2022年MLB個人各賞の受賞者及び最終候補者完全リスト:MVP、新人王、サイヤング、監督賞

2022-11-20
読了時間 約14分
Getty Images

MLB個人賞は、2022年の今年も議論と話題を呼ぶ候補たちによって争われた。日本では大谷翔平、アーロン・ジャッジのアメリカン・リーグMVP争いに注目が集中したが、ナショナル・リーグMVPのポール・ゴールドシュミット同様順当に受賞した。サイヤング賞も下馬評通りとなったが、それ以外はなかなかの混戦だった。

今季MLBアワードの栄えある受賞者をリストアップ。本誌エドワード・ステラン(Edward Sutelan)記者が伝える。

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MVPとサイヤング賞は圧倒的結果、新人王と監督賞は大混戦に

2022年のMLBシーズンが終了した。ワールドシリーズ王者にはヒューストン・アストロズが戴冠した。唯一残っていた個人各賞の受賞者も決定した。

とりわけ、今年の選考結果は何人かの選手にある意味でのプラスアルファをもたらすかもしれない。アメリカン・リーグMVP受賞者のアーロン・ジャッジとサイヤング受賞者のジャスティン・バーランダーはどちらもフリーエージェントになる。受賞が両スター選手の評価を大きく変えることはないだろうが、それでも契約交渉において有利な材料になることは間違いない。

今年の選考は大方の予想通りに決まったものが多い。ジャッジとバーランダーは事前に圧倒的なオッズで受賞を予想されていたし、ナショナル・リーグのサイヤング受賞者サンディ・アルカンタラと同MVPポール・ゴールドシュミットも同様である。

しかし、予想が難しかったレースがなかったわけではない。例えば新人王は両リーグとも接戦が伝えられていた。ナショナル・リーグではアトランタ・ブレーブスのチームメイト同士であるスペンサー・ストライダーとマイケル・ハリス2世が、アメリカン・リーグではどちらもかつてのトップ有望株選手であるフリオ・ロドリゲスとアドリー・ラッチマンの名前があげられていた。監督賞は例年通り混沌としていた。

関連記事:2022年スポーティングニュースMLB個人賞:アーロン・ジャッジがMVP受賞、スペンサー・ストライダーとフリオ・ロドリゲスが新人王

全米野球記者協会の選考結果発表は以下の日程で行われた。

  • 新人王:11月14日(日本時間15日)
  • 監督賞:11月15日(同16日)
  • サイヤング賞:11月16日(同17日)
  • MVP:11月17日(同18日)

各賞の受賞者及び最終候補者は以下の通りである。

ナショナル・リーグMVP

<受賞者>
ポール・ゴールドシュミット(セントルイス・カージナルス)

投票結果

 

ポール・ゴールドシュミット

マニー・マチャド

ノーラン・アレナド

1位

22

7

1

2位

8

13

2

3位

0

7

15

合計得票

380

291

232

最終候補者

ノーラン・アレナド(セントルイス・カージナルス)
カージナルスから2人のMVP候補者が出た。そのひとりであるアレナドはカージナルスに移籍後2年連続で素晴らしいシーズンを送った。打撃成績は打率.293、出塁率.358、長打率.533、本塁打30本、四球率8.4%、そして三振率11.6%である。さらに10年連続でゴールド・グラブ賞に選ばれたように、球界最高の3塁手として守備面での貢献はさらに大きかった。fWARの数値は7.3であり、これはメジャーリーグ全体でも3位だ。

ポール・ゴールドシュミット(セントルイス・カージナルス)
カージナルスの内野でアレナドの対角線上を守ったのがゴールドシュミットだ。この34歳になった1塁手は6年連続でシーズン30本塁打を達成した(短縮された2020年シーズンを除く)。長打力だけではない。打撃成績は打率.317、出塁率.404、長打率.578という素晴らしいものであったし、177 wRC+はナショナル・リーグ1位だった。打率(.317、3位)、本塁打(35本、5位タイ)、打点(115、2位)と、ナショナル・リーグの打撃3分野すべてでトップ5に入った唯一の選手でもある。

マニー・マチャド(サンディエゴ・パドレス)
カージナルスのMVP候補コンビを追いかけたのはマチャドだ。マチャドは直近3年でMVP最終候補トップ3に入るのがこれで2回目だ。2022年のマチャドはfWARの数値が7.4であり、それより高いのはアーロン・ジャッジしかいない。アレナドと同じように、マチャドは守備力に優れ(95パーセンタイル)、そしてプレーオフに進出したチームで最も恐れられた強打を兼ね備えていた。打撃成績は打率.298、出塁率.366、長打率.531、本塁打32本である。OPSは.898で、これより高い数値を出した打者はナショナル・リーグではポール・ゴールドシュミットとフレディ・フリーマンしかいない。

