天皇賞(秋)の歴代優勝馬・騎手一覧|競馬G1レース過去データ集

2024-10-26
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ここでは、中央競馬の秋の伝統の一戦、天皇賞(秋)(G1)を制した歴代優勝馬・騎手及び2~3着のレース結果を一覧にまとめる。

数々の名勝負が繰り広げられ、現在も多くのファンの注目を集める中央競馬のG1レース。競馬は「血のスポーツ」とも呼ばれ、過去の名馬の血を受け継ぎ活躍している現代の強豪馬たちも多い。レースの過去の優勝馬や好走馬、好成績を収めているジョッキーなどの記録・傾向は、予想にも活かせる要チェックのデータだ。

天皇賞(秋) レース結果・歴代優勝馬・騎手一覧

開催 年度 優勝馬(騎手) 2着(騎手) 3着(騎手)
第170回 2024年 ドウデュース(武豊) タスティエーラ(松山弘平) ホウオウビスケッツ(岩田望来)
第168回 2023年 イクイノックス(C.ルメール) ジャスティンパレス(横山武史) プログノーシス(川田将雅)
第166回 2022年 イクイノックス(C.ルメール) パンサラッサ(吉田豊) ダノンベルーガ(川田将雅)
第164回 2021年 エフフォーリア(横山武史) コントレイル(福永祐一) グランアレグリア(C.ルメール)
第162回 2020年 アーモンドアイ(C.ルメール) フィエールマン(福永祐一) クロノジェネシス(北村友一)
第160回 2019年 アーモンドアイ(C.ルメール) ダノンプレミアム(川田将雅) アエロリット(戸崎圭太)
第158回 2018年 レイデオロ(C.ルメール) サングレーザー(J.モレイラ) キセキ(川田将雅)
第156回 2017年 キタサンブラック(武豊) サトノクラウン(M.デムーロ) レインボーライン(岩田康誠)
第154回 2016年 モーリス(R.ムーア) リアルスティール(M.デムーロ) ステファノス(川田将雅)
第152回 2015年 ラブリーデイ(浜中俊) ステファノス(戸崎圭太) イスラボニータ(蛯名正義)
第150回 2014年 スピルバーグ(北村宏司) ジェンティルドンナ(戸崎圭太) イスラボニータ(C.ルメール)
第148回 2013年 ジャスタウェイ(福永祐一) ジェンティルドンナ(岩田康誠) エイシンフラッシュ(M.デムーロ)
第146回 2012年 エイシンフラッシュ(M.デムーロ) フェノーメノ(蛯名正義) ルーラーシップ(I.メンディザバル)
第144回 2011年 トーセンジョーダン(N.ピンナ) ダークシャドウ(F.ベリー) ペルーサ(横山典弘)
第142回 2010年 ブエナビスタ(C.スミヨン) ペルーサ(安藤勝己) アーネストリー(佐藤哲三)
第140回 2009年 カンパニー(横山典弘) スクリーンヒーロー(北村宏司) ウオッカ(武豊)
第138回 2008年 ウオッカ(武豊) ダイワスカーレット(安藤勝己) ディープスカイ(四位洋文)
第136回 2007年 メイショウサムソン(武豊) アグネスアーク(吉田隼人) カンパニー(福永祐一)
第134回 2006年 ダイワメジャー(安藤勝己) スウィフトカレント(横山典弘) アドマイヤムーン(武豊)
第132回 2005年 ヘヴンリーロマンス(松永幹夫) ゼンノロブロイ(横山典弘) ダンスインザムード(北村宏司)
