競馬の予想に必要なものといえば、過去のレースのデータだ。なかでも、多くの競馬ファンが注目するG1レースの過去の成績は、その歴史と傾向を知り、予想に役立てるためにも必ずチェックしておきたいデータと言える。
ここでは、古馬長距離チャンピオン決定戦、天皇賞(春)(G1)を制した歴代優勝馬・騎手及び2~3着のレース結果を一覧にまとめる。
天皇賞(春)レース結果・歴代優勝馬・騎手一覧
開催 | 年度 | 優勝馬(騎手) | 2着(騎手) | 3着(騎手) |
第169回 | 2024年 | テーオーロイヤル(菱田裕二) | ブローザホーン(菅原明良) | ディープボンド(幸英明) |
第167回 | 2023年 | ジャスティンパレス(C.ルメール) | ディープボンド(和田竜二) | シルヴァーソニック(D.レーン) |
第165回 | 2022年 | タイトルホルダー(横山和生) | ディープボンド(和田竜二) | テーオーロイヤル(菱田裕二) |
第163回 | 2021年 | ワールドプレミア(福永祐一) | ディープボンド(和田竜二) | カレンブーケドール(戸崎圭太) |
第161回 | 2020年 | フィエールマン(C.ルメール) | スティッフェリオ(北村友一) | ミッキースワロー(横山典弘) |
第159回 | 2019年 | フィエールマン(C.ルメール) | グローリーヴェイズ(戸崎圭太) | パフォーマプロミス(北村友一) |
第157回 | 2018年 | レインボーライン(岩田康誠) | シュヴァルグラン(H.ボウマン) | クリンチャー(三浦皇成) |
第155回 | 2017年 | キタサンブラック(武豊) | シュヴァルグラン(福永祐一) | サトノダイヤモンド(C.ルメール) |
第153回 | 2016年 | キタサンブラック(武豊) | カレンミロティック(池添謙一) | シュヴァルグラン(福永祐一) |
第151回 | 2015年 | ゴールドシップ(横山典弘) | フェイムゲーム(北村宏司) | カレンミロティック(蛯名正義) |
第149回 | 2014年 | フェノーメノ(蛯名正義) | ウインバリアシオン(武幸四郎) | ホッコーブレーヴ(田辺裕信) |
第147回 | 2013年 | フェノーメノ(蛯名正義) | トーセンラー(武豊) | レッドカドー(G.モッセ) |
第145回 | 2012年 | ビートブラック(石橋脩) | トーセンジョーダン(岩田康誠) | ウインバリアシオン(武豊) |
第143回 | 2011年 | ヒルノダムール(藤田伸二) | エイシンフラッシュ(内田博幸) | ナムラクレセント(和田竜二) |
第141回 | 2010年 | ジャガーメイル(C.ウィリアムズ) | マイネルキッツ(松岡正海) | メイショウドンタク(武幸四郎) |
第139回 | 2009年 | マイネルキッツ(松岡正海) | アルナスライン(蛯名正義) | ドリームジャーニー(池添謙一) |
第137回 | 2008年 | アドマイヤジュピタ(岩田康誠) | メイショウサムソン(武豊) | アサクサキングス(四位洋文) |
第135回 | 2007年 | メイショウサムソン(石橋守) | エリモエクスパイア(福永祐一) | トウカイトリック(池添謙一) |
第133回 | 2006年 | ディープインパクト(武豊) | リンカーン(横山典弘) | ストラタジェム(G.ボス) |
第131回 | 2005年 | スズカマンボ(安藤勝己) | ビッグゴールド(和田竜二) | アイポッパー(藤田伸二) |
第129回 | 2004年 | イングランディーレ(横山典弘) | ゼンノロブロイ(D.オリヴァー) | シルクフェイマス(四位洋文) |
第127回 | 2003年 | ヒシミラクル(角田晃一) | サンライズジェガー(後藤浩輝) | ダイタクバートラム(武豊) |
第125回 | 2002年 | マンハッタンカフェ(蛯名正義) | ジャングルポケット(武豊) | ナリタトップロード(渡辺薫彦) |
第123回 | 2001年 | テイエムオペラオー(和田竜二) | メイショウドトウ(安田康彦) | ナリタトップロード(渡辺薫彦) |
第121回 | 2000年 | テイエムオペラオー(和田竜二) | ラスカルスズカ(武豊) | ナリタトップロード(渡辺薫彦) |
第119回 | 1999年 | スペシャルウィーク(武豊) | メジロブライト(河内洋) | セイウンスカイ(横山典弘) |
第117回 | 1998年 | メジロブライト(河内洋) | ステイゴールド(熊沢重文) | ローゼンカバリー(横山典弘) |
第115回 | 1997年 | マヤノトップガン(田原成貴) | サクラローレル(横山典弘) | マーベラスサンデー(武豊) |
第113回 | 1996年 | サクラローレル(横山典弘) | ナリタブライアン(南井克巳) | ホッカイルソー(蛯名正義) |
第111回 | 1995年 | ライスシャワー(的場均) | ステージチャンプ(蛯名正義) | ハギノリアルキング(武豊) |
