2024年のFIA F1日本グランプリ(正式名称:フォーミュラ1 MSCクルーズ 日本グランプリ)は、4月5日(金)のフリー走行から7日(日)の決勝まで、38度目の開催にして初めて春先に開催される。
ここでは、正式にF1世界選手権のカレンダー入りを果たした1976年から遡り、アイルトン・セナやミハエル・シューマッハ、ミカ・ハッキネン、ルイス・ハミルトンなど、日本GP歴代の優勝者、最多優勝および複数回優勝者、最速ラップを紹介する。
紆余曲折の日本グランプリの歴史
本田技研工業(Honda)創業者である本田宗一郎が1962年、三重県鈴鹿市に鈴鹿サーキットを建設した翌年に「日本グランプリ」が誕生した。しかし、F1シンジケートに加わるまで長い時間を要している。
富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)との2軸開催、ツーリングカー時代、国内フォーミュラカー時代を経て、1976年10月24日、『F1世界選手権イン・ジャパン』として初めてF1カレンダー入りを果たした。
このレースは、ニキ・ラウダとジェームズ・ハントの年間王者決着戦となったことでも知られ、のちに映画『ラッシュ/プライドと友情』でも再現されている。
同年の全日本F2000選手権に「日本グランプリ」の名称が優先使用されていたため、翌1977年からF1世界選手権「日本グランプリ」として改められたが、痛ましい観客死傷事故や売上低迷もあって、富士スピードウェイでのわずか2大会をもって、F1カレンダーから撤退を余儀なくされた。
その10年後、関係各所の地道な活動により1987年から復活した「日本グランプリ」は、鈴鹿サーキットを舞台に、アイルトン・セナ、アラン・プロスト、ナイジェル・マンセル、デイモン・ヒル、ミハエル・シューマッハ、ミカ・ハッキネン、キミ・ライコネンといった世代ごとの類まれなドライバーや日本人初のF1フルタイムドライバーとなった中嶋悟の存在によって大きな人気を博し、日本におけるF1ブームを生んだ。
富士スピードウェイでの開催は、1976~1977年、2007~2008年(鈴鹿サーキット大規模改修のため)の4大会のみで、ほかの年度はすべて鈴鹿サーキットで開催されている。過去に「日本グランプリ」が休止されたのは、撤退期の1978〜1986年、コロナ禍の影響による2020〜2021年となり、2024年は計38度目の開催となる。
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歴代F1日本グランプリ優勝者
ここでは、1976年以降のF1世界選手権日本グランプリとしての歴代優勝者を紹介する。FS=富士スピードウェイ、SC=鈴鹿サーキットとなる。
特記はしないものの、各年天気等により規定周回に達していない場合や、決勝タイムが大幅に遅い場合がある。2022年大会は、大雨の影響によりレース再開が度々延期され、28周時点で終了した。
- 1976年10月24日:第16戦 / FS / マリオ・アンドレッティ(ロータス・フォード)/ 1:43:58.860 / 73周
- 1977年10月23日:第17戦 / FS / ジェームス・ハント(マクラーレン・フォード)/ 1:31:51.680 / 73周
- 1987年11月01日:第15戦 / SC / ゲルハルト・ベルガー(フェラーリ)/ 1:32:58.072 / 51周
- 1988年10月30日:第15戦 / SC / アイルトン・セナ(マクラーレン・ホンダ)/ 1:33:26.173 / 51周
- 1989年10月22日:第15戦 / SC / アレッサンドロ・ナニーニ(ベネトン・フォード)/ 1:35:06.277 / 53周
- 1990年10月21日:第15戦 / SC / ネルソン・ピケ(ベネトン・フォード)/ 1:34:36.824 / 53周
- 1991年10月20日:第15戦 / SC / ゲルハルト・ベルガー(マクラーレン・ホンダ)/ 1:32:10.695 / 53周
- 1992年10月25日:第15戦 / SC / リカルド・パトレーゼ(ウィリアムズ・ルノー)/ 1:33:09.553 / 53周
