10月30日(日本時間31日)、F1(Formula 1)世界選手権第20戦となるメキシコGP決勝が、メキシコシティのアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスで行われた。年間王者マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポール・トゥ・ウィンを果たし、シーズン最多優勝数を「14」に更新。歴代単独1位の大記録や、決勝レースについてベン・ミラー(Ben Miller)が伝える。
強すぎるフェルスタッペン、シーズン最多優勝数歴代単独1位へ
若きオランダ人ドライバーは、メキシコGPでF1シーズン最多勝利記録を樹立した直後、その記録を後押しした最新の勝ち星について「素晴らしい」と表現した。同時にメキシコシティ(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)での自身の優勝記録を更新する通算4度目の勝利は、レース後半、2位のルイス・ハミルトン(メルセデス)に対するリードを15秒以上つけた安定の内容だった。
1シーズンでの最多優勝数は、2004年にミハエル・シューマッハが13回に最初にマークし、2013年にはセバスチャン・ベッテルがその記録に並んだ。今季2レースを残してそれを塗り替える「14」回目の優勝と、「416」点到達でハミルトンが持っていたシーズン最多獲得点数(2019年の413点)を破ったフェルスタッペンは次のように語った。
「信じられない雰囲気だね。ここ(エルマノス・ロドリゲス)に来るのが大好きだ。これまでのところ素晴らしい年だった。間違いなく楽しんでいるし、もっと上を目指していくつもりだよ」
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僚友のセルジオ・ペレスはメキシコ人初の母国GP優勝は叶わなかったが、ジョージ・ラッセル(メルセデス)を抑えて3位でフィニッシュしたことで現地ファンからの熱狂的な祝いの歓声があがった。
タイヤ戦略のミスがメルセデスを阻む
レッドブル包囲網を築いたはずのメルセデスだったが、タイヤマネジメントの失策で墓穴を掘った。
3番グリッドのハミルトンはミディアムタイヤでスタートし、29周を終えたあとにハードに切り替えたが、7度の世界王者のレース後の所感としては、レッドブル勢同様にミディアムではなくソフトでスタートすべきだったと振り返っている。僚友ラッセルもソフトタイヤへの切り替えを望んでいた。
ペレスは24周目、フェルスタッペンは26周目にソフトからミディアムに切り替えたため、メルセデスのボスであるトト・ウォルフは、このタイミングでミディアムを履いたレッドブル勢が間もなく失速するだろうとレース中のハミルトンに伝えていた。しかし、レース後には彼らが誤った選択を採ってしまったことを認めた。
ポールポジションから走り出し、ファーストコーナーを抜けてからそのままレース全体でリードを維持し続けたフェルスタッペンのその走りが、タイヤ戦略の良し悪しを証明している。
ハミルトン自身は序盤から絶好調で、タイヤ交換を行うまではレースの均衡が保たれていたようにみえた。だが、最終的にハミルトンたちは、何の波乱もないままフェルスタッペンの勝利を見せつけられる、悔しい結末を迎えた。
ラッセルは「もしミディアムから始めてソフトに変えていたらどうなっていたかと思うと、本当に興味深いよ」と皮肉気味に語り、グリップ不足にあえいだレースについて「氷の上を走っているようだった」と付け加えた。
シーズン初勝利をまたも逃したかつての王者ハミルトンは「結果としては彼らのタイヤ戦略の方が良かったのかもしれない。ソフトタイヤでスタートすべきだったんだろうね…マックス、おめでとう」と観念。新記録樹立を祝うしかなかった。
凱旋レースで3位のペレス「もっと上が欲しかった」
ファンたちからは「チェコ」の愛称で親しまれるセルジオ・ペレスは、7度目の母国開催GPで「今年こそ」と凱旋優勝を狙っていた。
