ピッチクロックで試合時間は短縮されたのか? 2023年のMLB開幕戦のデータを前年と比較

2023-04-02
読了時間 約4分
(Getty Images)

MLB(メジャーリーグベースボール)で2023年シーズンから新たに導入された『ピッチクロック』。この新ルールは、長すぎると言われる野球の試合時間を短縮することにつながるのだろうか?

本誌『スポーティングニュース』のKevin Skiver記者が、2023年の開幕戦カード全15試合の試合時間とその平均値を昨シーズン(2022年)と比較した。

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ピッチクロックによってMLBの試合時間は短くなったのか?

MLBの2023年シーズン開幕が近づいていた頃、新たに導入されるピッチクロックが試合時間をどれだけ短縮するかという質問はあまり話題にならなかった。それよりも、試合中にタイマーがどのように使われるかという面により大きな関心が向けられていた。

今年のMLBオープン戦は平均試合時間が2時間37分だった。マイナーリーグは2022年のレギュラーシーズンでピッチクロックを先に導入したが、そこでの平均試合時間とほぼ似た結果だった。不慣れな最初のうちはルール違反が多く見られたが、オープン戦も後半になるとほぼ1試合に1回くらいに落ち着いてきていた。

開幕戦でもいくつかのルール違反はあった。そのなかには三振になってしまったものがひとつ、進塁になってしまったものがひとつあった。しかし、ほとんどの試合において、ピッチクロックの最も明白な効果は試合時間の長さに表れた

今シーズンが今までとは大きく様変わりすることは、3月31日の開幕戦の日に一番早く終了したニューヨーク・ヤンキース対サンフランシスコ・ジャイアンツ戦の試合時間が2時間33分だったことで早くも明らかになった。昨年の開幕戦カードで最短だったクリーブランド・ガーディアンズ対カンザスシティ・ロイヤルズの試合時間は2時間49分だったのだ。

以下に、2023年の開幕戦カード全15試合の試合時間とその平均を昨シーズン(2022年)と比較してみた。

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MLB2023年開幕戦カードの試合時間とルール違反

米国時間3月31日の開幕戦はヤンキース対ジャイアンツ戦を皮切りに10試合が午後の時間に行われた。シカゴ・ホワイトソックス対ヒューストン・アストロズ戦は独自のゴールデンタイムに行われ、最後の4試合は西海岸のナイター試合だった。

試合 開始時刻
(米国東部)

合計得点
/安打数

合計
投球数
試合
時間
ルール
違反
サンフランシスコ・ジャイアンツ vs. ニューヨーク・ヤンキース 1:05 p.m. 5/12 292 2:33 1
アトランタ・ブレーブス vs. ワシントン・ナショナルズ 1:05 p.m. 9/20 320 3:07 1
ミルウォーキー・ブルワーズ vs. シカゴ・カブス 2:12 p.m. 4/10 257 2:21 1
ボルティモア・オリオールズ vs. ボストン・レッドソックス 2:12 p.m. 19/26 344 3:10 3
デトロイト・タイガース vs. タンパベイ・レイズ 3:10 p.m. 4/12 272 2:14 0
フィラデルフィア・フィリーズ vs. テキサス・レンジャーズ 4:09 p.m. 18/22 335 3:04 0
ミネソタ・ツインズ vs. カンザスシティ・ロイヤルズ 4:10 p.m. 2/12 283 2:32 0
ピッツバーグ・パイレーツ vs. シンシナティ・レッズ 4:11 p.m. 9/14 343 3:02 2
ニューヨーク・メッツ vs. マイアミ・マーリンズ 4:13 p.m. 8/13 304 2:42 1
トロント・ブルージェイズ vs. セントルイス・カージナルス 4:22 p.m. 19/34 384 3:38 2
シカゴ・ホワイトソックス vs. ヒューストン・アストロズ 7:08 p.m. 5/15 286 2:38 0
コロラド・ロッキーズ vs. サンディエゴ・パドレス 9:42 p.m. 9/24 320 2:56 0
アリゾナ・ダイヤモンドバックスvs. ロサンゼルス・ドジャース 10:10 p.m. 10/16 272 2:35 1
クリーブランド・ガーディアンズ vs. シアトル・マリナーズ 10:11 p.m. 3/11 248 2:14 1
ロサンゼルス・エンゼルス vs. オークランド・アスレチックス 10:14 p.m. 3/11 290 2:30 1

※データ元: MLB.com

開幕戦カード全15試合の平均試合時間は2時間45分だった。見ての通り、3時間を越える試合が野球から完全になくなったわけではない。午後に行われた試合のうち半分がそうだった。

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最短で終了したのはタイガース対レイズ戦とガーディアンズ対マリナーズ戦で、どちらも試合時間は2時間14分だった。最長はブルージェイズ対カージナルス戦の3時間38分で、この試合では両チーム合わせて34本の安打と19得点が乱れ飛んだ。

ピッチクロックの違反は14件あった。8件は投手が、5件は打者(1件は走者によるもの)、そして1件は捕手によるものだった。違反数がゼロだったのは5試合で、最も違反数が多かった試合は3件あった(オリオールズ対レッドソックス戦)。

関連記事:ピッチクロックの仕組みと罰則:2023年に導入されるMLBの新ルール解説

2022年のMLB開幕戦カードの平均試合時間は?

2022年の開幕戦はすべての試合が同じ日に行われたわけではないことが今年と異なる。

昨年のシーズン第1試合目の平均試合時間は3時間17分だった。今年のそれよりも32分長かったわけだ。

2022年の開幕戦で試合時間が3時間より短かったのは2試合しかなかった。マリナーズ対ツインズ戦とロイヤルズ対ガーディアンズ戦である。

2022年の数字は2試合が延長戦にもつれ込んだことでも膨らんだ。レッドソックス対ヤンキースは11回まで、ジャイアンツ対マーリンズは10回までいった。2023年は最初の11試合では延長戦はなかった。それでも、違いは明らかだ。

2022年シーズン全体での平均試合時間は3時間06分であり、9イニングの試合に限れば3時間03分だった。9イニング試合の平均時間が3時間を越えたのは7年連続であり、9シーズンで8回目のことだった。2014年以前は3時間越えは1度もなかった。

MLBはまだタイマーの効果についてデータを集めている段階だ。プロセスがより効率化されるにつれ、平均試合時間が2022年のマイナーリーグ(2時間39分)に近づいていくことは想像に難くない。選手と審判たちがタイマーに慣れていけば、それに戸惑うことも少なくなり、試合への影響も減っていくだろう。

原文: MLB Opening Day game lengths: How long were games on average in 2023 vs. 2022 with pitch clock?
翻訳:角谷剛

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