- 1993年10月24日:第15戦 / SC / アイルトン・セナ(マクラーレン・フォード)/ 1:40:27.912 / 53周
- 1994年11月06日:第15戦 / SC / デイモン・ヒル(ウィリアムズ・ルノー)/ 1:55:53.532 / 50周
- 1995年10月29日:第16戦 / SC / ミハエル・シューマッハ(ベネトン・ルノー)/ 1:36:52.930 / 53周
- 1996年10月13日:第16戦 / SC / デイモン・ヒル(ウィリアムズ・ルノー)/ 1:32:33.791 / 52周
- 1997年10月12日:第16戦 / SC / ミハエル・シューマッハ(フェラーリ)/ 1:29:48.446 / 53周
- 1998年11月01日:第16戦 / SC / ミカ・ハッキネン(マクラーレン・メルセデス)/ 1:27:22.535 / 51周
- 1999年10月31日:第16戦 / SC / ミカ・ハッキネン(マクラーレン・メルセデス)/ 1:31:18.785 / 53周
- 2000年10月08日:第16戦 / SC / ミハエル・シューマッハ(フェラーリ)/ 1:29:53.435 / 53周
- 2001年10月14日:第17戦 / SC / ミハエル・シューマッハ(フェラーリ)/ 1:27:33.298 / 53周
- 2002年10月13日:第17戦 / SC / ミハエル・シューマッハ(フェラーリ)/ 1:26:59.698 / 53周
- 2003年10月12日:第16戦 / SC / ルーベンス・バリチェロ(フェラーリ)/ 1:25:11.743 / 53周
- 2004年10月10日:第17戦 / SC / ミハエル・シューマッハ(フェラーリ)/ 1:24:26.985 / 53周
- 2005年10月09日:第18戦 / SC / キミ・ライコネン(マクラーレン・メルセデス)/ 1:29:02.212 / 53周
- 2006年10月08日:第17戦 / SC / フェルナンド・アロンソ(ルノー)/ 1:23:53.413 / 53周
- 2007年09月30日:第15戦 / FS / ルイス・ハミルトン(マクラーレン・メルセデス)/ 2:00:34.579 / 67周
- 2008年10月12日:第16戦 / FS / フェルナルド・アロンソ(ルノー)/ 1:30:21.892 / 67周
- 2009年10月04日:第15戦 / SC / セバスチャン・ベッテル(レッドブル・ルノー)/ 1:28:20.443 / 53周
- 2010年10月10日:第16戦 / SC / セバスチャン・ベッテル(レッドブル・ルノー)/ 1:30:27.323 / 53周
- 2011年10月09日:第15戦 / SC / ジェンソン・バトン(マクラーレン・メルセデス)/ 1:30:53.427 / 53周
- 2012年10月07日:第15戦 / SC / セバスチャン・ベッテル(レッドブル・ルノー)/ 1:28:56.242 / 53周
- 2013年10月13日:第15戦 / SC / セバスチャン・ベッテル(レッドブル・ルノー)/ 1:26:49.301 / 53周
- 2014年10月05日:第15戦 / SC / ルイス・ハミルトン(メルセデス)/ 1:51:43.021 / 44周
- 2015年09月27日:第14戦 / SC / ルイス・ハミルトン(メルセデス)/ 1:28:06.508 / 53周
- 2016年10月09日:第17戦 / SC / ニコ・ロズベルグ(メルセデス)/ 1:26:43.333 / 53周
- 2017年10月08日:第16戦 / SC / ルイス・ハミルトン(メルセデス)/ 1:27:31.194 / 53周
- 2018年10月07日:第17戦 / SC / ルイス・ハミルトン(メルセデス)/ 1:27:17.062 / 53周
- 2019年10月13日:第17戦 / SC / バルテリ・ボッタス(メルセデス)/ 1:21:46.755 / 52周
- 2022年10月09日:第18戦 / SC / マックス・フェルスタッペン(レッドブル)/ 3:01:44.004 / 28周