第130回 2004年 ゼンノロブロイ(O.ペリエ) ダンスインザムード(C.ルメール) アドマイヤグルーヴ(武豊)
第128回 2003年 シンボリクリスエス(O.ペリエ) ツルマルボーイ(横山典弘) テンザンセイザ(藤田伸二)
第126回 2002年 シンボリクリスエス(岡部幸雄) ナリタトップロード(四位洋文) サンライズペガサス(柴田善臣)
第124回 2001年 アグネスデジタル(四位洋文) テイエムオペラオー(和田竜二) メイショウドトウ(安田康彦)
第122回 2000年 テイエムオペラオー(和田竜二) メイショウドトウ(的場均) トゥナンテ(幸英明)
第120回 1999年 スペシャルウィーク(武豊) ステイゴールド(熊沢重文) エアジハード(蛯名正義)
第118回 1998年 オフサイドトラップ(柴田善臣) ステイゴールド(蛯名正義) サンライズフラッグ(安田康彦)
第116回 1997年 エアグルーヴ(武豊) バブルガムフェロー(岡部幸雄) ジェニュイン(田中勝春)
第114回 1996年 バブルガムフェロー(蛯名正義) マヤノトップガン(田原成貴) サクラローレル(横山典弘)
第112回 1995年 サクラチトセオー(小島太) ジェニュイン(岡部幸雄) アイルトンシンボリ(加藤和宏)
第110回 1994年 ネーハイシーザー(塩村克己) セキテイリュウオー(田中勝春) ロイスアンドロイス(横山典弘)
第108回 1993年 ヤマニンゼファー(柴田善臣) セキテイリュウオー(田中勝春) ウィッシュドリーム(藤田伸二)
第106回 1992年 レッツゴーターキン(大崎昭一) ムービースター(武豊) ヤマニングローバル(河内洋)
第104回 1991年 プレクラスニー(江田照男) カリブソング(柴田政人) カミノクレッセ(南井克巳)
第102回 1990年 ヤエノムテキ(岡部幸雄) メジロアルダン(横山典弘) バンブーメモリー(武豊)
第100回 1989年 スーパークリーク(武豊) オグリキャップ(南井克巳) メジロアルダン(岡部幸雄)
第98回 1988年 タマモクロス(南井克巳) オグリキャップ(河内洋) レジェンドテイオー(郷原洋行)
第96回 1987年 ニッポーテイオー(郷原洋行) レジェンドテイオー(蛯沢誠治) アサカツービート(安田富男)
第94回 1986年 サクラユタカオー(小島太) ウインザーノット(田面木博公) ミホシンザン(柴田政人)
第92回 1985年 ギャロップダイナ(根本康広) シンボリルドルフ(岡部幸雄) ウインザーノット(柴田政人)
第90回 1984年 ミスターシービー(吉永正人) テュデナムキング(的場均) ロンググレイス(田原成貴)
第88回 1983年 キョウエイプロミス(柴田政人) カミノスミレ(加賀武見) アンバーシャダイ(加藤和宏)
第86回 1982年 メジロティターン(伊藤正徳) ヒカリデユール(河内洋) カツアール(樋口弘)
第84回 1981年 ホウヨウボーイ(加藤和宏) モンテプリンス(吉永正人) ゴールドスペンサー(大西直宏)
第82回 1980年 プリテイキャスト(柴田政人) メジロファントム(横山富雄) アラナスゼット(岡部幸雄)
第80回 1979年 スリージャイアンツ(郷原洋行) メジロファントム(横山富雄) アサヒダイオー(安田富男)
第78回 1978年 テンメイ(清水英次) プレストウコウ(郷原洋行) カシュウチカラ(出口明見)
