ここでは、中央競馬の牝馬三冠レースの第二弾、優駿牝馬(G1)(オークス)を制した歴代優勝馬・騎手及び2~3着のレース結果を一覧にまとめる。
数々の名勝負が繰り広げられ、現在も多くのファンの注目を集める中央競馬のG1レース。競馬は「血のスポーツ」とも呼ばれ、過去の名馬の血を受け継ぎ活躍している現代の強豪馬たちも多い。レースの過去の優勝馬や好走馬、好成績を収めているジョッキーなどの記録・傾向は、予想にも活かせる要チェックのデータだ。
オークスレース結果・歴代優勝馬・騎手一覧
※2010年の開催はアパパネとサンテミリオンの同着優勝であったため、馬番の若いアパパネ(8枠17番)を「優勝馬」の欄に、サンテミリオン(8枠18番)を「2着」の欄に記載する。
開催 | 年度 | 優勝馬(騎手) | 2着(騎手) | 3着(騎手) |
第84回 | 2024年 | チェルヴィニア(C.ルメール) | ステレンボッシュ(戸崎圭太) | ライトバック(坂井瑠星) |
第84回 | 2023年 | リバティアイランド(川田将雅) | ハーパー(C.ルメール) | ドゥーラ(斎藤新) |
第83回 | 2022年 | スターズオンアース(川田将雅) | スタニングローズ(D.レーン) | ナミュール(横山武史) |
第82回 | 2021年 | ユーバーレーベン(M.デムーロ) | アカイトリノムスメ(C.ルメール) | ハギノピリナ(藤懸貴志) |
第81回 | 2020年 | デアリングタクト(松山弘平) | レシステンシア(武豊) | スマイルカナ(柴田大知) |
第80回 | 2019年 | ラヴズオンリーユー(M.デムーロ) | カレンブーケドール(津村明秀) | クロノジェネシス(北村友一) |
第79回 | 2018年 | アーモンドアイ(C.ルメール) | リリーノーブル(川田将雅) | ラッキーライラック(石橋脩) |
第78回 | 2017年 | ソウルスターリング(C.ルメール) | モズカッチャン(和田竜二) | アドマイヤミヤビ(M.デムーロ) |
第77回 | 2016年 | シンハライト(池添謙一) | チェッキーノ(戸崎圭太) | ビッシュ(M.デムーロ) |
第76回 | 2015年 | ミッキークイーン(浜中俊) | ルージュバック(戸崎圭太) | クルミナル(池添謙一) |
第75回 | 2014年 | ヌーヴォレコルト(岩田康誠) | ハープスター(川田将雅) | バウンスシャッセ(北村宏司) |
第74回 | 2013年 | メイショウマンボ(武幸四郎) | エバーブロッサム(戸崎圭太) | デニムアンドルビー(内田博幸) |
第73回 | 2012年 | ジェンティルドンナ(川田将雅) | ヴィルシーナ(内田博幸) | アイスフォーリス(松岡正海) |
第72回 | 2011年 | エリンコート(後藤浩輝) | ピュアブリーゼ(柴田善臣) | ホエールキャプチャ(池添謙一) |
第71回 | 2010年 | アパパネ(蛯名正義) | ※ サンテミリオン(横山典弘) | アグネスワルツ(柴田善臣) |
第70回 | 2009年 | ブエナビスタ(安藤勝己) | レッドディザイア(四位洋文) | ジェルミナル(福永祐一) |
第69回 | 2008年 | トールポピー(池添謙一) | エフティマイア(蛯名正義) | レジネッタ(小牧太) |
第68回 | 2007年 | ローブデコルテ(福永祐一) | ベッラレイア(秋山真一郎) | ラブカーナ(菊沢隆徳) |
第67回 | 2006年 | カワカミプリンセス(本田優) | フサイチパンドラ(福永祐一) | アサヒライジング(柴田善臣) |
第66回 | 2005年 | シーザリオ(福永祐一) | エアメサイア(武豊) | ディアデラノビア(K.デザーモ) |
第65回 | 2004年 | ダイワエルシエーロ(福永祐一) | スイープトウショウ(池添謙一) | ヤマニンアラバスタ(江田照男) |