第109回 | 1994年 | ビワハヤヒデ(岡部幸雄) | ナリタタイシン(武豊) | ムッシュシェクル(藤田伸二) |
第107回 | 1993年 | ライスシャワー(的場均) | メジロマックイーン(武豊) | メジロパーマー(山田泰誠) |
第105回 | 1992年 | メジロマックイーン(武豊) | カミノクレッセ(田島信行) | イブキマイカグラ(南井克巳) |
第103回 | 1991年 | メジロマックイーン(武豊) | ミスターアダムス(本田優) | オースミシャダイ(松永昌博) |
第101回 | 1990年 | スーパークリーク(武豊) | イナリワン(柴田政人) | カシマウイング(的場均) |
第99回 | 1989年 | イナリワン(武豊) | ミスターシクレノン(河内洋) | スルーオダイナ(岡部幸雄) |
第97回 | 1988年 | タマモクロス(南井克巳) | ランニングフリー(菅原泰夫) | メジロデュレン(村本善之) |
第95回 | 1987年 | ミホシンザン(柴田政人) | アサヒエンペラー(蛯沢誠治) | スダホーク(田村正光) |
第93回 | 1986年 | クシロキング(岡部幸雄) | メジロトーマス(丸山勝秀) | フリートホープ(猿橋重利) |
第91回 | 1985年 | シンボリルドルフ(岡部幸雄) | サクラガイセン(小島太) | スズカコバン(村本善之) |
第89回 | 1984年 | モンテファスト(吉永正人) | ミサキネバアー(南井克巳) | ホリスキー(菅原泰夫) |
第87回 | 1983年 | アンバーシャダイ(加藤和宏) | ホリスキー(菅原泰夫) | カツアール(樋口弘) |
第85回 | 1982年 | モンテプリンス(吉永正人) | アンバーシャダイ(加藤和宏) | ゴールドスペンサー(河内洋) |
第83回 | 1981年 | カツラノハイセイコ(河内洋) | カツアール(樋口弘) | メジロファントム(横山富雄) |
第81回 | 1980年 | ニチドウタロー(村本善之) | メジロトランザム(武邦彦) | ジンクエイト(田島良保) |
第79回 | 1979年 | カシュウチカラ(郷原洋行) | サクラショウリ(小島太) | シービークロス(吉永正人) |
第77回 | 1978年 | グリーングラス(岡部幸雄) | トウフクセダン(宮田仁) | カシュウチカラ(出口明見) |
第75回 | 1977年 | テンポイント(鹿戸明) | クラウンピラード(佐々木昭次) | ホクトボーイ(久保敏文) |
第73回 | 1976年 | エリモジョージ(福永洋一) | ロングホーク(武邦彦) | イシノアラシ(加賀武見) |
第71回 | 1975年 | イチフジイサミ(郷原洋行) | キタノカチドキ(武邦彦) | ニホンピロセダン(福永洋一) |
第69回 | 1974年 | タケホープ(嶋田功) | ストロングエイト(中島啓之) | クリオンワード(安田伊佐夫) |
第67回 | 1973年 | タイテエム(須貝彦三) | カツタイコウ(加賀武見) | シンザンミサキ(久保敏文) |
第65回 | 1972年 | ベルワイド(加賀武見) | キームスビィミー(小野幸治) | アカネテンリュウ(星野信幸) |
第63回 | 1971年 | メジロムサシ(横山富雄) | オオクラ(目野哲也) | シュンサクリュウ(小野幸治) |
第61回 | 1970年 | リキエイカン(高橋成忠) | フイニイ(野平祐二) | ホウウン(池江泰郎) |
第59回 | 1969年 | タケシバオー(古山良司) | アサカオー(加賀武見) | ダイイチオー(山本正司) |
第57回 | 1968年 | ヒカルタカイ(野平祐二) | タイヨウ(目野哲也) | ヤマニリユウ(高橋成忠) |
第55回 | 1967年 | スピードシンボリ(野平祐二) | カブトシロー(久保田秀次郎) | ヤマニリユウ(高橋成忠) |
第53回 | 1966年 | ハクズイコウ(保田隆芳) | ウメノチカラ(伊藤竹男) | カブトシロー(久保田秀次郎) |
第51回 | 1965年 | アサホコ(加賀武見) | ブルタカチホ(大崎昭一) | バリモスニセイ(諏訪真) |
第49回 | 1964年 | ヒカルポーラ(高橋成忠) | メイズイ(保田隆芳) | コウライオー(大根田裕也) |
第47回 | 1963年 | コレヒサ(森安重勝) | リユウフオーレル(宮本悳) | スズホープ(野平好男) |
第45回 | 1962年 | オンスロート(山岡つとむ) | シーザー(清田十一) | オンワードスタン(境勝太郎) |
第43回 | 1961年 | ヤマニンモアー(浅見国一) | シーザー(清田十一) | メイタイ(森安弘明) |
第41回 | 1960年 | クリペロ(保田隆芳) | ホマレーヒロ(清田十一) | トキツヒロ(大根田裕也) |
第39回 | 1959年 | トサオー(野平祐二) | カツラシユウホウ(蛯名武五郎) | ヒシマサル(小野定夫) |
