8月3日水曜日、サウジアラビア政府系ファンドの資金で運営される『リブゴルフ』に参加する11人の選手が、米PGAツアーがくだした会員資格停止処分について、反トラスト法(独占禁止法)訴訟を起こす意向を明らかにした。それに対してPGAの看板選手であるジャスティン・トーマス(米国)が激しく非難した過去の発言が再び脚光を浴びている。Zac Al-Khateeb記者がリポートする。
いよいよリブゴルフ勢の独禁法訴訟が現実に
米PGAツアーを訴えたフィル・ミケルソンとブライソン・デシャンボー(いずれも米国)を含むリブゴルフ参加選手グループは、米PGAツアー を「ゴルファーのキャリアと生活を(害している) ... PGAツアーに与しない新規参入者が主催するトーナメントでプレーすることを許さない、無慈悲さを露わにしている」と非難し、こうも指摘した。
「PGAツアーは、初期の競争を粉砕するための意図的かつ執拗な努力でそれ(会員資格停止処分)を実行しました」
訴訟に名を連ねるほかの9人のゴルファーは、アブラム・アンセル(メキシコ)、ジェイソン・コクラック(米国)、カルロス・オルティス(メキシコ)、パット・ペレス(米国)、イアン・ポールター(英国)、ピーター・ユーライン(米国)、テイラー・ゴーチ(米国)、ハドソン・スワフォード(米国)、マット・ジョーンズ(オーストラリア)であり、後者の3人は2022年のフェデックスカップ・プレイオフに出場するための一時的な資格停止処分の解除を求めている。
一方で、水曜日の 米PGA ツアーに対する反トラスト法(独占禁止法)訴訟のニュースに関連して、PGA のトップスターであるジャスティン・トーマスの強い非難声明が再び脚光を浴びている。トーマスは 6 月下旬、リブゴルフとその参加選手たちによる 米PGA ツアーに対する訴訟が起これば、それは結果的にトーマス自身とPGAツアーのほかの選手に対する直接の攻撃になるだろうと主張していたからだ。
ジャスティン・トーマスの怒りの声明が再脚光
「彼ら(リブゴルフと参加選手たち)は(PGAだけでなく)私を訴えるようなものだ。彼らはロリー(マキロイ)を訴えるんだ。彼らはタイガー(ウッズ)を訴えるんだ」と、6月28日に配信されたポッドキャスト番組『No Laying Up』で語っていた。「彼らは、顔を見て、目を見て、ゴルフを一緒にラウンドした私たち全員を訴えるんだ...」とも述べていた。
トーマスは、米PGAツアーから脱退したリブゴルフ参加者について語る際、数百万ドルのためにリブゴルフと契約したというよりも、「PGAとその伝統と格式に忠実であり続けることを選択した選手たちを裏切った輩」だと表現した。
「私にとっては、それが裏切りや動揺、悲しい感情を生む禍根になってしまっている。ただ、繰り返しになりますが、彼らは自分たちにとって最善と思うことをしていることは確かです。それ故に、彼らは訴訟に関してその道を進み続けるでしょうね」
急拡大するリブゴルフに転じた選手たちへの失望の感情を表明したPGA残留選手は、トーマスだけではない。たとえば、タイガー・ウッズは、長年のライバルだったミケルソンがPGAツアーを去ったことに失望を表明している。ウッズ自身はリブゴルフからの7~8億ドル(約930~1066億円)相当の契約オファーを拒否したと伝えられ、リブゴルフCEOのグレッグ・ノーマンも口説き落とせなかったことを認めた。
リブゴルフも米PGA ツアーの独裁体制に反撃している。ミケルソンはPGAが課している、選手のメディア出演等の権利共有に関する強欲な契約の存在によって、新たなツアーが(不満を抱いた)PGAツアー会員を招き入れる余地を与えたに過ぎないと主張している。
いずれにせよ、PGAツアーとそれぞれのゴルファーとの間の不和はしばらく続くようだ。