第64回 | 2003年 | スティルインラブ(幸英明) | チューニー(後藤浩輝) | シンコールビー(佐藤哲三) |
第63回 | 2002年 | スマイルトゥモロー(吉田豊) | チャペルコンサート(熊沢重文) | ユウキャラット(池添謙一) |
第62回 | 2001年 | レディパステル(K.デザーモ) | ローズバド(横山典弘) | テイエムオーシャン(本田優) |
第61回 | 2000年 | シルクプリマドンナ(藤田伸二) | チアズグレイス(松永幹夫) | オリーブクラウン(高橋亮) |
第60回 | 1999年 | ウメノファイバー(蛯名正義) | トゥザヴィクトリー(武豊) | プリモディーネ(藤田伸二) |
第59回 | 1998年 | エリモエクセル(的場均) | エアデジャヴー(横山典弘) | ファレノプシス(武豊) |
第58回 | 1997年 | メジロドーベル(吉田豊) | ナナヨーウイング(石橋守) | ダイイチシガー(武豊) |
第57回 | 1996年 | エアグルーヴ(武豊) | ファイトガリバー(田原成貴) | リトルオードリー(佐藤哲三) |
第56回 | 1995年 | ダンスパートナー(武豊) | ユウキビバーチェ(松永幹夫) | ワンダーパヒューム(田原成貴) |
第55回 | 1994年 | チョウカイキャロル(小島貞博) | ゴールデンジャック(四位洋文) | アグネスパレード(河内洋) |
第54回 | 1993年 | ベガ(武豊) | ユキノビジン(安田富男) | マックスジョリー(柴田政人) |
第53回 | 1992年 | アドラーブル(村本善之) | サンエイサンキュー(田原成貴) | キョウワホウセキ(武豊) |
第52回 | 1991年 | イソノルーブル(松永幹夫) | シスタートウショウ(角田晃一) | ツインヴォイス(河内洋) |
第51回 | 1990年 | エイシンサニー(岸滋彦) | アグネスフローラ(河内洋) | ケリーバッグ(菅原泰夫) |
第50回 | 1989年 | ライトカラー(田島良保) | シャダイカグラ(武豊) | ヤンゲストシチー(本田優) |
第49回 | 1988年 | コスモドリーム(熊沢重文) | マルシゲアトラス(南井克巳) | アインリーゼン(東信二) |
第48回 | 1987年 | マックスビューティ(田原成貴) | クリロータリー(大塚栄三) | タレンティドガール(蛯沢誠治) |
第47回 | 1986年 | メジロラモーヌ(河内洋) | ユウミロク(音無秀孝) | ダイナアクトレス(柴崎勇) |
第46回 | 1985年 | ノアノハコブネ(音無秀孝) | ナカミアンゼリカ(中島啓之) | ミスタテガミ(嶋田功) |
第45回 | 1984年 | トウカイローマン(岡冨俊一) | ダイアナソロン(田原成貴) | ダドリアバンブー(岩元市三) |
第44回 | 1983年 | ダイナカール(岡部幸雄) | タイアオバ(村本善之) | メジロハイネ(的場均) |
第43回 | 1982年 | シャダイアンバー(加藤和宏) | リーゼングロス(清水英次) | ユーセコクイン(栗田伸一) |
第42回 | 1981年 | テンモン(嶋田功) | ニシノチェニル(河内洋) | ダイナビクトリア(蛯沢誠治) |
第41回 | 1980年 | ケイキロク(岡部幸雄) | リックサンブル(加賀武見) | ミヨウガミネ(河内洋) |
第40回 | 1979年 | アグネスレディー(河内洋) | ナカミサファイア(中島啓之) | ホクセーミドリ(小島太) |
第39回 | 1978年 | ファイブホープ(横山富雄) | サンエムジョオー(田所秀孝) | ヒロノスキー(郷原洋行) |
第38回 | 1977年 | リニアクイン(松田幸春) | アイノクレスピン(嶋田功) | メイワロック(中野栄治) |