第37回 | 1958年 | オンワードゼア(野平好男) | セカイオー(島崎宏) | ラプソデー(境勝太郎) |
第35回 | 1957年 | キタノオー(勝尾竹男) | ホマレモン(山本勲) | フアストロ(近藤武夫) |
第33回 | 1956年 | メイヂヒカリ(蛯名武五郎) | ウゲツ(保田隆芳) | フアストロ(大根田裕也) |
第31回 | 1955年 | タカオー(古山良司) | セカイイチ(大根田裕也) | ミツサクラ(坪重兵衛) |
第29回 | 1954年 | ハクリヨウ | - | - |
第27回 | 1953年 | レダ | - | - |
第25回 | 1952年 | ミツハタ | - | - |
第23回 | 1951年 | タカクラヤマ | - | - |
第21回 | 1950年 | オーエンス | - | - |
第19回 | 1949年 | ミハルオー | - | - |
第17回 | 1948年 | シーマー | - | - |
第15回 | 1947年 | オーライト | - | - |
第14回 | 1944年 | ヒロサクラ | - | - |
第12回 | 1943年 | グランドライト | - | - |
第10回 | 1942年 | ミナミモア | - | - |
第8回 | 1941年 | マルタケ | - | - |
第6回 | 1940年 | トキノチカラ | - | - |
第4回 | 1939年 | スゲヌマ | - | - |
第2回 | 1938年 | ハセパーク | - | - |
※第2~29回の2着以下は公式記録を確認できなかったため未記載。
天皇賞(春)の歴史
天皇賞(春)は中央競馬のG1の中でも最も施行距離の長いレース。古馬長距離戦線の王座を巡りステイヤーたちが鎬を削る一戦だ。その歴史は、1905年にこの競走の前身として創設された『エンペラーズカップ』にまで遡る。
横浜の日本レースクラブが明治天皇から「菊花御紋付銀製花盛器」を下賜されエンペラーズカップが創設されたのに続き、1906年に東京競馬倶楽部にも御賞典が下賜されると、この年からレース名を『帝室御賞典競走』に変更。横浜と東京に阪神、福島、札幌、函館、小倉も加えた7つの全国の競馬倶楽部で天皇陛下からの賞品が下賜されるレースが行われるようになった。
1936年の日本競馬会設立、1937年の各競馬倶楽部の統合を機に帝室御賞典競走は春に阪神、秋に東京で年2回開催する現在と同じ方式となった。第1回が1937年の秋に東京で行われると、翌年の春に第2回が「阪神競馬場・芝2,700メートル・3歳以上」の条件で開催。その年の秋に行われた第3回からは春秋共に「芝3,200メートル・4歳以上」へと施行条件が変更された。太平洋戦争激化による中断があったものの1947年の春に『平和賞』というレース名で再開。その年の秋からは『天皇賞』という名前になり、春の開催は舞台が阪神競馬場から京都競馬場へと移された。
その後は1981年に「勝抜制」を廃止。旧制度では一度天皇賞の優勝を経験した馬はそれ以降の天皇賞には出られなくなるルールであったが、制度廃止により過去の優勝馬にも出走権が与えられるようになった。春と秋の開催にそれぞれ違った特色を持たせようという改革の動きも起こり、1984年と1987年の条件変更によって秋の天皇賞は「東京競馬場・芝2,000メートル・3歳以上」のレースへと生まれ変わった。長い歴史の中でのこうした経緯を経て、天皇賞(春)は現在も淀の舞台での4歳以上の強豪馬たちによる長距離チャンピオン決定戦の地位を確立している。
天皇賞(春)の過去の優勝馬とレースレコード
天皇賞(春)は「京都での長距離G1」という点で菊花賞(G1)と似通った条件のレースで、過去の優勝馬には3歳時に菊花賞を勝っている馬も多い。中でもメジロマックイーン(1991年・1992年)、ライスシャワー(1993年・1995年)、キタサンブラック(2016年・2017年)、フィエールマン(2019年・2020年)の4頭は菊花賞馬でありかつ天皇賞(春)を2回制している名ステイヤーたちだ。
タマモクロス(1988年)、スーパークリーク(1990年)、スペシャルウィーク(1999年)、テイエムオペラオー(2000年・2001年)、メイショウサムソン(2007年)、キタサンブラックの6頭は天皇賞(秋)(G1)も制しており、天皇賞春秋制覇を達成している。長らく勝抜制が存在していたこともあり春秋制覇に挑めるようになったことは最近のことで、春は3,200メートルを走り抜く持久戦、秋は2,000メートルのスピード勝負とそれぞれ毛色が全く違うことから達成の壁も高い。
過去の牝馬の優勝馬はレダ(1953年)の1頭のみ。レースレコードはキタサンブラックが2016年に記録した3:12.5で、芝3,200メートルの中央競馬レコードでもある勝ちタイム。スタートから先頭でレースを引っ張る展開になり、直線半ばで一度はカレンミロティックに抜け出しを許すものの内から猛然と差し返し最後はハナ差の競り勝ちを収めた。