(Getty Images)

アメリカン・リーグMVP

<受賞者>
アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)

投票結果

 

アーロン・ジャッジ

大谷翔平

ヨルダン・アルバレス

1位

28

0

0

2位

2

28

0

3位

0

0

22

合計得票

410

280

232

最終候補者

ヨルダン・アルバレス(ヒューストン・アストロズ)
アルバレスはマイナーリーグの階段を一歩ずつ着実に上っていき、ますますオールラウンドな打者へと成長した。2022年、アストロズはその天井がどれだけ高くなっているかを見極めようとした。この25歳になる左打ちの強打者は37本の本塁打を打ち、打率.306、出塁率.406、長打率.613、そしてOPSはアーロン・ジャッジに次いでメジャーリーグ2位の1.019だった。185 wRC+も同じくメジャーリーグ2位だ。そして多くの打者が三振か長打かというスタイルをとる時代において、アルバレスの三振率はわずかに18.9%である。その一方で四球率は13.9%だ。30本以上の本塁打を打ち、10%以上の四球率と20%未満の三振率を記録した選手はアルバレスのほかはアンソニー・リゾのみである。

アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)
ジャッジはアメリカン・リーグMVPを圧倒的な得票で獲得した。2022年はまさに歴史的なシーズンだった。MLB史上6人目となるシーズン60本塁打に到達し、最終的に62本まで伸ばした。しかしジャッジは単なる本塁打打者ではなかった。出塁率(.425)、長打率(.686)、OPS(1.111)、wRC+(207)はメジャーリーグ全体1位であり、打率(.311)はアメリカン・リーグ2位だった。守備力でも優れ(82パーセンタイル)、盗塁を16個記録し、選球眼にも長けていた(四球率15.9%、三振率25.1%)。fWARの数値はメジャーリーグ史上17位タイである。

大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)
大谷はこれからも毎年のようにアメリカン・リーグMVPレースの有力候補になるだろう。MVPに輝いた2021年は打率.273、出塁率.356、長打率.519、本塁打34本、盗塁11個の成績をあげ、打者としてのfWARは3.8 だった。しかし今シーズンは投手としての活躍がより目立った。キャリア最多となる166イニングを投げ、防御率2.33、FIP2.68、与四死球率はわずかに6.7%でありながら、奪三振率はアメリカン・リーグ1位の33.2%だった。対打者打率は.202 に過ぎない。我々は大谷が二刀流選手として傑出したシーズン成績を挙げることに慣れてしまってはいけない。大谷はまさに超越的な存在なのだ。

ナショナル・リーグ サイヤング賞

<受賞者>

サンディ・アルカンタラ(マイアミ・マーリンズ)

投票結果

 

サンディ・アルカンタラ

マックス・フリード

フリオ・ウリアス

1位

30

0

0

2位

0

10

7

3位

0

7

9

合計得票

210

72

66

スポーティングニュースのライアン・フェイガン記者による投票

  • 1位:サンディ・アルカンタラ
  • 2位:カルロス・ロンドン
  • 3位:ザック・ガレン
  • 4位:マックス・フリード
  • 5位:アーロン・ノラ

※フェイガン記者は全米野球記者協会のフィラデルフィア地域代表

最終候補者

サンディ・アルカンタラ(マイアミ・マーリンズ) 
アルカンタラは2019年に初めてメジャーリーグでのフルシーズンを過ごした。2021年の成績はナショナル・リーグ屈指の投手へと成長していくことを誰の目にも明らかにするものだった。そして2022年のアルカンタラは期待通りの活躍を見せた。防御率2.28はナショナル・リーグ2位であり、投球回数の228回2/3は次点に23回2/3をつける圧倒的な1位だった。そしてMLB最多の6試合完投を達成した。この26歳の投手は対戦打者を翻弄する。奪三振率は23.4%でありながら、与四死球率は5.6%でしかない。たとえバットに当てられた場合でも、打球がゴロになる確率は53.4%で、これは規定投球回数以上を投げた全先発投手のなかで4位にあたる。

