2013年の修斗フェザー級王座決定戦、2018年の『RIZIN.11』で扇久保博正を下し、勝ち越している。直近6試合では3勝3敗。2021年からBellatorに籍を置くため、同団体代表としての出場となった。
対する扇久保は、直近6試合で5勝1敗、勝ち星は全て判定決着。寝技に強みを持っており、ポイントを稼いで長期戦で勝つタイプと言える。
「3度目の正直」を狙う扇久保だが、元Bellator世界バンタム級王者の堀口は、まだまだ脅威の存在だ。セルジオ・ペティス戦では、不意の左バックハンドブロー被弾で決着がつくまで、圧倒的な強さを見せていた。堀口が同じような過ちを2度犯すとは考えられないだろう。9月の金太郎戦のように、相手に反撃の余地を与えず、一気に寝技で決めにいくかもしれない。
スポーティングニュースの予想:堀口恭司が1本勝ち
次鋒戦|キム・スーチョル vs. フアン・アーチュレッタ|バンタム級
元Bellator世界バンタム級王者アーチュレッタは、これまでBellatorの強豪たちと戦ってきた。過去の実績に加え、相手のキムに対してリーチで約7.6cmの差をつけるアーチュレッタが優位に見えるが、直近の4戦で2勝2敗と、30代なかばに差し掛かってからはコンディション的にあまり安定していない。
キムはKing of the Cage王者、元ONEバンタム級王者というアジアの強豪。過去4試合で3勝1敗だ。9月の扇久保博正戦において随所で対応力の高さを見せ、判定勝ちを収めた。今回もアーチュレッタのリーチのある攻撃をさばき、疲れさせることができれば、ジャッジが好意的に評価する可能性が高い。
スポーティングニュースの予想:キム・スーチョルが全会一致の判定勝ち
先鋒戦|武田光司 vs. ガジ・ラバダノフ|ライト級
DEEPライト級王者の武田光司は、RIZIN王者ホベルト・サトシ・ソウザを追うライト級日本人ファイターとして期待されている。アマチュアレスリングの猛者であり、寝技のスキルも長けている。武田が勝機を見出すなら、相手の動きを封じるレスリング技術に頼らざるを得ないだろう。 現在5勝2敗、2連勝中で勢いはある。
相手の元Eagle FCライト級王者のガジ・ラバダノフは4連勝中。元UFCライト級王者として無敗のまま引退したハビブ・ヌルマゴメドフの刺客として今大会に送り込まれてきた。2021年8月のBellator初参戦時、ダニエル・ケリー戦で衝撃のKO勝利デビューを収めたが、2018年以降は多くが判定勝利となっており、やや決定力に欠ける面が否めない。
スポーティングニュースの予想:武田光司がスプリット・デシジョンで勝利
原文:How to bet Bellator MMA vs. RIZIN: Predictions, expert picks for entire New Year's Eve card
翻訳・編集:スポーティングニュース日本版編集部
※本記事は、英語記事を翻訳、再編集・追記した日本向け記事となる。
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