中谷潤人が初防衛戦後に戦うべき3人の候補|井岡とエストラーダが若きKOアーティストの選択肢に

2023-09-14
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(Getty Images)

ボクシング史上最も強力なパウンド・フォー・パウンド・リスト入りも近い、WBO世界スーパーフライ級王者・中谷潤人。9月18日のアルヒ・コルテス戦で初防衛を果たした暁には、さらなる実力者との対決が期待される。

『モンスター』井上尚弥に続くノックアウト・アーティストとして評価される中谷の次戦候補について、名門誌『The Ring』(リングマガジン)出身で本誌格闘技部門副編集長のトム・グレイが予想する。

初防衛戦に臨むKOアーティスト中谷潤人

メキシコのアルヒ・コルテスが中谷潤人と相対するリングに上がるとき、彼は自身に待ち受けている危険を十分に認識しているはずだ。両者は9月18日、東京・有明アリーナで対戦する。

中谷(25勝19KO)は、5月にアンドリュー・モロニー(オーストラリア)を12ラウンドで下し、WBO世界スーパーフライ級王座を獲得している。25歳の中谷は終始試合をコントロールし、最終ラウンドの前にすでに2度のノックダウンを奪っていた。そして、衝撃のシーンが生まれた。

モロニーは広がったポイント差を詰めるように、最後まで、そして必死に勝利を引き寄せようとしていた。しかし、ラウンド終了間際、中谷の左拳がタイミングよく決まり、モロニーは意識を失った。それは2023年のノックアウト・オブ・ザ・イヤー候補になり得る鮮烈な一撃であり、観衆がどよめくなか、中谷が新しい階級で世界チャンピオンになるための完璧な道筋となった。

コルテス(25勝3敗2分、10KO)は素晴らしいファイターだが、その経歴だけをみれば今回の試合に勝算はない。28歳のコルテスは昨年、ベテランの名手フアン・フランシスコ・エストラーダに予想以上に厳しい試練を与えたものの、最終的に敗れたことで知られている。

予想通り日本の若きスター候補がコルテスに勝利した場合、この階級には統一戦にもなるような名勝負がいくつも生まれることになる。可能性のある対決を予想してみよう。

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中谷はWBA王者 井岡一翔と戦うのか?

この日本人同士の対戦は、今年6月に実現していたかもしれないカードだ。

2022年12月、WBA世界スーパーフライ級王者ジョシュア・フランコとの統一戦が引き分けに終わった井岡は、WBOの指令により指名挑戦者である中谷と対戦するはずだった。

しかし、井岡は自身のWBO王座を返上し、WBA王座をかけたフランコとの再戦を選択。その判断に批判的な声もあったなか、井岡は見事に判定勝利を収め、4つの階級で6度目の世界タイトルを獲得した。

一方、中谷は前述通りモロニーを撃破し、井岡が返上したWBO王座を獲得した。

こうした経緯を経たことで、統一戦としての井岡 vs. 中谷の試合はこれまで以上に大きな意味を持っている。達人 vs. 若手筆頭のような新旧対決の雰囲気もあり、日本では一大イベントとなるだろう。

問題は、34歳の井岡が自身より10歳近くも若い、危険な一撃を持つKOアーティストと対戦したいのか、ということだ。

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中谷はWBC王者フアン・フランシスコ・エストラーダと戦うのか?

115ポンド(約52kg)の古参戦士といえば、やはり現在WBCとThe Ring誌(リングマガジン)のスーパーフライ級王座を保持するフアン・フランシスコ・エストラーダだろう。

33歳の『エル・ガリョ』(El Gallo=雄鶏)はキャリアを終える段階にあり、ここ数年でわずか4試合しか戦っていない。彼にとっては幸いなことに、そのうちの2試合はニカラグアのレジェンドであり、友好的なライバルでもある『ショコラティート』ローマン・ゴンサレスとの対戦で、キャリア最高の報酬を手にした。

エストラーダはショコラティートとのライバル対決を2勝1敗で制したが、2022年12月のラバーマッチ以降はその動向がさほど注目されていない。このメキシコのテクニシャンがキャリアを続けたいと思うのであれば、彼にとって中谷という選手ほど手強い相手はいないだろう。

しかし、井岡 vs. 中谷戦と同様に、この一戦もタイミングに左右されるかもしれない。33歳のエストラーダは44勝3敗の戦績を経て、13度の世界タイトル戦を経験している。言うまでもなくキャリア終盤にあるなか、身長が3.5cmも有利な左利きハードパンチャーと戦うことを選ぶだろうか。有終の美を飾るにはいささか厳しい相手だ。

WBA王者の井岡もエストラーダとの対戦を熱望していることから、中谷との対決は流動的だ。

中谷はIBF王者フェルナンド・マルティネスと戦うのか?

IBF王者マルティネスは、スーパーフライ級の全チャンピオンのなかで最も知名度が低いものの、才能があり、無敗で、野心家だ。

このアルゼンチンの元オリンピアンは、2022年2月、IBF王者に長く君臨していたジェルウィン(ヘルウィン)・アンカハスを12ラウンドの3-0判定で引きずり降ろした。ダイレクトリマッチも全く同じ結果に終わり、新王者マルティネスが世界の舞台で成功を収めた。

直近の試合では、マルティネスは無敗ながら知名度の低いフィリピン人ボクサーであるジェイド・ボルネアを11ラウンドで倒している。だが、彼のような新顔王者が115ポンド級の頂点に立つには、対戦相手のレベルを引き上げることが必要だ。

マルティネスは30代前半だが、彼のチームは当面、中谷との対戦を避けたいと考えているだろう。IBF王者としてもう1、2度防衛に成功すれば、将来的にこの試合を迎える準備は整うはずだ。

破壊的なパンチを持つ中谷との対戦を目指すのであれば、マルティネスが時間をかけることを選んだとして責める者はいないだろう。

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※本記事は一部国際版記事(著者Tom Gray)から抜粋・翻訳し、編集した記事となる。
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