モータースポーツに深く関わる一族出身であるペレスは、初の凱旋優勝としてキャリア通算5度目のGP制覇を目指し、父アントニオ・ペレス・ガリベイ率いるファミリーたちから熱烈な応援を受けた。ペレス・シニアはレース中にヘッドフォンをつけて熱心に見守り、息子が表彰台に上がる間、メキシコの旗を振りかざしたエネルギーとともにそのアステカの誇りを示した。
ペレスが優勝を飾っていれば、今大会はもっとセンセーショナルな展開となったに違いないが、好調のメルセデス勢と張り合ったその見事な走りは、ペレスファミリーと地元ファンの熱狂的な声援が引き出した賜物といえた。前述通りメルセデス陣営は、ペレスがミディアムタイヤのスティントで失速し、ラッセルがクロージングラップでパッシングできるだろうという見通しだったが、ペレスは4番手のラッセルに対して約50秒差をつけてフィニッシュした。
しかし、ハミルトンには約18秒差をつけられるなど、2位争いは終始苦戦した。
「オーバーテイクはそう簡単ではなくて、3番手をキープするしかなかった」とレース後にペレスは述べ、2年連続の3位入賞でファンの声援に感謝しつつも、その声にもっと応えたかったと話した。
「もう少し(ハミルトンのタイムに)近づくことができると思ったんだけど、うまくいかなかったんだ。もちろん(3位は)いい表彰台だよ。地元のファンの前で、もっと上を目指したかったけれど、それでも3位で終えられたからいい日だよ」
角田裕毅はもらい事故でまさかのリタイア
13番手発進だった角田裕毅(アルファタウリ)は、中団のダニエル・リカルド(マクラーレン)と11番手争いを演じた。しかし、50周を終えたところで、リカルドが無理なインラインカットを試みた際に接触。角田のマシンがリカルドのマシンの左フロントに乗り上げるような形になり、右リアだけでなく右側面などにも大きなダメージを受けた。
角田はピットに戻った時点でリタイアを強いられたが、リカルド機は大きなダメージもなく7位でフィニッシュした。
64周目にはフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)のマシンがエンジントラブルでターン1を曲がることなく直進してストップ。こちらもリタイアとなった。
F1 2022メキシコGP決勝結果
順位 |
ドライバー |
チーム |
ポイント |
1 |
マックス・フェルスタッペン |
レッドブル |
25 |
2 |
ルイス・ハミルトン |
メルセデス |
18 |
3 |
セルジオ・ペレス |
レッドブル |
15 |
4 |
ジョージ・ラッセル |
メルセデス |
13 |
5 |
カルロス・サインツ |
フェラーリ |
10 |
6 |
シャルル・ルクレール |
フェラーリ |
8 |
7 |
ダニエル・リカルド |
マクラーレン |
6 |
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|
エステバン・オコン |
アルピーヌ |
4 |
9 |
ランド・ノリス |
マクラフレン |
2 |
10 |
バルテリ・ボッタス |
アルファロメオ |
1 |
11 |
ピエール・ガスリー |
アルファタウリ |
0 |
12 |
アレックス・アルボン |
ウィリアムズ |
0 |
13 |
周冠宇 |
アルファロメオ |
0 |
14 |
セバスチャン・ベッテル |
ハース |
0 |
15 |
ランス・ストロール |
アストンマーチン |
0 |
16 |
ミック・シューマッハ |
ハース |
0 |
17 |
ケビン・マグヌッセン |
ハース |
0 |
18 |
ニコラス・ラティフィ |
ウィリアムズ |
0 |
DNF |
フェルナンド・アロンソ |
アルピーヌ |
0 |
DNF |
角田裕毅 |
アルファタウリ |
0 |
最新F1ポイントランキング2022
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原文:F1 Mexican Grand Prix 2022 result, highlights and analysis as Max Verstappen breaks wins record in Mexico City
翻訳・編集:スポーティングニュース日本版編集部
※本記事は英語版記事を翻訳・編集し、追加情報を加えた日本版記事となる。