百戦錬磨の日本人ファイター、井岡一翔はすでに4階級を制覇してきたチャンピオンであり、名門誌のパウンド・フォー・パウンド入り実績もある世界屈指のテクニシャンである。そんなレジェンド級のWBA世界スーパーフライ級王者にとって、15年のキャリアの中で今が最もエキサイティングな時と言えるだろう。
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その井岡が、7月7日(日)に行われる統一タイトルマッチで無敗のIBF王者フェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)に勝利すれば、現在のボクシング界で最注目の若手ファイター、ジェシー『バム』ロドリゲス(アメリカ)とのビッグマッチが実現するかもしれない。
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井岡vsマルティネスを前に、名門『The Ring』誌(リングマガジン)で編集人を務めた本誌格闘技部門副編集長トム・グレイが、井岡vsロドリゲス実現の可能性、そして両者が対戦した場合の試合予想を考察する。
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■バムの衝撃KO劇により活性化したSフライ級
現地時間6月29日(土)、ロドリゲス(20勝0敗、13KO)は米アリゾナ州フェニックスで、メキシコの英雄ファン・フランシスコ・エストラーダからWBCならびに『リングマガジン』のスーパーフライ級王座をもぎ取った。待望の両者の対決は、お互いにダウンを奪い合う展開となったが、第7ラウンドにロドリゲスが強烈な左のボディーでとどめを刺した。
この試合前、テキサス生まれのサウスポー、ロドリゲスは本誌『スポーティングニュース』の取材の中で、井岡vsマルティネス戦の勝者を次のように予想していた。
「素晴らしい試合になるだろう。マルティネスはプレッシャー・ファイターで、対する井岡はスマートなボクサー。自分は井岡有利とみている。ボクシングがとてもうまいから」とロドリゲスは評し、その先のビジョンについても触れていた。
「自分にとっても興味深い試合だけど、まずはエストラーダとの再戦条項があるからね。エストラーダとの再戦が終わったら、この試合の勝者とぜひ戦いたい。(もし井岡が勝てば)日本で試合したいと思っている。自分にはどこででも戦う用意がある」
デビュー当初の4戦中3戦はメキシコで行われたが、それ以外の『バム』の試合は全て母国アメリカで開催されてきた。彼のキャリアを彩ってきたカルロス・クアドラス(メキシコ)、シーサケット・ソー・ルンヴィサイ(タイ)、サニー・エドワーズ(イギリス)、そしてエストラーダといった対戦相手から収めた勝利は、いずれもテキサス州かアリゾナ州で勝ち取ったものだ。
ただありがたいことに、『バム』はトップクラスのボクサーの中でも最も若く野心的で、ハングリーなボクサーだ。もしこの若きチャンピオンが井岡戦のために日本へ行くというなら、その言葉に二言はないだろう。
すでに2階級制覇を果たしてきた『バム』は、今の流れをさらに加速させたいと考えている。
「キャリア的にも今はただ最高のファイトをしたい。僕はまだ若いし、エネルギーにあふれている。最高の選手たちと戦って、ファンに最高の試合を見せていきたい。それをやり遂げて引退したいね」
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井岡一翔は『バム』ロドリゲスを倒せるか?
『バム』vs井岡戦が実現すれば、『バム』有利の下馬評はまず間違いないだろう。ボクシングは往々にして「タイミング」がモノを言う。そこにはリングの中の要素もあれば、リング外の要素もある。このタイミングでの両者の対戦は『バム』有利となるに違いない。
24歳の『バム』は今まさに全盛期を迎えつつあり、1試合ごとに成熟しつつある。そういう「タイミング」だ。今の井岡も素晴らしいが、12回戦をスピーディーなペースで戦っていけば、徐々に若いロドリゲスのスタミナ、積極的なファイトについていくのが厳しくなるだろう。
私(トム・グレイ)の予想は『バム』の勝利だが、懸念点がないわけではない。井岡ほどの優れたボクサーはいつだって侮ることはできない。実際これまでにオッズを覆した実績もある。すでにスーパーフライ級が『バム』のものとなりつつある時代の中でも、井岡はその流れに果敢に抗ってみせるだろう。
しかし、『バム』とのビッグマッチを考える前に、井岡はまず強打のアルゼンチン・ファイター、マルティネスを片付ける必要がある。この試合に意欲を燃やすマルティネスは、井岡にとって脅威となるはずだ。また、エストラーダは『バム』との再戦に前向きであり、いざ試合が決まれば、大敗を喫したとはいえ井岡同様に世界クラスの実力を誇ってきた『エル・ガヨ』の存在も見過ごすことができない。
『バム』vs井岡戦は今のところまだ、妄想の中だけにしておいたほうがよさそうだ。
※この記事はスポーティングニュース国際版の記事を翻訳し、日本向けに一部編集を加えたものとなります。翻訳・編集: 石山修二(スポーティングニュース日本版)