第37回 | 1976年 | テイタニヤ(嶋田功) | ニッショウダイヤ(岡部幸雄) | シービークイン(吉永正人) |
第36回 | 1975年 | テスコガビー(菅原泰夫) | ソシアルトウショウ(中島啓之) | トウホーパール(小島太) |
第35回 | 1974年 | トウコウエルザ(嶋田功) | スピードシンザン(岡部幸雄) | メジロフクシマ(宮田仁) |
第34回 | 1973年 | ナスノチグサ(嶋田功) | ニットウチドリ(横山富雄) | レデースポート(小島太) |
第33回 | 1972年 | タケフブキ(嶋田功) | タカイホーマ(大崎昭一) | カンツォーネ(柴田政人) |
第32回 | 1971年 | カネヒムロ(岡部幸雄) | サニーワールド(田島良保) | バンブーキャッチャ(佐藤正雄) |
第31回 | 1970年 | ジュピック(森安重勝) | ケイサンタ(池江泰郎) | プリーズターフ(関口健太郎) |
第30回 | 1969年 | シャダイターキン(森安重勝) | ライトパレー(古山良司) | トウメイ(高橋成忠) |
第29回 | 1968年 | ルピナス(中野渡清一) | スズガーベラ(大和田稔) | マルシゲ(中島啓之) |
第28回 | 1967年 | ヤマピツト(保田隆芳) | ミドリエース(加賀武見) | スイートフラツグ(野平祐二) |
第27回 | 1966年 | ヒロヨシ(古山良司) | メジロボサツ(矢野一博) | メジロマジヨルカ(保田隆芳) |
第26回 | 1965年 | ベロナ(加賀武見) | キクノスズラン(山岡つとむ) | ナスノキク(伊藤竹男) |
第25回 | 1964年 | カネケヤキ(野平祐二) | ヤマニンルビー(八木沢勝美) | ミスホクオー(伊藤竹男) |
第24回 | 1963年 | アイテイオー(伊藤竹男) | パスポート(松永高徳) | ミオソチス(高松三太) |
第23回 | 1962年 | オーハヤブサ(藤本勝彦) | フアラデイバ(高松三太) | チエス(野平幸雄) |
第22回 | 1961年 | チトセホープ(伊藤修司) | ハツカリ(津田昭) | サンセイミドリ(野平好男) |
第21回 | 1960年 | スターロツチ(野平祐二) | クインオンワード(栗田勝) | ハクニシキ(伊藤竹男) |
第20回 | 1959年 | オーカン(清田十一) | ハマユー(古山良司) | トキノプライド(新関力) |
第19回 | 1958年 | ミスマルサ(八木沢勝美) | エドヒメ(蛯名武五郎) | ホウシユウクイン(上田三千夫) |
第18回 | 1957年 | ミスオンワード(栗田勝) | ヒシチヨ(小野定夫) | フレームクイン(大沢真) |
第17回 | 1956年 | フエアマンナ(佐藤嘉秋) | ミスリラ(長浜彦三郎) | トサモアー(境勝太郎) |
第16回 | 1955年 | ヒロイチ(岩下密政) | クモノミネ(梶輿四松) | ダイトオー(古山良司) |
第15回 | 1954年 | ヤマイチ | - | - |
第14回 | 1953年 | ジツホマレ | - | - |
第13回 | 1952年 | スウヰイスー | - | - |
第12回 | 1951年 | キヨフジ | - | - |
第11回 | 1950年 | コマミノル | - | - |
第10回 | 1949年 | キングナイト | - | - |
第9回 | 1948年 | ヤシマヒメ | - | - |
第8回 | 1947年 | トキツカゼ | - | - |
第7回 | 1946年 | ミツマサ | - | - |
第6回 | 1943年 | クリフジ | - | - |
第5回 | 1942年 | ロツクステーツ | - | - |
第4回 | 1941年 | テツバンザイ | - | - |
第3回 | 1940年 | ルーネラ | - | - |
第2回 | 1939年 | ホシホマレ | - | - |
