2023年WBC:やる気満々のアメリカ代表チーム豪華メンバーたち

2022-09-18
読了時間 約4分
(Getty Images)

国際野球大会『ワールド・ベースボール・クラシック』の2023年度・第5回大会の予選が、9月16日、ドイツ・レーゲンスブルクのアーミン・ウルフ・アリーナから始まった。前回2017年大会覇者のアメリカは予選を免除されるが、来年3月の本戦に向けてMLB選手が続々と代表チーム入りを表明している。

注目の米国代表チームにどんな選手が参加するのか、本誌名物記者のライアン・フェイガン(Ryan Fagan)が日程も合わせて解説する。

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2連覇狙う米国代表にメジャーリーガーが続々参戦へ

2023年度の『ワールド・ベースボール・クラシック』(以下、WBC)の残り出場枠をかけた予選トーナメントが始まった。4つの出場枠を12チームが2つに分けられたダブル・エリミネーション形式のトーナメントで争っている。ひとつはドイツ、もうひとつはパナマが会場だ。

2017年WBCの出場国は自動的に今回の大会出場枠を与えられている。本来は2021年に開催が予定されていたが、新型コロナウイルスの影響とMLBのロックアウトによって延期された。アメリカ代表チームは出場枠についての心配はない。そして2013年の代表チームでプレイすることを希望するアメリカ生まれのスター選手たちが続々と名乗りを上げている。

7月にはマイク・トラウト(ロサンゼルス・エンゼルス)がチームのキャプテンとして参加した。MVP2回受賞のブライス・ハーパー(フィラデルフィア・フィリーズ)、やはりMVP受賞者のムーキー・ベッツ(ロサンゼルス・ドジャース)がそれに続いた。これ以上の外野手トリオを望めるだろうか。

そして2022年のナショナル・リーグMVPが確実視されているポール・ゴールドシュミット、そして同じくセントルイス・カージナルスのチームメイトであるノーラン・アレナドの代表入りも発表された。

彼らスーパースターたちは、この代表チームに参加するように大金を積まれて頼まれたわけではない。むしろ、その反対である。

「2017年の大会でプレイしたとき、僕はあまりいい成績をあげることができなかった。だけど、そのとき、こう思ったのさ。(当初予定されていた)2021年までにもっといい選手になって、次の大会でも呼ばれるようになりたいってね。代表チームに選ばれることが強いモチベーションになった。もう一度、代表チームに入ることができて、本当に嬉しいよ」とアレナドはスポーティングニュースの取材に答えている。

考えてみてほしい。

2017年WBCが終わったとき、アレナドは26歳になろうとしていたに過ぎない。すでにゴールドグラブ賞を4回受賞し、オールスターとシルバースラッガーに2回ずつ選ばれてもいた。本塁打40本以上、130打点以上のシーズン成績を2年連続で達成していたのだ。2016年にはナショナル・リーグMVP投票で5位に入っている。

それなのに、アレナドは祈っていた。4年後にまたWBCに出場できるような選手でいられることをだ。

アレナドの言葉から、2つのことが明確に浮かび上がってくる。アレナドとほかの選手たちがどれだけWBCを楽しんだのか、そして代表メンバーのレベルがどれだけ高いのか、である。

結局、アレナドは今でもアメリカ代表チームに入るだけの選手である。ナショナル・リーグMVP投票でトップ8に入るのは今年で6回目となるだろう。カージナルスに移籍してからは初めてである。代表入りは大歓迎されるはずだ。

2017年WBCでアレナドのチームメイトだったゴールドシュミットについても同じことが言える。そのときアレナドはコロラド・ロッキーズ、ゴールドシュミットはアリゾナ・ダイヤモンドバックスというそれぞれ別のチームに所属していたが、今ではこの2人はカージナルズにいる。

「前回大会は楽しかったよ。僕の野球人生で経験したことのうちで最高のひとつだ。だから代表チームの関係者には、僕はまたプレイしたいと伝えたのさ。もう一度、代表メンバーに選んでもらえるならね。そこでは一生の友達を作ることができたし、素晴らしい野球の経験をすることができた。何もかもが素晴らしかった。だから、もう一度チャンスをもらえるかどうかは分からなかったけど、ぜひやってみたかった。僕だけじゃなく、家族も喜んでいたしね」とゴールドシュミットはスポーティングニュースに語った。