第76回 1977年 ホクトボーイ(久保敏文) クラウンピラード(佐々木昭二) シタヤロープ(池上昌弘)
第74回 1976年 アイフル(嶋田功) ハーバーヤング(岡部幸雄) ロングホーク(武邦彦)
第72回 1975年 フジノパーシア(大崎昭一) カーネルシンボリ(柴田政人) トウコウエルザ(中野栄治)
第70回 1974年 カミノテシオ(加賀武見) イチフジイサミ(郷原洋行) デイクタボーイ(武邦彦)
第68回 1973年 タニノチカラ(田島日出雄) ミリオンパラ(戌亥信昭) オンワードガイ(蓑田早人)
第66回 1972年 ヤマニンウエーブ(福永洋一) パツシングゴール(新田幸春) カツタイコウ(加賀武見)
第64回 1971年 トウメイ(清水英次) スピーデーワンダー(岡部幸雄) ダイシンボルガード(大崎昭一)
第62回 1970年 メジロアサマ(池上昌弘) フイニイ(野平祐二) アカネテンリユウ(丸目敏栄)
第60回 1969年 メジロタイヨウ(横山富雄) ライトワールド(吉永正人) フイニイ(保田隆芳)
第58回 1968年 ニツトエイト(森安弘明) フイニイ(保田隆芳) サトヒカル(武邦彦)
第56回 1967年 カブトシロー(久保田秀次郎) ネイチブランナー(増沢末夫) リユウフアーロス(宮本悳)
第54回 1966年 コレヒデ(保田隆芳) ハツライオー(松本善登) グレートヨルカ(古山良司)
第52回 1965年 シンザン(栗田勝) ハクズイコウ(保田隆芳) ミハルカス(加賀武見)
第50回 1964年 ヤマトキヨウダイ(梶輿四松) トースト(野平祐二) コウタロー(加賀武見)
第48回 1963年 リユウフオーレル(宮本悳) ヒカルポーラ(高橋成忠) スズトツプラン(野平好男)
第46回 1962年 クリヒデ(森安弘明) トウコン(山岡つとむ) エムローン(加賀武見)
第44回 1961年 タカマガハラ(加賀武見) オンスロート(山岡つとむ) ホマレボシ(八木澤勝美)
第42回 1960年 オーテモン(野平好男) オンワードベル(高橋英夫) ウイルデイール(宇田明彦)
第40回 1959年 ガーネツト(伊藤竹男) オーテモン(野平好男) エドヒメ(増沢末夫)
第38回 1958年 セルローズ(石毛善衛) ミスオンワード(栗田勝) ギンヨク(坂本榮三郎)
第36回 1957年 ハクチカラ(保田隆芳) タメトモ(野平祐二) マイウエイ(古野富張)
第34回 1956年 ミツドフアーム(保田隆芳) ヒデホマレ(蛯名武五朗) フアイナルスコア(近藤武夫)
第32回 1955年 ダイナナホウシユウ(上田三千夫) フアイナルスコア(近藤武夫) ホマレオー(野平祐二)
第30回 1954年 オパールオーキツト(中村廣) ダイコロンブス(古山良司) クリチカラ(保田隆芳)
第28回 1953年 クインナルビー - -
第26回 1952年 トラツクオー - -
第24回 1951年 ハタカゼ - -
第22回 1950年 ヤシマドオター - -
第20回 1949年 ニユーフオード - -
第18回 1948年 カツフジ - -
第16回 1947年 トヨウメ - -
第13回 1943年 クリヒカリ - -
第11回 1942年 ニパトア - -
第9回 1941年 エステイツ - -
第7回 1940年 ロツキーモアー - -
第5回 1939年 テツモン - -
第3回 1938年 ヒサトモ - -
第1回 1937年 ハツピーマイト - -

