2022年スポーティングニュースMLB個人賞:アーロン・ジャッジがMVP受賞、スペンサー・ストライダーとフリオ・ロドリゲスが新人王

2022-10-30
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(Shawn James/TSN illustration)

1886年創刊の本誌スポーティングニュースによる米球界でも権威ある賞のひとつとして認知されている「MLB個人賞」が発表された。例年通り選手・関係者への調査を集計した今年の同アワードでは、ニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジがMVPを獲得。そのほか新人王、カムバック賞、最優秀監督賞、最優秀経営者賞の各受賞者について、ジェイソン・フォスター(Jason Foster)記者が伝える。


2022年のMLBシーズンでは多くの歴史的な瞬間や記録が生まれた。それらはリーグを盛り上げただけではなく、今年のスポーティングニュースMLB個人賞にも反映されることになった。

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9月から10月上旬にかけて、毎年恒例となっている選手、監督、そして球団経営者たちへのアンケートが実施された。その年の最優秀選手賞(MVP)、新人王、最優秀監督賞、カムバック賞、そして最優秀経営者賞を選出するためだ。

スポーティングニュースMLB個人賞は1936年から続いている。2022年の受賞者は以下の通りだ。

MLB年間最優秀選手賞:アーロン・ジャッジ、ニューヨーク・ヤンキース

(Shawn James/TSN illustration)

アーロン・ジャッジは2022年シーズンにおいてどのチームも欲しがる圧倒的な打者だった。アメリカン・リーグのシーズン最多本塁打記録を更新しただけではなく、どの打撃分野においてもMVP級の成績を残したのだ。得点、打点、四死球、出塁率、長打率、OPS、OPS+、そして合計塁数でリーグトップである。3冠王にあと一歩の位置まで近づいたことも忘れてはならない。

最終的にジャッジのbWARは10.6にまで積み上がり、圧倒的多数でスポーティングニュースMLB年間最優秀選手賞に選出された。

360人の選手間投票のうち、ジャッジは66%の票を集めた。2位の大谷翔平は18%だった。

7人の選手がこの分野で最低1票以上を得たが、どう見ても2022年はアーロン・ジャッジのシーズンだった。

ナショナル・リーグ新人王:スペンサー・ストライダー、アトランタ・ブレーブス

(Shawn James/TSN illustration)

2022年に生まれた歴史的な記録や快挙のなかで、最も衝撃的なものはスペンサー・ストライダーが史上最速でシーズン200奪三振に到達したことだったかもしれない。

この大記録が新人によって達成されたことには驚くしかない。実際のところ、ストライダーが今シーズンに成し遂げたすべてが衝撃的だった。選手間投票で2022年ナショナル・リーグ新人王に選出されたことは当然である。

ストライダーは100マイル(160キロ)越えの速球と鋭い変化球を駆使して、ブレーブスの先発ローテーションの重要な位置を占め、11勝6敗の記録を残した。防御率2.67と奪三振202個はどちらも新人先発投手のなかでトップである。

212人の選手間投票のうち、ストライダーは47%の票を集めて、ナショナル・リーグ新人王に選出された。次点はチームメイトのマイケル・ハリス2世で、41%の得票だった。ブレーブスの未来はとても明るい。

ナショナル・リーグ年間カムバック賞: ブランドン・ドルーリー、シンシナティ・レッズ / サンディエゴ・パドレス

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ブランドン・ドルーリーは昨年、1昨年と2年連続で失意のシーズンを送った。トロント・ブルージェイズとニューヨーク・メッツに所属したが、合計で72試合にしかメジャーリーグで出場できなかったのだ。2022年をシンシナティ・レッズで迎えると、ドルーリーは心機一転した姿を見せ始めた。

レッズに所属した92試合で、ドルーリーは20本の本塁打を打ち、OPSは.855の成績を残した。トレードでサンディエゴ・パドレスに移籍した後も好調は続いた。パドレスでは8本の本塁打を打ち、チームのプレーオフ進出に貢献した。選手間投票でナショナル・リーグ年間カムバック賞に圧倒的多数で選出されるに相応しいパフォーマンスだった。

206人の選手間投票のうち、ドルーリーは49%の得票率だった。ほかにはブレーブスのロナルド・アクーニャ・ジュニア、パドレスのマイク・クレベンジャー、そしてセントルイス・カージナルスのアルバート・プホルスに得票があった。

彼らは皆が記憶されるべき復活劇を遂げたが、ドルーリーのそれは群を抜いていた。

ナショナル・リーグ年間最優秀監督賞:バック・ショーウォルター、ニューヨーク・メッツ

(Shawn James/TSN illustration)

2022年にニューヨーク・メッツは生まれ変わった。新たな顔ぶれ、新たな雰囲気、そして新たな活力がシーズン101勝、そして2016年以来初めてのプレーオフ進出へと繋がった。

フラッシング(メッツの本拠地所在地区)の奇跡は新監督バック・ショーウォルターの手腕によるところが大きい。

この球団は長年に渡って混乱とドラマが絶えなかった。ショーウォルターはそれらを落ち着かせ、チームにシーズンを通して高いレベルのプレイを継続させてみせた。そのことはナショナル・リーグのほかの監督たちの目にも明らかであり、スポーティングニュースのナショナル・リーグ年間最優秀監督賞に選出された。

