大谷翔平がフリーエージェントになる前の最終シーズンも中盤に入った。ロサンゼルス・エンゼルスが大谷をトレードするか否かを野球界全体が注視し続けている。
大谷獲得が可能になった場合はニューヨーク・ヤンキースがトレード移籍先の最有力候補になるだろうと見られている。
スポーツ専門局『ESPN』のバスター・オルニー記者は7月13日の同局朝番組『Get Up』に出演し、この野球界最大のスター獲得に最も熱意を持っているチームはヤンキースで、テキサス・レンジャーズ、タンパベイ・レイズ、そしていくつかの球団も大谷獲得へと本気で動くかもしれないと語った。
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ヤンキースが大谷を必要とする理由
オルニー記者はヤンキースを大谷の移籍先の最有力候補に推す理由をこう説明した。
「昨日、情報筋から話を聞き、確信しました。ヤンキースが間違いなく大谷獲得に最も熱心なチームです。なぜなら、ゲリット・コール、アーロン・ジャッジ、そしてジャンカルロ・スタントンらが中年に差し掛かり、今こそが全盛期だからです。ヤンキースは今勝たなくてはいけないのです。大谷を加えると、ヤンキースの先発ローテーションは急激に強化されます。そして、ヤンキー・スタジアムは左打者の大谷にとって有利な球場でもあります。もしエンゼルスが大谷を手放すなら、ヤンキースはどれだけの大金でも払うでしょう」
青写真の上ではヤンキースが大谷のトレード移籍先に相応しい理由は多くある。オルニー記者が述べた通り、ヤンキースは勝たなくてはいけない時期にある。そしてファーム・システムが充実しているので、トレード交換要員にも不足はない。トップ有望株選手のヤソン・ドミンゲス、新人王候補のアンソニー・ボルピーなどの名前が含まれるかもしれない。他にもオースティン・ウェルズ、エバーソン・ペレイラ、スペンサー・ジョーンズ、トレイ・スウィーニーら、まさに多士済々である。
そして大谷はニューヨークでさらに活躍できるだろう。野球データ専門サイト『Baseball Savant』によると、ヤンキー・スタジアムはメジャーリーグで4番目に左打者の本塁打が出やすい球場である。そしてジャッジとスタントンがいる打線に入ることで、大谷への警戒はかなり緩くなる。ヤンキースは投手陣も層が厚い。コール、カルロス・ロドン、クラーク・シュミット、ドミンゴ・ジャーマン、ネストル・コルテス、そしてルイス・セベリーノ(復調すればだが)がいるので、大谷は6日間ローテーションで登板することができる。
ヤンキースが大谷獲得に必要とされるすべてを持っていることは間違いない。問題はこのチームにその気があるかどうかになるだろう。2017年にスタントンをマイアミ・マーリンズから獲得して以来、ヤンキースは超大型トレードからは遠ざかっている。とは言え、ここ数年だけでもアンソニー・リゾ、ジョシュ・ドナルドソン、フランキー・モンタス、ジョーイ・ギャロ、アンドリュー・ベニンテンディ、ハリソン・ベイダー、クレイ・ホームズ、ジェイムソン・タイヨン、ソニー・グレイ、ランス・リン、そしてアンドリュー・ヒーニーといった有名選手の名が挙げられる。
ヤンキースはさらに大谷と再契約するかどうかの決断に迫られる。それは野球の歴史において最大の契約になるだろうと見られている。どのチームも大谷をトレード獲得することを望む理由のひとつは、現在からシーズンオフまでの間に独占交渉権を得ることができるからだ。
ヤンキースはすでにいくつかの大型かつ長期の契約を何人かの選手と結んでいる。2029年まで続く契約としては、ロドン(6年総額1億6200万ドル=約226億8000万円)、コール(9年総額3億2400万ドル=約453億3600万円)、そしてスタントン(13年総額3億2500万ドル=約455億円)の3つが最大だ。そしてジャッジが2032年まで続く9年総額3億6000万ドル=約504億円の契約を昨シーズンオフに結んだばかりだ。
周知の通り、ヤンキースは2009年からワールドシリーズ制覇から遠ざかっている。この球団にとって無冠の期間が14年間に及んだことは過去に2回(1962-77、1978-96)しかない。ファンはこのチームがふたたび球界の盟主になる日を待ち望んでいる。そして球団がファンと同じ野望を持っているのであれば、野球史上最高の選手をメンバーに加えることは、長い目で見れば必然であるとさえも言える。
しかし、大谷獲得を望むのはどのチームにとっても同じだ。投手と打者の両方で類まれな才能を有し、ファンからの人気も極めて高い。まさに野球界のユニコーンである。ヤンキースが大谷獲得に最も熱心なチームのひとつであることは驚くには値しない。