現地時間8月25日、F1オランダGPのFP2で、アルファタウリのダニエル・リカルドがクラッシュによる負傷で戦線離脱し、リザーブドライバーのリアム・ローソンがF1デビューを飾ることになった。
ベテランのリカルドに何が起こったのか、現在日本で活躍する若き代役ローソンは何者なのか、本誌スペイン語編集部のアグスティン・アボイが解説する。
アルファタウリが今季4人目のドライバー起用
アルファタウリは今週末、2023年シーズンで4人目のドライバーを起用する。ザントフォールト・サーキットで開催されるオランダGPのFP3以降(8月26日)から、ニュージーランド人のリアム・ローソンがダニエル・リカルドに代わり、角田裕毅の僚友としてチームのマシンに乗ることになった。
イタリアのファエンツァを本拠地とする同チームの2023年の成績は、前節ベルギーGPまでの12大会を終えた段階で、角田がわずか3ポイントを獲得したのみで、年間成績においてチーム史上最悪の状況にある。
だが、今回のドライバー交代は、スポーツマネジメント上の決定やビジネスの問題ではなく、あくまで医学的な問題である。
ダニエル・リカルドに何が起きた?
8月25日午後、金曜日のオランダGPフリー走行2でダニエル・リカルドはアクシデントに見舞われ、左手の中手骨を骨折した。
リカルドはザントフォールトのターン3で、セーフティバリアに激しくぶつかり、ステアリングを離さなかったために負傷した。
ターン3入線時、先にクラッシュして停車していたオスカー・ピアストリ(マクラーレン)に気付かず、ピアストリのマシンと接触するか、壁にぶつかるかの一瞬の判断の末、壁に向かったことをリカルド本人が明かしている。
代打の新参者リアム・ローソンとは?
リアム・ローソンは、21歳のニュージーランド人ドライバーで、レッドブルとアルファタウリのリザーブドライバーを務めている。頂点を目指す若手のひとりとして、オランダGPで待望のF1デビューを飾ることになる。
しかし、「ローソンは今週末のレースに出場する。彼にとっては難しい状況になるだろう」と、レッドブルのアドバイザーであるヘルムート・マルコ氏はやや悲観的に述べた。リカルドの離脱には「マシンはうまく機能しているだけに残念だ」とも語った。
マルコ氏が懸念する理由は、ローソンが2023年のF1シーズンにおいて、初練習にも参加しておらず、まだマシン(AT04)をドライブしていないからだろう。ニック・デ・フリースが解雇された際、ローソンを起用するのではないかとの憶測もあったが、低迷するチーム状況もあって経験豊富なリカルドが選ばれた事情がある。
ローソンは現在、日本のスーパーフォーミュラ(SF)に参戦しており、TEAM無限のドライバーとして7戦中3勝を挙げ、ドライバーズランキングトップの宮田莉朋と8ポイント差の2位につけている。8月20日のモビリティリゾートもてぎ(栃木県)でのレースを終えたばかりのタイミングで緊急招集となった。
チームは首位にあり、2023年のSFは10月28日に鈴鹿サーキット(三重県)で最終戦を迎える。
SF参戦前の2年間にも十分な実績を築いてきた。F2では51戦中5勝(表彰台13回)を挙げ、2021年シーズンは9位、2022年シーズンは3位でフィニッシュ。2021年のドイツDTMでも16戦中3勝、10回の表彰台で準優勝に輝いている。
土曜日のFP3からの登板となるが、若手有望株としてどこまでパフォーマンスを発揮できるか期待される。
※本記事は本誌スペイン語記事を翻訳し、日本向けの情報を合わせた編集記事となる。翻訳・編集スポーティングニュース日本語版編集部