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ゴールドシュミットがそのチャンスを掴み取ったことに疑問を抱く者は誰一人としていないだろう。

そして、ゴールドシュミットだけではない。下のメンバー表をみてほしい。

2023 WBCアメリカ代表メンバー

捕手 J.T. レアルムート、フィラデルフィア・フィリーズ
捕手 ウィル・スミス、ロサンゼルス・ドジャース
1塁 ポール・ゴールドシュミット、セントルイス・カージナルス
1塁 ピート・アロンソ、ニューヨーク・メッツ
2塁 トレバー・ストーリー、ボストン・レッドソックス
3塁 ノーラン・アレナド、セントルイス・カージナルス
遊撃 トレア・ターナー、ロサンゼルス・ドジャース
遊撃 ティム・アンダーソン、シカゴ・ホワイトソックス
外野 マイク・トラウト、ロサンゼルス・エンゼルス
外野 ムーキー・ベッツ、ロサンゼルス・ドジャース
外野 ブライス・ハーパー、フィラデルフィア・フィリーズ
外野 セドリック・マリンズ、ボルチモア・オリオールズ
外野 カイル・タッカー、ヒューストン・アストロズ

投手の選出はこれから行われる。

アメリカは2017年WBCで初めて優勝した。日本は初期のWBCで2連覇を果たした(2006年と2009年)。第3回大会の2013年はドミニカ共和国が優勝した。

前回大会で、アメリカは2試合で負けている。第1ラウンドでドミニカ共和国に、そして第2ラウンドでプエルトリコに敗れたのだ。しかし、その両方のラウンドで2位通過して、次に進むことができた。決勝トーナメントでは準決勝で日本を2-1で破り、そして決勝戦ではプエルトリコに8-0で大勝した。そのときの相手先発投手はマーカス・ストローマンだった。ストローマンは2023年もプエルトリコ代表チームに入っている。

2023年WBC本戦の第1ラウンドは3月8日に開始される。会場となるのは台湾・台中、東京、米アリゾナ州フェニックス、そして米フロリダ州マイアミの4都市である。MLB公式サイトが発表した大会日程は以下の通りだ。

2023 WBC第1ラウンド日程

プールA(3月8日~13日)

開催地:台湾・台中(インターコンチネンタル野球場)

  • 台湾
  • キューバ
  • イタリア
  • オランダ
  • 未定(2022年WBC予選の勝者)

プールB(3月9日~13日)

開催地:東京(東京ドーム)

  • 日本
  • 韓国
  • 中国
  • オーストラリア
  • 未定(2022年WBC予選の勝者)

プールC (3月 11 日~15 日)

開催地:フェニックス(チェイス・フィールド)

  • アメリカ
  • カナダ
  • メキシコ
  • コロンビア
  • 未定(2022年WBC予選の勝者)

プール D (3月 11 日~15 日)

開催地:マイアミ(ローンデポ・パーク)

  • プエルトリコ
  • ベネズエラ
  • イスラエル
  • ドミニカ共和国
  • 未定(2022年WBC予選の勝者)

準々決勝ラウンドは東京(3月15-16日)とマイアミ(3月17-18日)で行われ、準決勝(3月19日)と決勝戦(3月21日)はマイアミで行われる。

「母国を代表するということは2017年大会で僕が経験した素晴らしいことのひとつだ。そして、ドミニカ共和国、プエルトリコ、それに野球に熱心なほかの国と対戦することは、特別なことだ」と決勝戦で5打数2安打だったアレナドは言った。

それでは友情と競争と、そのどちらがより優れていたのだろうか。

「どちらも同じくらい大切だと思うよ。世界中からやってくる最高の選手たちと対戦する。彼らから学ぶことができる。打撃練習でも、守備練習でも、一緒に旅行することでもね。彼らと知り合うことができて、本当に良かった。もちろん、世界最高峰の選手たちと大きな舞台で競い合うことは、とても楽しかった」とゴールドシュミットと述べている。

原文:2023 World Baseball Classic: Stacked United States roster eager for opportunity
翻訳:角谷剛
編集:スポーティングニュース日本版編集部

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