2024年で111回目を迎えた世界最高峰の自転車ロードレース、ツール・ド・フランス(Tour de France)は7月21日(日)の最終ステージ、モナコからニースにかけての33.7km個人タイムトライアルでタデイ・ポガチャル(スロベニア)がステージ6勝目をマーク、3年ぶりとなる自身3度目の総合優勝ならびに1998年以来となるジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスの『ダブルツール』を達成した。
ここでは、過去111回のツール・ド・フランスの優勝者についてまとめる。
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111年の歴史で通算5勝を挙げた『クラブサンク』メンバーは4人のみ
111年を数えるツール・ド・フランスの歴史で、通算最多勝利数はジャック・アンクティル(フランス/1957、1961~1964年)、エディ・メルクス(ベルギー/1969~1972、1974年)、ベルナール・イノー(フランス/1978~1979、1981~1982、1985年)、ミゲル・インデュライン(スペイン/1991~1995年)の4人がマークした5勝だ。この4人の功績は『クラブサンク』(5勝クラブ)の通称で讃えられ、高く評価されている。
4人に次ぐ、4勝をあげているのがクリス・フルーム(イギリス/2013、2015~2016、2018年)、さらに今年優勝のポガチャル、グレッグ・レモン(アメリカ)ら3人が3勝で並んでいる。
ツールの歴史に燦然と名を残す『カンニバル』(人食い鬼)
『クラブサンク』の中でも圧倒的な強さを発揮したのがエディ・メルクスだ。その勝利への貪欲さから『カンニバル』(人食い鬼)の異名をとったメルクスは、ツール・ド・フランスの5度の優勝に加え、ジロ・デ・イタリアも5回優勝、プエルタ・ア・エスパーニャも1回優勝と、3つのグランツールを全て制覇し、同じ年にツール・ド・フランスとジロ・デ・イタリアを制する『ダブル・ツール』を3度にわたって成し遂げている(1970、1972、1974年)。
ツール・ド・フランスでもメルクスは歴代1位タイの通算5勝に加え、マイヨジョーヌ通算着用日数111日という前人未到の大記録を打ち立てているほか、1大会でのステージ優勝回数8回、区間優勝回数34回も歴代1位タイという記録も保持している。
国別の優勝回数ではフランスがトップ、ついでベルギー、スペインがTOP3
ツール・ド・フランスの優勝者を国別で見ていくと、アンクティル、イノーを輩出したフランスが36回で1位、次いでメルクスの母国ベルギーが18回、インデュラインの母国スペインが12回と、『クラブサンク』のメンバー4人がTOP3に大きく貢献している。
111年の歴史にポッカリとあいた空白の7年間
過去111年の歴史の中で第86回〜92回大会(1999~2005年)の7年間はポッカリと穴が開いている。この7年間はランス・アームストロング(アメリカ)が前人未到の7連覇を達成した大会だった。若くして患ったがんを克服し、ツールで頂点を極めて7連覇の偉業を達成というストーリーは全世界の注目を集める英雄伝となった。
だが、引退後にUSADA(全米反ドーピング機関)からドーピング容疑で告発を受けると、1998年8月1日以降のツール7連覇を含む全てのタイトルを剥奪され、トライアスロンを含むロードレース界からの永久追放処分を受けるという転落の憂き目を味わうこととなった。
アームストロングはその後、テレビ、ドキュメンタリーなどを通じ、自らドーピングを認めている。
🚲ツール・ド・フランス歴代優勝者一覧
回数 | 年 | 優勝者 | 国 |
---|---|---|---|
第1回 | 1903年 | モリス・ガラン | フランス |
第2回 | 1904年 | アンリ・コルネ | フランス |
第3回 | 1905年 | ルイ・トルゥスリエ | フランス |
第4回 | 1906年 | ルネ・ポティエ | フランス |
第5回 | 1907年 | ルシアン・プティブルトン | フランス |
第6回 | 1908年 | ルシアン・プティブルトン | フランス |
第7回 | 1909年 | フランソワ・ファベール | ルクセンブルグ |
第8回 | 1910年 | オクタブ・ラピーズ | フランス |
第9回 | 1911年 | ギュスタブ・ガリグー | フランス |
第10回 | 1912年 | オディル・ドフレイエ | ベルギー |
第11回 | 1913年 | フィリップ・ティス | ベルギー |
第12回 | 1914年 | フィリップ・ティス | ベルギー |
第13回 | 1919年 | フィルマン・ランボー | ベルギー |
第14回 | 1920年 | フィリップ・ティス | ベルギー |
第15回 | 1921年 | レオン・シウール | ベルギー |
第16回 | 1922年 | フィルマン・ランボー | ベルギー |
第17回 | 1923年 | アンリ・ペリシエ | フランス |
第18回 | 1924年 | オッタビオ・ボテッキア | イタリア |
第19回 | 1925年 | オッタビオ・ボテッキア | イタリア |
第20回 | 1926年 | ルシアン・ビュイス | ベルギー |
第21回 | 1927年 | ニコラ・フランツ | ルクセンブルグ |
第22回 | 1928年 | ニコラ・フランツ | ルクセンブルグ |
第23回 | 1929年 | モリス・デワール | ベルギー |
第24回 | 1930年 | アンドレ・ルデュック | フランス |
第25回 | 1931年 | アントナン・マーニュ | フランス |
第26回 | 1932年 | アンドレ・ルデュック | フランス |
第27回 | 1933年 | ジョルジュ・スペシュ | フランス |
第28回 | 1934年 | アントナン・マーニュ | フランス |
第29回 | 1935年 | ロマン・マース | ベルギー |
第30回 | 1936年 | シルベール・マース | ベルギー |
第31回 | 1937年 | ロジェ・ラペビー | フランス |
第32回 | 1938年 | ジーノ・バルタリ | イタリア |