マックス・フリード(アトランタ・ブレーブス) 
フリードは2021年のポストシーズンで大活躍し、チームのワールドシリーズ制覇に貢献した。その翌年にあたる今シーズンは自己最高のレギュラーシーズンを送った。この28歳のサウスポーは185回1/3を投げて、防御率2.48、奪三振率は23.2%、与四死球率は4.4という好成績を挙げた。フリードはまた、被本塁打が少ないことでも知られている。フライボールが本塁打になる確率は7.8%で、これは規定投球回数以上を投げた全投手のなかで7番目に低い。平均打球速度、強打率、バレル率、そしてボール球をスイングさせる率といった指標でも90パーセンタイルに入る。打者にとってはバットの芯に当てることが困難な投手である。

フリオ・ウリアス(ロサンゼルス・ドジャース)
ドジャースの左投手でサイヤング賞最終候補。クレイトン・カーショウのことではない。26歳のウリアスは初めてサイヤング賞最終候補者トップ3に入り、次世代のエースとして名乗りを挙げた。防御率はナショナル・リーグでトップとなる2.16、対戦打者打率は同3位の.199、WHIPも同3位の0.96と、まさに圧倒的だった。奪三振率24.1%、与四死球率6%も抜群の成績だ。

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アメリカン・リーグ サイヤング賞

<受賞者>
ジャスティン・バーランダー(ヒューストン・アストロズ)

投票結果

 

ジャスティン・バーランダー

ディラン・シース

アレク・マノア

1位

30

0

0

2位

0

14

7

3位

0

10

13

合計得票

210

97

87

最終候補者

ディラン・シース(シカゴ・ホワイトソックス) 
シースはかつて有望株選手のトップと目されていた。2019年と2020年の成績は期待外れに終わったが、2021年にはその潜在能力を徐々に開花させていった。そして2022年はさらなる飛躍を遂げた。すべての分野でキャリア最高の成績を残したのだ。184回を投げて、防御率はアメリカン・リーグ2位の2.20 だった。空振りを奪うことに長けた投手であり、奪三振率は30.4%(アメリカン・リーグ3位)だが、その一方で与四死球率は10.4% (アメリカン・リーグ最悪)でもある。しかし対戦打者打率は同リーグ2位の.190だ。

アレク・マノア(トロント・ブルージェイズ)
ブルージェイズは打のチームと思われがちだ。ウラジミール・ゲレロ・ジュニア、ボー・ビシェット、テオスカー・ヘルナンデスを擁する強力無比の打線が売り物である。しかし、このチームのプレーオフ進出にはマノアが果たした貢献度が大きかった。この24歳の若きエースはアメリカン・リーグ3位の防御率2.24の成績を残した。投球回数196回2/3は同サイヤング賞最終候補者3人のなかで最も多い。マノアは打者の芯を外すことが上手い。強打率は92パーセンタイル、バレル率は80パーセンタイルである。奪三振率は22.9%、与四死球率はわずかに6.5%だ。

ジャスティン・バーランダー(ヒューストン・アストロズ)
誰もがバーランダーのキャリアは終盤を迎えていると考えていた。トミージョン手術のため、2020年シーズンの大部分と2021年シーズンを全休し、年齢は39歳を迎えていたからだ。しかし、今年のバーランダーはキャリアでも最高のひとつに数えられる成績を残した。防御率(1.75)、WHIP(0.83)、対打者打率(ザック・ガレンと並ぶ.186)はいずれもメジャーリーグ全体で1位だった。奪三振率は27.8%を数え、与四死球率はメジャーリーグ4位タイの4.4%だった。39歳以上でのサイヤング賞選出はロジャー・クレメンス、ゲイロード・ペリー、アーリー・ウィン、ランディ・ジョンソンに並ぶ記録だ。

ナショナル・リーグ 新人王

<受賞者>
マイケル・ハリス2世(アトランタ・ブレーブス)

投票結果

 

マイケル・ハリス2世

スペンサー・ストライダー

ブレンダン。ドノバン

ジェイク・マッカーシー

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アレクシス・ディアス

1位

22

8

0

0

0

2位

8

21

0

0

1

3位

0

0

22

4

0

合計得票

134

103

22

4

3

最終候補者

ブレンダン・ドノバン(セントルイス・カージナルス)
ドノバンの打撃成績を一見すると、なぜこの選手が新人王候補のトップ3に入るのかと首を傾げる人もいるだろう。打率.281、出塁率.394、長打率.379、本塁打5本、盗塁2個である。しかし、ドノバンの真価はその多才さにある。中堅と捕手以外のすべてのポジションで最低7試合以上出場し、2塁、3塁、外野手としてそれぞれ30試合以上に出場したのだ。打席でも単なるユーティリティー選手以上の能力を発揮し、相手投手を悩ませた。四球率は12.8%で、三振率は15%である。