- 2023年9月24日:第17戦 / SC / マックス・フェルスタッペン(レッドブル)/ 1:30:58.421 / 53周
- 2024年4月7日:第4戦 / SC / 開催前
F1日本グランプリ複数回優勝ドライバー&コンストラクター
ここでは、1976年以降のF1世界選手権日本グランプリとしてのドライバーおよびコンストラクター(チーム)優勝回数を紹介する。
なかでもミハエル・シューマッハは最多となる6度の優勝を飾っている。ルイス・ハミルトンは5回となっており、もし今年優勝を飾ればタイ記録に並ぶことになる。近年は2022、2023年とマックス・フェルスタッペンが連勝を飾っており、さらに上位へ食い込んでいくかも注目される。
コンストラクターにおいてはマクラーレンが、ジェームズ・ハント、アイルトン・セナ、ミカ・ハッキネン、キミ・ライコネンといったスーパースターがそれぞれの世代で優勝を重ね、最多の9回を記録。日本のF1ブームのなかでもマクラーレンの存在は特筆すべきものになった。
なおここでも、2022/2023年とフェルスタッペンが連勝したことでレッドブルはメルセデスと並ぶ3位タイに浮上、今年勝てばフェラーリの7回に並ぶ2位タイとなる。
なお、ダブルネームチームの場合、車体製造(コンストラクター)側でカウントしている。エンジンメーカーでの優勝回数はメルセデスの11回が最多。ホンダは1988年と1991年、そして2023年の3回になっている。
■F1日本GP複数優勝ドライバー
- 6回:ミハエル・シューマッハ(1995 / 1997 / 2000 / 2001 / 2002 / 2004)
- 5回:ルイス・ハミルトン(2007 / 2014 / 2015 / 2017 / 2018)
- 4回:セバスチャン・ベッテル(2009 / 2010 / 2012 / 2013)
- 2回:ゲルハルト・ベルガー(1987 / 1991)、アイルトン・セナ(1988 / 1993)、デイモン・ヒル(1994 / 1996)、ミカ・ハッキネン(1998 / 1999)フェルナンド・アロンソ(2006 / 2008)、マックス・フェルスタッペン(2022 / 2023)
■F1日本GP複数優勝コンストラクター
- 9回:マクラーレン(1977 / 1988 / 1991 / 1993 / 1998 / 1999 / 2005 / 2007 / 2011)
- 7回:フェラーリ(1987 / 1997 / 2000 / 2001 / 2002 / 2003 / 2004)
- 6回:メルセデス(2014 / 2015 / 2016 / 2017 / 2018 / 2019)、レッドブル(2009 / 2010 / 2012 / 2013 / 2022 / 2023)
- 3回:ベネトン(1989 / 1990 / 1995)、ウィリアムズ(1992 / 1994 / 1996)
- 2回:ルノー(2006 / 2008)
歴代F1日本グランプリ最速ラップ
ここでは、1976年以降のF1世界選手権日本グランプリとしての歴代ファステストラップを紹介する。FS=富士スピードウェイ、SC=鈴鹿サーキットとなる。
なお、サーキットは鈴鹿に限らず、当日の天候のほか、時期によっては改修が行われ、コース距離なども変わるため、絶対的な最速ラップは一概に言い切れない。
現在の鈴鹿サーキットのコース仕様における決勝コースレコードは、2019年のルイス・ハミルトンが叩き出した1'30.983となっているが、タイム的には予選時のセバスチャン・ベッテルの1'27.064がより速い。富士スピードウェイのコースレコードは2008年大会予選Q2時におけるフェリペ・マッサの1'17.287となっている。
- 1976年: FS / ジャック・ラフィット(リジェ・マトラ)/ 1:19.970 / 70周目
- 1977年: FS / ジョディ・シェクター(ウルフ・フォード)/ 1:14.300 / 71周目
- 1987年: SC / アラン・プロスト(マクラーレン・タグ)/ 1:43.844 / 35周目