第33回 | 1939年 | シルベール・マース | ベルギー |
第34回 | 1947年 | ジャン・ロビック | フランス |
第35回 | 1948年 | ジーノ・バルタリ | イタリア |
第36回 | 1949年 | ファウスト・コッピ | イタリア |
第37回 | 1950年 | フェルディナント・キュプラー | スイス |
第38回 | 1951年 | ユーゴ・コブレ | スイス |
第39回 | 1952年 | ファウスト・コッピ | イタリア |
第40回 | 1953年 | ルイゾン・ボベ | フランス |
第41回 | 1954年 | ルイゾン・ボベ | フランス |
第42回 | 1955年 | ルイゾン・ボベ | フランス |
第43回 | 1956年 | ロジェ・ワルコビャック | フランス |
第44回 | 1957年 | ジャック・アンクティル | フランス |
第45回 | 1958年 | シャルリー・ゴール | ルクセンブルグ |
第46回 | 1959年 | フェデリコ・バーモンテス | スペイン |
第47回 | 1960年 | ガストネ・ネンチー二 | イタリア |
第48回 | 1961年 | ジャック・アンクティル | フランス |
第49回 | 1962年 | ジャック・アンクティル | フランス |
第50回 | 1963年 | ジャック・アンクティル | フランス |
第51回 | 1964年 | ジャック・アンクティル | フランス |
第52回 | 1965年 | フェリーチェ・ジモンディ | イタリア |
第53回 | 1966年 | ルシアン・エマール | フランス |
第54回 | 1967年 | ロジェ・バンジョン | フランス |
第55回 | 1968年 | ヤン・ヤンセン | オランダ |
第56回 | 1969年 | エディ・メルクス | ベルギー |
第57回 | 1970年 | エディ・メルクス | ベルギー |
第58回 | 1971年 | エディ・メルクス | ベルギー |
第59回 | 1972年 | エディ・メルクス | ベルギー |
第60回 | 1973年 | ルイス・オカーニャ | スペイン |
第61回 | 1974年 | エディ・メルクス | ベルギー |
第62回 | 1975年 | ベルナール・テヴネ | フランス |
第63回 | 1976年 | ルシアン・ファンインプ | ベルギー |
第64回 | 1977年 | ベルナール・テヴネ | フランス |
第65回 | 1978年 | ベルナール・イノー | フランス |
第66回 | 1979年 | ベルナール・イノー | フランス |
第67回 | 1980年 | ヨープ・ズートメルク | オランダ |
第68回 | 1981年 | ベルナール・イノー | フランス |
第69回 | 1982年 | ベルナール・イノー | フランス |
第70回 | 1983年 | ローラン・フィニョン | フランス |
第71回 | 1984年 | ローラン・フィニョン | フランス |
第72回 | 1985年 | ベルナール・イノー | フランス |
第73回 | 1986年 | グレッグ・レモン | アメリカ |
第74回 | 1987年 | ステファン・ロシュ | アイルランド |
第75回 | 1988年 | ペドロ・デルガド | スペイン |
第76回 | 1989年 | グレッグ・レモン | アメリカ |
第77回 | 1990年 | グレッグ・レモン | アメリカ |
第78回 | 1991年 | ミゲル・インデュラン | スペイン |
第79回 | 1992年 | ミゲル・インデュラン | スペイン |
第80回 | 1993年 | ミゲル・インデュラン | スペイン |
第81回 | 1994年 | ミゲル・インデュラン | スペイン |
第82回 | 1995年 | ミゲル・インデュラン | スペイン |
第83回 | 1996年 | ビャルヌ・リース | デンマーク |
第84回 | 1997年 | ヤン・ウルリッヒ | ドイツ |
第85回 | 1998年 | マルコ・パンターニ | イタリア |
第86回 | 1999年 | - | - |
第87回 | 2000年 | - | - |
第88回 | 2001年 | - | - |
第89回 | 2002年 | - | - |
第90回 | 2003年 | - | - |
第91回 | 2004年 | - | - |
第92回 | 2005年 | - | - |
第93回 | 2006年 | オスカル・ペレイロ | スペイン |
第94回 | 2007年 | アルベルト・コンタドール | スペイン |
第95回 | 2008年 | カルロス・サストレ | スペイン |
第96回 | 2009年 | アルベルト・コンタドール | スペイン |
第97回 | 2010年 | アンディ・シュレク | ルクセンブルグ |
第98回 | 2011年 | カデル・エヴァンス | オーストリア |
第99回 | 2012年 | ブラッドリー・ウィギンス | イギリス |
第100回 | 2013年 | クリス・フルーム | イギリス |
第101回 | 2014年 | ヴィチェンツォ・ニバリ | イタリア |
第102回 | 2015年 | クリス・フルーム | イギリス |
第103回 | 2016年 | クリス・フルーム | イギリス |
第104回 | 2017年 | ゲラント・トーマス | イギリス |
第105回 | 2018年 | クリス・フルーム | イギリス |
第106回 | 2019年 | エガン・ベルナル | コロンビア |
第107回 | 2020年 | タデイ・ポガチャル | スロベニア |
第108回 | 2021年 | タデイ・ポガチャル | スロベニア |
第109回 | 2022年 | ヨナス・ヴィンゲゴー | デンマーク |
第110回 | 2023年 | ヨナス・ヴィンゲゴー | デンマーク |
第111回 | 2024年 | タデイ・ポガチャル | スロベニア |
※第86~92回大会(1999~2005年)に優勝したランス・アームストロング(アメリカ)の記録はドーピング違反のため公式記録から抹消されている。