今この記事を読もうとしている読者諸姉兄、過去記事に遭遇してしまったわけではないのでご安心を。2024年7月28日(日)、8階級制覇を果たした伝説のチャンピオン、マニー・パッキャオは、再びその手にグローブをはめ、さいたまスーパーアリーナで開催される『超RIZIN.3』のリングにおいて、元K-1出身の総合格闘家・安保瑠輝也と対戦する。
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このパッキャオvs安保を含むイベント『超RIZIN.3』は、動画配信サービスの「ABEMA」、「U-NEXT」などでライブ配信予定となっている。
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あのレジェンド・パッキャオがRIZINに参戦?
パッキャオ(62勝8敗2分、39 KO)は、ボクシング史上屈指のファイターであり、世界中で最も愛されているボクサーのひとりでもある。フィリピンが誇る英雄は、約26年(1995年1月~2021年8月)にわたる現役生活の中で、8つの異なる階級においてチャンピオンの座に君臨した(主要4団体世界王座では6階級制覇)。
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しかしながら、そんな元チャンピオンも現在45歳、2016年から2022年の間はフィリピンで上院議員を務め、フィリピン大統領選のために現役引退を大々的に公表し、すでに3年近くリングから遠ざかっている。
そんなパッキャオと対戦する安保は、K-1 WORLD GPスーパーライト級の第4代チャンピオンだ。キックボクシングのバックグラウンドはあるがプロボクサーとしての経験はない。当初パッキャオと対戦するのは、RIZINのフェザー級チャンピオンである総合格闘家の鈴木千裕だったが、鈴木の拳の負傷に伴い、安保が代役として名乗りを上げた。
両者の対戦に向けて、我々は何を期待すべきなのか。ここでは、パッキャオvs安保戦の詳細、そしてパッキャオが今この試合に臨むのか、その背景について、名門誌『The Ring』の元編集人で本誌格闘技部門副編集長トム・グレイが考察する。
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安保瑠輝也とは?
『デモリッションマン』の異名をとる安保は、28歳のMMAファイターだ。
キックボクシング時代の戦績は27勝8敗1分(14KO勝利)、5度のKO負けを喫している。これまで、キックボクシングのマイナー団体からK-1でタイトルを獲得。K-1離脱後はRIZINのリングで戦ってきた。
昨年12月、KrushやK-1でウェルター級王者だった久保優太とのRIZIN MMA特別ルールで行われた自身初のMMAマッチでは、1ラウンド終了間際、久保のリアネイキッドチョークの前にタップアウトしている。
MMAデビューでいきなりつまづいた安保だったが、『BREAKING DOWN 12』でのスダリオ剛との44kg差対決に判定勝ちを収めたことで、キャリア的にも上向きに修正した。
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パッキャオvs安保のルールは?
パッキャオvs安保の一戦は、RIZINが普段採用するMMAルールやキックボクシングルールではなく、3分3ラウンド、ボクシング準拠の「RIZINスタンディングバウト特別ルール」で行われる。
69kg契約でシューズ着用、8オンスグローブ着用、禁止技として裏拳、スーパーマンパンチ、蹴り、締める、極める、肘打が指定されている。また、ジャッジ不在で判定なし、決着はKOのみとなる。
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なお、禁止技を行った場合の罰金は500万ドル(約7億9000万円、1ドル=158円換算)と設定されている。
パッキャオはなぜ今、リングに戻るのか?
パッキャオは母国フィリピンで政治家としても活動しているが、大統領選のために議員辞職していたため、2025年の上院選選挙に再出馬予定だ(大統領選はともかく上院議員であれば当選は固いとされる)。それでもなお、『パックマン』はボクシングの呪縛から逃れることができないようだ。
パッキャオは2022年、韓国のYouTuber、DKユーとエキシビションマッチを行っている。今回の安保との一戦もパッキャオにとっては同様のものなのかもしれないが、タイミング的に、本格的な現役復帰、世界戦を睨んだ調整試合となるかもしれない。
相手が安保に変更になる前の時点での噂では、パッキャオはプロボクシングへの復帰を計画しており、今年後半にはWBC世界ウェルター級の新暫定チャンピオン、マリオ・バリオス(アメリカ)に挑戦するという報道がすでに聞こえていた。
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「私は40歳の時にキース・サーマン(アメリカ)を破って歴史を塗り替えた。今は45歳だが、ここ数年はパンチを打たれていないからね、まだまだやれる気がしている。新たな歴史を打ち立てたいんだ」と、パッキャオは米ケーブル局「ESPN」の取材で答えている。
今年初め、パッキャオは現役復帰に向け、コナー・ベン(イギリス)との試合を画策していたが、この試合の交渉は実現には至らなかったと言われている。
そして今年6月、テレンス・クロフォードが休養王座に格下げされたのを受け、バリオスはWBC世界ウェルター級の正規王座へと昇格になった。驚くことに、WBCはすでにバリオスとパッキャオの対戦を認可する声明も発表している。12月に内定したと伝えるメディアもあった。
現役復帰に向けての外堀は着実に埋められてきている。あとは45歳のパッキャオが実際にどこまで戦えるのか。その可能性を見据える上でも、今回の安保戦の戦いぶりが注目される。
※本記事は国際版記事を翻訳し、日本向けに編集した記事となる。翻訳・編集:石山修二、