第1回 | 1938年 | アステリモア | - | - |
※第1~15回の2着以下は公式記録を確認できなかったため未記載。
オークスの過去の優勝馬とレースレコード
1,600メートル戦である桜花賞(G1)とは打って変わり、オークスは2,400メートルとクラシックディスタンスのG1レース。スピード能力だけでなく豊富なスタミナも含めた総合力が求められる。桜花賞に出走した後にオークスは目指さず、1,600メートルのNHKマイルカップ(G1)や、更に短いスプリント重賞を次走とする有力馬も少なくない。
桜花賞とオークスの両方を制した馬は過去に17頭。うち7頭が後に最後の一冠も制し三冠牝馬となっている。世代の中でも実力が抜きん出ている馬であれば、本質的にはマイラーであっても2,400メートルのオークスを、もしくは本質的には中距離馬であってもマイルの桜花賞を制覇できると考えられそうか。桜花賞とオークスを制した二冠牝馬ブエナビスタ(2009年)は1,600メートルのマイルG1を桜花賞含め3勝、2,000メートル以上の中長距離G1をオークス含め3勝した歴代トップクラスの名牝。単勝1.4倍の圧倒的1番人気を背負ったオークスでは道中後方2番手辺りを追走し、東京競馬場の長い直線に入ると凄まじい末脚が炸裂。粘り込みを図るレッドディザイアを一完歩ずつ追い詰め、ハナ差かわしたところが決勝線であった。
2010年のオークスは日本のG1で史上初めて2頭の出走馬が同着で優勝したレースであった。降りしきる雨の中の開催となった一戦は勝負のホームストレッチで1番人気の桜花賞馬アパパネ、トライアル勝利から参戦の5番人気サンテミリオンの2頭が馬体を併せるようにして進出。サンテミリオンがやや前に出て粘り強く脚を使うも、アパパネも怒涛の勢いで伸びてくる。一度は外のアパパネがかわしたかと思えば内のサンテミリオンも差し返すように並びかけ、そのまま最後まで両者全く譲らないままゴールイン。12分にもわたる写真判定に場内は異様な雰囲気で包まれたが、曇天にターフビジョンの「同着」の文字が灯ると暫時のどよめきの後、大観衆は歴史的瞬間の目撃に沸いた。
レースレコードはラヴズオンリーユー(2019年)が記録した2:22.8となっている。3代母がヨーロッパの名マイラーMiesque、全兄がG1馬リアルスティールという超良血で、当日は単勝4.0倍の1番人気に支持された。中団やや後方からレースを進め直線で鞍上の合図が入ると、好位から先に抜け出したカレンブーケドールに猛然と詰め寄り最後はクビ差の差し切り勝ち。無傷の4戦4勝での戴冠にレコード更新の名誉を添えた。
オークスの歴史
※文中の競走馬の年齢は満年齢(例:旧4歳→3歳)で表記する。
優駿牝馬(オークス)は中央競馬五大クラシック競走の一つで、3歳牝馬たちによって争われる牝馬三冠レースの第二弾として行われる。その歴史は、1938年にこの競走の前身として創設された『阪神優駿牝馬』にまで遡る。
イギリスで行われるオークスステークスをモデルとしており、「オーク」とは樫の木の意。第12代ダービー卿エドワード・スミス・スタンレー(イギリスで行われるダービーステークスの創設者)が「オークス」という名の樫が生い茂る森林を所有しており、彼がエリザベス・ハミルトンとの婚約記念競走を開催しようと思い立った際、夫人の希望から3歳牝馬によるレースとすることにし、それを『オークス』と名付けオークスステークスが始まったという経緯がある。
阪神競馬場・芝2,700メートルでの3歳牝馬限定レースとして創設された本レース。1940年に2,450メートル、1943年に2,400メートルと距離を変更した後、1946年に舞台を東京競馬場へと移すとともにレース名も『優駿牝馬』へと改称される。創設当初から開催時期は秋であったが、1953年からは諸外国に合わせた春へと変更。1965年からは(オークス)という副称も付くようになり、現在まで樫の女王決定戦としてファンを熱狂させ続けている。