※第1~28回の2着以下は公式記録を確認できなかったため未記載。

天皇賞(秋)の過去の優勝馬とレースレコード

前身の競走を含めれば100年以上の歴史を誇り、現在でも秋の中距離王決定戦の位置付けであることから、天皇賞(秋)の歴代優勝馬には日本の競馬史を彩る名馬たちが名を連ねる。

タマモクロス(1988年)、スーパークリーク(1989年)、スペシャルウィーク(1999年)、テイエムオペラオー(2000年)、メイショウサムソン(2007年)、キタサンブラック(2017年)の6頭は天皇賞(春)も制しており、天皇賞春秋制覇を達成している。長らく勝抜制が存在していたこともあり春秋制覇に挑めるようになったことは最近のことで、春は3,200メートルを走り抜く持久戦、秋は2,000メートルのスピード勝負とそれぞれ毛色が全く違うことから達成の壁も高い。

2017年にキタサンブラックが記録した勝ちタイム2:08.3は秋の天皇賞が東京競馬場・芝2,000メートルで行われるようになって以来最も遅い勝ちタイム。当日の東京は雨に見舞われ芝コースのコンディションは「不良」まで悪化。この馬場状態のためにある意味で記録に残る天皇賞となった。キタサンブラックは逃げ先行策で勝ち星を増やしてきたが、ゲートが開くとまさかの出遅れ。1番人気を背負ったものの勝利は絶望的かに思われたが、内から徐々に位置取りを上げると直線ではいつの間にか先頭に。鞍上の武豊は馬場の良い外に進路を変更して後続を封じ込め、雨中の府中で圧巻の押し切り勝ちを収めた。

天皇賞(秋)を連覇した馬はシンボリクリスエス(2003年・2004年)、アーモンドアイ(2019年・2020年)、イクイノックス(2022年・2023年)の3頭。シンボリクリスエスは史上3頭目となる3歳での秋の天皇賞制覇を達成し、その翌年には1番人気の支持に応えて連覇を飾った。シンボリクリスエスが2代父にあたるエフフォーリア(2021年)も3歳での天皇賞(秋)勝利を記録している。

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2022年のクラシック戦線で活躍するも戴冠には一歩届いていなかったイクイノックスは3歳秋の初戦に天皇賞をチョイス。レースは7番人気パンサラッサが世紀の大逃げを敢行し、なんと直線半ばまで後続を突き放した先頭という波乱に。直線を後方で迎えたイクイノックスは外に持ち出されるとグングンと伸びてパンサラッサを追い詰め、最後は捉えて更に1馬身突き放すという一大スペクタクルを演じてみせた。

翌2023年にはドバイでの圧巻の走りで当時の現役世界トップかつ日本馬歴代最高のレーティング135の評価を受けたイクイノックス。この年も秋の初戦には天皇賞を選択し、単勝オッズ1.3倍の抜けた1番人気に支持された。レースではジャックドールが高速で引っ張る展開の3番手を追走し、直線に入るとそのジャックドールが体力切れで後退する間にあっさりと先頭に代わる。後続を一切相手にしないまま2着に2馬身半差をつけて記録した勝ちタイム1:55.2はトーセンジョーダン(2011年)が天皇賞(秋)で樹立した芝2,000メートルのJRAレコードを0.9秒も塗り替えるスーパーレコード。レース後は鞍上のクリストフ・ルメールがスタンド前に馬を止め、決戦を見守った天皇皇后両陛下に向けて脱帽し、歴史的勝利を報告した。

天皇賞(秋)の歴史

※文中の競走馬の年齢は満年齢(例:旧4歳→3歳)で表記する。

秋の古馬中距離戦線の第一弾である天皇賞(秋)。その歴史は、1905年にこの競走の前身として創設された『エンペラーズカップ』にまで遡る。

横浜の日本レースクラブが明治天皇から「菊花御紋付銀製花盛器」を下賜されエンペラーズカップが創設されたのに続き、1906年に東京競馬倶楽部にも御賞典が下賜されると、この年からレース名を『帝室御賞典競走』に変更。横浜と東京に阪神、福島、札幌、函館、小倉も加えた7つの全国の競馬倶楽部で天皇陛下からの賞品が下賜されるレースが行われるようになった。

1936年の日本競馬会設立、1937年の各競馬倶楽部の統合を機に帝室御賞典競走は春に阪神、秋に東京で年2回開催する現在と同じ方式となった。記念すべき第1回開催は1937年の秋に東京競馬場・芝2,600メートルで行われ、第3回からは距離が3,200メートルに延長され4歳以上の条件となった。太平洋戦争激化による中断があったものの1947年の春に『平和賞』というレース名で再開。同年の秋からは『天皇賞』の題で行われるようになった。

その後は1981年に「勝抜制」を廃止。旧制度では一度天皇賞の優勝を経験した馬はそれ以降の天皇賞には出られなくなるルールであったが、制度廃止により過去の優勝馬にも出走権が与えられるようになった。春と秋の開催にそれぞれ違った特色を持たせようという改革の動きも起こり、1984年と1987年の条件変更によって秋の天皇賞は「東京競馬場・芝2,000メートル・3歳以上」のレースへと生まれ変わった。こうして現在では現役トップクラスの中距離馬たちが集う最強決定戦としてファンを熱狂させている。