- 1988年: SC / アイルトン・セナ(マクラーレン・ホンダ)/ 1:46.326 / 33周目
- 1989年: SC / アラン・プロスト(マクラーレン・ホンダ)/ 1:43.506 / 43周目
- 1990年: SC / リカルド・パトレーゼ(ウィリアムズ・ルノー)/ 1:44.233 / 40周目
- 1991年: SC / アイルトン・セナ(マクラーレン・ホンダ)/ 1:41.532 / 39周目
- 1992年: SC / ナイジェル・マンセル(ウィリアムズ・ルノー)/ 1:40.646 / 44周目
- 1993年: SC / アラン・プロスト(ウィリアムズ・ルノー)/ 1:41.176 / 34周目
- 1994年: SC / デイモン・ヒル(ウィリアムズ・ルノー)/ 1:56.597 / 26周目
- 1995年: SC / ミハエル・シューマッハ(ベネトン・ルノー)/ 1:42.976 / 32周目
- 1996年: SC / ジャック・ビルヌーブ(ウィリアムズ・ルノー)/ 1:44.043 / 34周目
- 1997年: SC / ハインツ=ハラルド・フレンツェン(ウィリアムズ・ルノー)/ 1:38.942 / 48周目
- 1998年: SC / ミハエル・シューマッハ(フェラーリ)/ 1:40.190 / 19周目
- 1999年: SC / ミハエル・シューマッハ(フェラーリ)/ 1:41.319 / 31周目
- 2000年: SC / ミカ・ハッキネン(マクラーレン・メルセデス)/ 1:39.189 / 26周目
- 2001年: SC / ラルフ・シューマッハ(ウィリアムズ・BMW)/ 1:36.944 / 46周目
- 2002年: SC / ミハエル・シューマッハ(フェラーリ)/ 1:36.125 / 15周目
- 2003年: SC / ラルフ・シューマッハ(ウィリアムズ・BMW)/ 1:33.408 / 43周目
- 2004年: SC / ルーベンス・バリチェロ(フェラーリ)/ 1:32.730 / 32周目
- 2005年: SC / キミ・ライコネン(マクラーレン・メルセデス)/ 1:31.540 / 44周目
- 2006年: SC / フェルナンド・アロンソ(ルノー)/ 1:32.676 / 14周目
- 2007年: FS / ルイス・ハミルトン(マクラーレン・メルセデス)/ 1:28.193 / 27周目
- 2008年: FS / フェリペ・マッサ(フェラーリ)/ 1:18.426 / 55周目
- 2009年: SC / マーク・ウェバー(レッドブル・ルノー)/ 1:32.569 / 50周目
- 2010年: SC / マーク・ウェバー(レッドブル・ルノー)/ 1:33.474 / 53周目
- 2011年: SC / ジェンソン・バトン(マクラーレン・メルセデス)/ 1:36.568 / 52周目
- 2012年: SC / セバスチャン・ベッテル(レッドブル・ルノー)/ 1:35.774 / 52周目
- 2013年: SC / マーク・ウェバー(レッドブル・ルノー)/ 1:34.587 / 44周目
- 2014年: SC / ルイス・ハミルトン(メルセデス)/ 1:51.600 / 39周目
- 2015年: SC / ルイス・ハミルトン(メルセデス)/ 1:36.145 / 33周目
- 2016年: SC / セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)/ 1:35.118 / 36周目
- 2017年: SC / バルテリ・ボッタス(メルセデス)/ 1:33.144 / 50周目
- 2018年: SC / セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)/ 1:32.318 / 53周目
- 2019年: SC / ルイス・ハミルトン(メルセデス)/ 1:30.983 / 45周目
- 2022年: SC / 周冠宇(アルファロメオ) / 1:44.411 / 20周目
- 2023年:SC / マックス・フェルスタッペン(レッドブル)/1:34.183 / 39周目