マイケル・ハリス2世(アトランタ・ブレーブス)
ブレーブスは新人王最終候補者を2人出している。そのうちのひとりであるハリスは2022年シーズンで爆発的な攻撃力でチームに貢献した。19本の本塁打を打ち、20個の盗塁を成功させた。メジャーリーグ全体でも本塁打と盗塁の両方で2桁の数字をあげた新人選手はハリスを含めて7人しかいない。ともに20以上となるとフリオ・ロドリゲスとボビー・ウィット・ジュニアしかいない。ハリスは本塁打があと1本だけ足りなかった。打率.297、出塁率.339、長打率.514の打撃成績は素晴らしいが、それだけではない。21歳のハリスは中堅を守り、ゴールドグラブ級の守備力も兼ね備えているのだ。全外野手の中でアウト率は92パーセンタイル、ジャンプ力は95パーセンタイル、そして送球力では95パーセンタイルに入っている。

スペンサー・ストライダー(アトランタ・ブレーブス)
2022年の新人は打者が目立った。ストライダーは新人王最終候補6人のなかで唯一の投手だ。この24歳の剛腕投手は抜群の成績を挙げた。規定投球をクリアした新人投手のなかでは、防御率2.67、 fWAR 4.9、奪三振率38.3%、対戦打者打率.180はすべて1位だ。ストライダーのfWARを上回った新人選手はアメリカン・リーグに2人しかいない。奪三振は99パーセンタイルに入る。空振り奪取率は95パーセンタイル、球速は97パーセンタイルである。

(Getty Images)

アメリカン・リーグ 新人王

<受賞者>
フリオ・ロドリゲス(シアトル・マリナーズ)

投票結果

 

フリオ・ロドリゲス

アドリー・ラッチマン

スティーブン・クワン

ボビー・ウィット

ジェレミー・ペーニャ

1位

29

1

0

0

0

2位

1

18

10

1

0

3位

0

9

14

4

2

合計得票

148

68

44

7

2

最終候補者

スティーブン・クワン(クリーブランド・ガーディアンズ)
球界全体で三振数が増大している昨今、クワンは稀有な存在だ。三振率はわずか9.4%で、四球率は9.7%なのだ。規定打席数をクリアした全打者のなかでクワンより三振率が低い選手はアメリカン・リーグ首位打者のルイス・アラエス(7.1%)しかいない。合計で2,643球に対し、クワンが空振りしたのは91球だけである。この低い三振率に加えて、打率.298、出塁率.373、長打率.400、本塁打6本、盗塁19個の打撃成績を残し、そして左翼手としてゴールド・グラブ賞も受賞した。

フリオ・ロドリゲス(シアトル・マリナーズ)
どこかで聞いたことがある話ではないだろうか。マリナーズの新人外野手が大活躍をして、チームが長い間で最高のシーズン成績を残すことに貢献し、そして今後チームの顔になることを予感させている。ロドリゲスは新人選手として衝撃的なシーズンを送った。その成績は打率.284、出塁率.345、長打率.509、本塁打28本、盗塁25個、四球率7.1%、三振率25.9%である。この21歳の外野手は安定した強打を発揮した。打球速度は92パーセンタイル、強打率は95パーセンタイルに入る。スピードでは97パーセンタイルに入り、それが中堅手として93パーセンタイルに入る守備力を支えている。

アドリー・ラッチマン(ボルチモア・オリオールズ)
有望株選手ランキングでトップに選ばれ、それに相応しい活躍をするのは容易なことではない。しかし、ラッチマンはそれを見事にやってのけた。メジャー昇格は5月中旬まで待たなくてはいけなかったが、その後ですぐに頭角を現した。113試合に出場し、野球と言うゲームで最も負担が大きいポジションを守りながらも、打率.254、出塁率.362、長打率.445、本塁打13本、盗塁4個の打撃成績を残した。fWAR 5.3 はすべての捕手のなかで2位にランクされる。しかし、オレゴン州立大学時代から多くのスカウトの注目を集めていたのはラッチマンの守備力である。送球タイムでは79パーセンタイル、フレーミングでは84パーセンタイルに入る。守備防御点は18と評価され、この数字を上回った捕手はアメリカン・リーグでプラチナ・グローブに選ばれたホセ・トレビーノしかいない。

ナショナル・リーグ 監督賞

<受賞者>
バック・ショーウォルター(ニューヨーク・メッツ)

投票結果

 