この分野は6人のナショナル・リーグ監督が接戦で争った。ショーウォルターに僅差で次点となったのはフィラデルフィア・フィリーズのロブ・トムソン監督だった。ショーウォルターにとって、これが4回目のスポーティングニュース年間最優秀監督賞である。以前はニューヨーク・ヤンキース、テキサス・レンジャーズ、そしてボルティモア・オリオールズ時代に受賞したものだ。この賞に4回以上選出された監督はジム・レイランドとボビー・コックスしかいない。

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アメリカン・リーグ新人王:フリオ・ロドリゲス、シアトル・マリナーズ

(Getty Images)

2022年のアメリカン・リーグには傑出した新人選手が何人か出現したが、フリオ・ロドリゲスはそのなかでも群を抜いた存在だった。

21歳のロドリゲスは今シーズン素晴らしい成績を残し、マリナーズに21年振りとなるプレーオフ進出の原動力となった。28本の本塁打を打ち、チーム1の打率、出塁率、得点、OPS、OPS+、合計塁数、そして盗塁である。強打率はリーグでも95パーセンタイルに入り、エリートクラスのスピードと強肩を誇っている。

133人の選手間投票のうち、ロドリゲスは80%もの票を獲得し、文句なしでアメリカン・リーグ新人王に選出された。

2022年シーズンはまだ始まりに過ぎない。ロドリゲスはこれから長い間アメリカン・リーグを牽引する存在になるだろう。

アメリカン・リーグ年間カムバック賞:ジャスティン・バーランダー、ヒューストン・アストロズ

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復活と言う言葉はよく用いられる。そのなかでも特筆大書されるべき復活劇もある。2022年のジャスティン・バーランダーはまさに後者だ。

バーランダーはトミージョン手術の後で、2020年は1回の先発登板のみ、2021年はシーズンを全休した。そして2022年にはふたたびサイヤング賞級の活躍を見せたのだ。18勝4敗と防御率1.75はともにリーグトップの成績である。39歳のバーランダーはまったく衰えを見せていない。またしてもオールスター級の成績を残し、スポーティングニュースのアメリカン・リーグ年間カムバック賞に選出されることに誰も疑問を挟まなかった。

116人の選手間投票のうち、バーランダーの得票率は78%だった。文句なしの選出である。

今シーズンの大活躍からすれば、バーランダーが2023年の選手側オプションを拒否し、もう一度フリーエージェント市場で自らの価値を問うことはほぼ間違いないだろう。バーランダーが2022年の活躍を2023年も再現できるとチームが信じるとすれば、その契約金額は天井知らずとなるに違いない。

アメリカン・リーグ年間最優秀監督賞:ブランドン・ハイド、ボルティモア・オリオールズ

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今シーズンのオリオールズは奇跡のような躍進を遂げた。直近3回のフルシーズンで平均111敗だったチームが5月半ばにはトップ争いに浮上し、トレードで多くの戦力を失ったにもかかわらず、その勢いを最後まで持続したのだ。

若い有望な選手たちを中心にして、オリオールズは2016年以来初めてシーズンを勝ち越した。

その舵を握っていたのがブランドン・ハイド監督だ。若いチームを率いて、誰もが予想できなかったプレーオフ争いにまでチームを導いた。

ハイドの手腕はほかの監督からも称賛され、2022年スポーティングニュースのアメリカン・リーグ年間最優秀監督賞に選出された。ハイドの得票率は50%だった。ヒューストン・アストロズのダスティ・ベイカー監督とクリーブランド・ガーディアンズのテリー・フランコーナ監督がハイドに続いた。

この賞を受賞したのはオリオールズの監督としては7人目である。2012年のショーウォルター以来初めてでもあった。

MLB年間最優秀経営者賞:クリス・アントネッティ、クリーブランド・ガーディアンズ

(Shawn James/TSN illustration)

MLB球団経営の困難さは経営者たち自身にしか分からないことなのかもしれない。従って、スポーティングニュースの年間最優秀経営者投票で何度も名前があがるということは、その人物は彼らにしか理解できないような仕事をしているのだと考えてよい。

だからこそ、クリス・アントネッティには脱帽するしかない。

ガーディアンズの野球運営部門社長を務めるアントネッティはこの5年間で2回目の受賞を果たした。29人の経営者たちが投票したなかで、アントネッティはほかの誰よりも2倍近くの票を集めた。

アントネッティはMLBで最も若く、そして戦力に劣るチームを運営し、シーズン92勝とアメリカン・リーグ中地区優勝を成し遂げた。その手腕とスタッフの優秀さが得票の理由だ。

アントネッティのもう一つの功績はホセ・ラミレスと7年総額1億4100万ドル(約208億円)の契約延長を成立させたことだ。ラミレスはオールスター級の強打でそれに応えた。29本の本塁打を打ち、126打点を挙げ、6 bWARを積み上げたのだ。

ガーディアンズがこれからも勢いを失わずに周囲の予想を裏切り続ければ、アントネッティはこの賞をこれから何回も受賞することになるだろう。

原文:2022 Sporting News MLB awards: Aaron Judge voted top player; Spencer Strider, Julio Rodriguez take rookie honors 
翻訳:角谷剛
編集:スポーティングニュース日本版編集部

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