バック・ショーウォルター

デーブ・ロバーツ

ブライアン・スニッカー

1位

8

8

7

2位

10

4

5

3位

7

5

5

合計得票

77

57

55

最終候補者

デーブ・ロバーツ(ロサンゼルス・ドジャース)
ロバーツは監督賞レースの常連だ。2016年のナショナル・リーグ同賞に選出されて以来、監督在任7年のうち、実に6回もトップ5に入っている。ドジャースをレギュラーシーズン111勝51敗と圧倒的な戦績へと導いたことで、今年もロバーツの名前がここであげられるのは不思議なことではない。ドジャースは打者も投手もナショナル・リーグ1位のfWARを積み上げた。投手陣には故障者が相次ぎ、ロバーツは12人の異なる投手を先発させることでそれを凌いだ。救援陣も絶対的クローザーだったケンリー・ジャンセンがチームを去ったことで、苦しいやり繰りを余儀なくされた。

バック・ショーウォルター(ニューヨーク・メッツ)
メッツが必要としていたのはベテラン監督のリーダーシップだったのかもしれない。2021年シーズンで屈辱の負け越しを喫したメッツをショーウォルターは監督就任1年目で見事に立ち直らせた。1988年以来最高のレギュラーシーズン戦績(101勝61敗)を挙げ、2016年以来初めてとなるポストシーズン進出を果たしたのだ。ショーウォルターは絶対的クローザーのエドウィン・ディアズのほかは不安定だった救援陣をやり繰りし、2021年は不調だった打線からは首位打者(ジェフ・マクニール)と40本塁打(ピート・アロンソ)を誕生させた。

ブライアン・スニッカー(アトランタ・ブレーブス)
スニッカーもまた救援陣に対する指揮力において定評がある監督だ。2021年にワールドシリーズを制覇したブレーブスの救援陣は2022年もメジャーリーグ最高のfWARを積み上げた。投手陣全体でも3位だ。ロナルド・アクーニャ・ジュニアが不調にあえぎ、オジー・アルビーズが故障に苦しみ、そしてクラブハウスのリーダーだったフレディー・フリーマンがチームを去ったにもかかわらず、101勝61敗の成績でナショナル・リーグ東地区を制した。新人のハリス、ストライダー、ウィリアム・コントレラス、そしてボーン・グリソムらが大きな役割を果たした。

 

アメリカン・リーグ 監督賞

<受賞者>
テリー・フランコーナ(クリーブランド・ガーディアンズ)

投票結果

 

テリー・フランコーナ

ブランドン・ハイド

スコット・サーバイス

1位

17

9

0

2位

9

9

0

3位

1

8

14

合計得票

112

79

43

最終候補者

テリー・フランコーナ(クリーブランド・ガーディアンズ)
フランコーナがアメリカン・リーグ監督賞に選ばれたことには多くの理由がある。まずは最も明らかなことは、弱小チームと見られていたガーディアンズをアメリカン・リーグ中地区優勝に導いたためだ。しかも優勝候補だったシカゴ・ホワイトソックスに11ゲーム差をつけてのことだ。しかし、それだけではない。ガーディアンズはMLB史上初めて、16人以上の新人選手を先発出場させ、しかも地区優勝を成し遂げたのだ。

ブランドン・ハイド(ボルチモア・オリオールズ)
オリオールズが強豪ひしめくアメリカン・リーグ東地区で83勝79敗の成績を残してプレーオフに進出することをシーズン前に予想した人はいるだろうか。ハイド監督の指揮下でオリオールズは野球界に衝撃を与えた。2021年シーズンは110敗を喫したチームが、突如として2022年シーズンを勝ち越したのだ。オリオールズの救援陣はメジャーリーグで10位のfWARを積み上げた。ラッチマン、ライアン・マウントキャッスル、ガンナー・ヘンダーソン、オースティン・ヘイズといった若い選手たちが今後チームの主役に成長していくだろう。

スコット・サーバイス(シアトル・マリナーズ)
マリナーズは2001年以来初めてとなるプレーオフ進出を果たし、メジャーリーグの歴史で最も長い冬の時代を終わらせた。サーバイス監督の功績は大きい。センセーションを巻き起こした新人王のロドリゲスに注目が集まるが、25歳のローガン・ギルバート、24歳のョージ・カービーら若い投手陣もチームに大きく貢献した。サーバイスの指揮下、マリナーズの未来は明るい。

原文:MLB awards 2022: Full list of finalists, winners for MVP, Rookie of the Year, Cy Young and more
翻訳:角谷剛
編集:スポーティングニュース日本版編集部

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